パリから2022年春夏コレクション アフリカの風がますます強く吹くパリ・モードのこれから。
Paris 2021.10.26
9月27日から10月5日まで開催されたパリ・コレクション。K-POPのブラックピンクのメンバー3名がぞれぞれミューズを務める3メゾンの会場を賑わせて、ちょっとしたコリアン旋風。一方、躍進する若手ブランドはなんといってもアフリカ勢が強い!
パリコレを主催するオートクチュール・プレタポルテ連合協会がパレ・ド・トーキョーを会場に昨年1月にスタートした、若手ブランドの発展を支援するショールーム「Sphère」をのぞいてみよう。2022年春夏コレクションについてのブースは8ブランドあり、そのうち「Kenneth Ize(ケネス・イズ)」はナイジェリア、「Thebe Magugu(テーブ・マググ)」は南アフリカ、「Mossi(モッシ)」はマリ共和国というように、デザイナーのオリジンがアフリカである。母国のサヴォワールフェール、伝統着のスタイルなどルーツを自分の仕事に取り込んでいるのが特徴だ。
ケネス・イズ。2022年春夏コレクションのショーにて。
その中で、ケネス・イズにクローズアップしてみると……彼はテーブ・マググとともに2019年度のLVMHプライズのファイナリストに選ばれている。オーストリアに生まれ、ウィーンの大学でファッションを学び、2015年にブランドを設立した。拠点をナイジェリアのラゴスに置き、この地で開催されたファッションウィークでは、最優秀デザイナのひとりに選出されるという経歴の持ち主である。
パリコレ初日の9月27日に開催された彼のショーは、このシーズンのフィジカルなショーのトップバッターとなった。前回のパリコレ初参加で発表した2021~22年秋冬コレクションもそうだったが今回もストライプが豊富だ。というのも、それには訳がある。彼はナイジェリアの伝統的な機織り技術が生む縦縞の生地をコレクションに取り入れているからだ。とても手の込んだもので、1mを織るのに20時間近くかかるという実に繊細なものである。それら貴重な生地をコレクションの一部に用い、縦縞はモチーフとしてアレンジしたり、ほかの素材でも活用したりで、コンテンポラリーなコレクションを作り上げている。ナイジェリアでのショーではトップモデルのナオミがモデルとして参加したことも、彼のブランド名を広めるひとつの話題となり、今後も彼の名前を聞く機会はますます増えるに違いない。
9月27日に開催されたカラフルな2022年春夏コレクションより。
メンズも同時に発表された。
左: アクセサリーもナイジェリアン・インスピレーション。 中、右: ショールームSphèreにて。photos:(中、右)Mariko Omura
editing: Mariko Omura