映画『パリ13区』ロケ地で発見した、パリの知られざる横顔。
Paris 2022.03.17
台湾系のエミリー、高校教師のカミーユ、ボルドーから上京したノラ。社会背景の違う3人の共通点は、パリの13区に住んでいること……。フランス人監督ジャック・オディアールが、モノクロでSNS時代の未熟な大人たちの性と愛を描き出す映画『パリ13区』。舞台となる13区は外国人が思い描く美しいパリとは違う、カルチャーミックスの街だ。
パリの東の端にあって、セーヌ河畔から南に広がる13区は60、70年代の都市開発で高層マンションが次々と建ち、70年代にカンボジアの戦火を逃れてやって来た中国系移民が集まった。ここは、無機質なコンクリートの中華街。通りに並ぶ店はどれも漢字の看板を掲げている。映画の主人公エミリーは、アジアとフランスのアイデンティティを併せ持つ移民第3世代だ。
映画の舞台となったパリ13区に訪れ、現地の様子をお届けする。この街の横顔を知れば、映画『パリ13区』の理解がより深まるだろう。
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Olympiades|オランピアード
メトロ14番線の駅オランピアードで下車し、通りからエスカレーターを上がると、こんな景色が目の前に現れ、時空を超えてどこか別の場所に降り立ったかのような錯覚に襲われる。ビルに囲まれた広場に商店や飲食店が並ぶ小さな街の名は、オランピアード、映画の原題でもある。主人公のひとり、エミリーが住むアパルトマンは、このビルのどこかの20階。1969年から77年にかけて、当時の都市計画のセオリーに則って作られた「街の中の街」は、札幌、ヘルシンキ、メキシコなど、オリンピック開催都市の名を持つ10棟以上のビルからなる。
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Quartier Chinois|中華街
オランピアードに隣接し、イヴリー通り、ショワジー通り、マセナ通りに囲まれた三角地帯は、アジアの食材店と飲食店、アジア人向けの旅行代理店や不動産店が立ち並ぶ。週末ともなるとスーパーの大駐車場に買い出しの車が列をなし、エキゾティックな食材を求めるパリジャンもこぞって訪れるエリア。最近では世代交代も進んで、アルファベットだけの看板が増えつつある。
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Université Paris-1 Panthéon-Sorbonne, le Centre Pierre-Mendès-France|パリ第1大学パンテオン=ソルボンヌ、ピエール・メンデス=フランス・センター
映画の中で法律を学ぶノラが階段教室にやって来るのは、パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌの通称「トルビアック」センター。ソルボンヌと聞くとパリ5区の伝統的な学生街カルティエ・ラタンをイメージするけれど、13区の高層ビル内にあるところがミソ。エミリーのアパルトマンがあるオランピアードと、トルビアック通りを挟んで向かい側に位置する。9階、16階、22階建ての3棟にキューブを組み合わせたような建築は1973年に完成し、人文、経済、経営、法律などの学生6000人ほどが学ぶ。
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Butte aux Cailles|ビュット・オ・カイユ
映画の舞台は中華街とオランピアードだが、13区らしい個性的なエリアは他にもふたつある。
ひとつはビュット・オ・カイユ。もともと石灰の採掘場だった丘に、低層住宅が立ち並ぶ村のような佇まいが人気で、19世紀末の労働者政権パリ・コミューンの戦いの舞台ともなった歴史的な場所。イタリー通りを挟んで高層ビルの立ち並ぶ中華街エリアにも近いが、趣が全く異なる。夜には気取らないビストロやバーのテラスに若者が集う。
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Quartier Paris Rive Gauche|パリ・リヴ・ゴーシュ地区
パリの最先端の顔は、セーヌ河畔のパリ・リヴ・ゴーシュ地区。1995年にオープンした国立ミッテラン図書館を皮切りに現在も開発が進み、訪れるたびに新しいオフィスビルや高層住宅が姿を表す。シネマコンプレックス、オフィスビル、店舗が集まり、2012年にはパリ第7大学パリ=ディドロが移転。またフランス国鉄の施設跡には17年にスタートアップ起業を応援する大規模インキュベーターのSTATION Fもオープンして話題を呼び、20年にはアニエスベーの新ギャラリーも。新世代のビジネスマンと学生が出入りする21世紀の13区がここにある。
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Métro Aérian|高架を走るメトロ
カーブを描きながら13区を東西に横断するメトロ6番線は、プラス・ディタリー駅で地下に入る以外は、高架線を走っている。映画の中で、カミーユとノラがよく利用しているのが、この6番線。ビュット・オ・カイユから中華街、パリ・リヴ・ゴーシュ地区を結び、それぞれの景色を車窓に映し出す。
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Street Art|ストリートアート
メトロ6番線が13区を横断する間、車窓からいくつのストリートアートを目にすることができるだろう。13区区役所のパートナーシップを得て、ギャルリ・イティネランスと現代アーバンアートのアソシエーションAPAPUCが提案するのは、まさに青空美術館。13区が誇る数々の高層ビルの大きな外壁をキャンバスに、ヴィールスやシェパード・フェアリー、C215をはじめ、国際的なストリートアーティストが腕をふるう。メトロの下を走るヴァンサン・オリオル通り周辺を中心に、その数は30以上。専用サイトもあり、散策用の地図はもちろん、ガイドツアーも行われている。
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映画『パリ13区』試写&特別トークショーの参加者を募集!
映画『パリ13区』の試写と、フィガロジャポン読者限定のトークイベントを4月15日(金)に開催します。トークイベントの登壇者は、カンヌ映画祭の取材経験も豊富な映画ジャーナリスト・立田敦子さん。また、フィガロジャポンパリ支局長の髙田昌枝をリモートで繋ぎ、現地パリ13区の特長や、今回の作品について読者とのトークセッションを行います。記事下の注意事項をお読みのうえ、ぜひご応募ください。
【開催日時】2022年4月15日(金)18時開場 18時30分上映開始~20時15分上映終了予定
トークイベント20時20分~21時終了予定
【開催場所】神楽座(飯田橋)
東京都千代田区富士見2丁目13-12 KADOKAWA富士見ビル1F
【定員】52名様 ※1名様または2名様での参加が選べます。ホール定員116名のところ、新型コロナ感染対策のため、空間を空けてお座りいただきます。
【参加条件】フィガロジャポンのメンバーシップ「メゾンフィガロ」に会員登録をされた方限定。詳しくはこちら。
【お申込み方法】ページ下の「申込みはこちら」からご応募ください。
【応募締め切り】2022年3月30日(水)23時59分
【注意事項】
●当選者の発表は厳正なる抽選のうえ、メールによる当選通知の配信をもってかえさせていただきます。お客様の連絡先等に不備があり連絡不能な場合や、ご返信期限までに当選に対するご返信が確認できない場合は、当選無効となり弊社は一切の責任を負いません。弊社メールが迷惑メールに振り分けられてしまいご連絡いただけない場合も、同様に当選無効となります。
●当選通知メールは「@id.cccmh.jp」ドメインよりお送りいたします。メールを受信できるよう、あらかじめ設定をご確認ください。
●落選の場合、ご連絡はいたしません。
●スマートフォンまたはタブレットで受信・確認できるメールアドレスを会員登録のフォームへご入力ください。
●ご応募いただいた個人情報は、抽選および弊社からの連絡の目的でのみ使用いたします。
●試写会の様子を撮影する場合があります。その際、お客様が写り込んでしまう可能性がございますことを予めご了承いただけますようお願いいたします。また、写真の一部madameFIGARO.jp、ならびにその他イベント関連媒体、SNSなどで掲載されることをご了承ください。
●試写会の内容は諸般の事情により、一部変更する場合がございます。
●試写会での座席指定はできませんので予めご了承ください。
●問い合わせ先:
CCCメディアハウス マーケティング部
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text: madame FIGARO japon