野菜を超えたベジ・グルメ料理のテケス、シェフに脱帽!

Paris 2022.03.16

最近のレストラン、メニューを開くと前菜とメインのチョイスが魚、肉、野菜の3種が必ず揃っている。野菜料理が不可欠なパリなのだが、1月にオープンした「Tekés(テケス)」はさらに前進し、肉も魚もなく野菜オンリーのレストランである。といっても、野菜を食べるということで満足するベジタリアンだけでなく、グルメな食事を求める人を満足させるおいしく調理された季節の野菜料理が待つ店である。魚、肉、野菜に属さない新カテゴリーの素材を食べている! そんな気にさせるシェフのクリエイションは感動的。同じ通りの「Shabour (シャブール)」、8区の「Balagan (バラガン)」と同経営でイスラエル料理なのだが、テケスの味は国籍を超えている。なお、この店名はヘブライ語でセレモニーという意味だ。

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左: シェフのCécile Lévy(セシル・レヴィー)を囲むチーム。この笑いあふれる雰囲気がテケスを作り上げている。 右: 季節の素材だけを用いた野菜百珍の世界だ。photos:Nawel Odin

メニューに並ぶのは季節の野菜ばかり。食事は、その週の“スター・ベジタブル”を使った突き出しから始まる。たとえば、ジャガイモの週なら、小さな器に入ったヴィシソワーズというように。クラシックなヴィシソワーズにスパイスが塩梅よくプラスされた新しい味わいだ。シェフはマルセイユに生まれ、イスラエル生活を体験しているセシル・レヴィーで、オリエントと西欧が彼女の仕事にはミックスされている。メニューは前菜、メインという構成ではなく、生または冷、グリル、とろ火……といったような調理法別。カウンター席からは炭、ブドウの若枝、砂などを用いた複数の調理台が横並びするキッチンの眺めが楽しめる。店内を活気であふれさせるのは、この中で働くシェフを筆頭に料理人たちの発するパワーとエネルギーだ。テーブル席で食事の場合でも、着席前あるいは食後にぜひこのオープンキッチン見学を。

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カウンター席からの調理場の眺め。photos:(左)Benjamin Rosemberg (右)Mariko Omura

さて、どんな料理が待っているのだろう。驚きも食事の一部なので種明かしをしてしまうのはちょっと残念だけど……。たとえばポテトのグラタン。まるでミルフィーユのように極薄切りのポテトがきっちりとスクエアにまとめられて遠目には、野菜が何なのか見当もつかない。リゾット……といってもお米は使われておらず、米粒状に細かく細かく刻まれているのはキャベツである。それが私たちがよく知るチーズたっぷりのリゾット味に仕立てられ、そこにスライスされたブラックトリュフがたっぷりとのせられて。何も言われなかったら新種のお米を使ったリゾット?と勘違いしてしまいそうなほどの幻想の料理である。キャベツがらみのもう一例は、春巻きならぬ“冬巻き”。葉っぱの上にソースが敷かれ、いろいろな野菜がその上にのせられて登場。どちらも同じ野菜とは思えぬクリエイションは調理法の違いだけでなく、シェフのスパイス使いの魔法が大きい。なお、野菜は地消地産を心がけ、パリ近郊70km範囲の畑から届くそうだ。

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長ネギ、キャベツ、アスパラガス……季節の野菜をさまざな調理法で提案する。かりかりとした食感のきのこがチョコレートチップスに交じっていたりと、デザートにも野菜を使用(写真下中)。パンは薄いラファ・ガレットかブリオッシュ(写真下右)の2種あり。添えられるソースも味わい深い。

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カウンター席の危険な眺め。自分がオーダーしていないおいしそうな料理が次々とお皿に盛られるのを見ると、早く次の予約を入れよう!という気にさせられる。photos:Mariko Omura

レストランはハイクラスなメンバーが集うスポーツジムとして知られる「Klay(クレイ)」の建物の一部を占めている。通りに面しても入り口があるが、ジムの入り口がある中庭からもアクセスが可能。中庭に面してガラス屋根のテラス席があり、陽気のいい季節になったらそこで快適な食事時間が過ごせそうだ。アースカラーでまとめられたインテリアには木や大理石などリサイクル可能な素材が用いられ、また食器も含めて大勢のアルチザンたちがテケスのオープンに関わっている。一歩中に入るとパリの中心部からいきなり異国の地にトリップしたような気分!……なのだけれど、 料理のオーダーが入るとシェフが朗々と料理名を読み上げ、その後店内のスタッフ全員が“ウイ、シェフ!”と大声で返答する……あれ、この雰囲気は何やらちょっと日本の居酒屋風では?

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いまのところディナーのみの営業。照明を落とし、キャンドルの灯りが映える空間でおいしい驚きを体験する。壁を飾るのはアーティストのアリア・アリの作品だ。photos:(左・中)Nawal Odin、(右)Benjamin Rosemberg

Tekés Paris
4bis, rue Saint Sauveur
75002 Paris
Tel 07 81 42 54 74
営)19:00~翌2:00
休)日
www.tekesrestaurant.com
@tekes_paris

editing: Mariko Omura

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