こんにちは、先日Facebookの広告で「週末はお城の庭園でキャンドルナイト!」と謳うものがありました。ほうほうどれどれ、ご近所だし、これは庭ブログにぴったりじゃんねと期待して来てみたら、キャンドルナイトはお城の一角(室内)で行われる朗読イベントで、庭部分はライトアップなどされないとのこと。まあ、そりゃそうですよね。子どもの頃から得意技は早とちりと思い込み、吉田パンダです。
というわけで、ノーマルなお城の庭園を今回はご紹介します。その歴史はルネッサンス時代に遡る、ノルマンディー地方の小さな古城、シャトー・ダキニー。18世紀からこの城を所有する一族がいまも暮らしていて、週末だけ庭園が一般の市民にも開放されています。
Cahteau d’Aquigny
http://chateau-acquigny.fr/
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お堀はなく、広大な敷地は水面が美しいウール川に面しています。別な世界に来てしまったかのような、静けさ。
樹齢数百年はあろうかという、プラタナスの樹の下で待ち合わせ(妄想)。スマホなんか見ていちゃダメです。手には『孤独な散歩者の夢想』(ジャン・ジャック・ルソー著)などはいかがでしょうか。実際、当時この庭園が整備されるにあたり、ルソーの思想が少なからず反映していたようです。
散歩道に沿って歩くと、人工の滝も。このお城の庭園はフランス文化省が制定している「Jardin Remarquable(素晴らしい庭園)」のひとつです。2004年から始まった制度で、『公立・私立を問わず、文化的、美的、歴史的、または植物学的に興味深い庭園や公園を区別するものです(5年ごとに見直し)』とのこと。現在フランス全体で443の庭園が登録されていますので、まだまだブログ書けます(←は?)。個人的には「訪ねる価値のある庭園マーク」だと思っていて、どこかに旅行してルマルカーブル庭園が近くにあると、見に行ってみようかなと思えます。
インタラクティブマップはこちら。フランス庭園巡りの目印のひとつとして、おすすめです!
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こちらは木立の隙間から覗くグラデーションが、一枚の絵画のよう。
水面に映る反射でモネしてみました(モネは動詞)。
ちなみにお供は愛犬、スキッパーキのスキ。生後9ヶ月になりました。甘噛み悪魔です。
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しばらく歩くとポタジェ(菜園)にたどり着くのですが、傾いた光が楽園感出してます。
誰もいない菜園では庭師が一人で作業を続け、
足元にはシクラメン。
突き当たりには、向こう側へと通じる緑のアーチがありました。くぐってみましょう。
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信じられません、そこで出会ったのは光に包まれたベレー帽の妖精さん←いや、普通にベレー帽のおじさんだから。
アーチの向こうは、水路に区切られた長閑な小道でした。
さて帰り道。逆光の中に浮かぶ、天然のステンドグラスを眺めながら戻ります。
途中にある藁葺屋根の家。いまは誰もいないようですが、庭の管理人が暮らしていたのでしょうか。
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そしてこちら。樹齢130年のジャイアントセコイア。
130歳ですでにその巨木感が半端ないんですが、調べてみたらこのジャイアントセコイア、世界で最も大きく育つ樹木のひとつで、最大のものはアメリカ・カリフォルニア州の原生林にあり、樹齢およそ2200年、幹の直径が11m、樹の高さは83mに及び、その体積は『地球上で最も大きな生命体』だそうです(!)。ちょっと想像を遥かに超えていくジャイアントでした。
プラタナスの並木を抜け、水面の反射に移ろいを探し、菜園の光には永遠を見る英国式庭園。夢想、瞑想にぴったりな古城の庭園を歩きました。フランスの「素晴らしい庭園」はまだまだありますから、次回もどうぞお楽しみに←自宅もがんばって。
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写真家。長年住んだパリを離れ、現在フランスはノルマンディー地方にて、犬猫ハリネズミと暮らしている。庭づくりは挫折中。木漏れ日とワインが好きで夢想家、趣味はピアノ。著書に『いぬパリ』(CCCメディアハウス刊)がある。instagramは@taisukeyoshida