4月23日、フランソワ・アリュが、やっとエトワールに。

Paris 2022.04.26

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フランソワ・アリュ、任命の瞬間。photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

4月23日(土)、オペラ・バスティーユでルドルフ・ヌレエフ版『ラ・バイヤデール』のソロール役を踊りフランソワ・アリュがエトワールに任命された。この晩は“私の初めてのオペラ座”と銘打たれ、親は25ユーロで子どもは10ユーロでという家族割引公演ゆえに、会場には子どもたちも大勢。初めて行ったオペラ座で伝説的なパリ・オペラ座のエトワール任命に立ち会えた彼らには素晴らしい思い出となることだろう。ニキヤ役はドロテ・ジルベール、ガムザッティ役はビアンカ・スクダモア。このトリオの公演は4月中に4回予定されていたが、あいにくと最初の2回はフランソワが怪我で降板したため、ギヨーム・ディオップ(コリフェ)がソロール役を踊った。ちなみにギヨームはカドリーユ時代に『ロミオとジュリエット』、『ドン・キホーテ』で怪我をしたダンサーに代わって主役を踊っていて、パリ・オペラ座の若き助っ人である。フランソワが予定通りにソロール役を踊った4月20日には、フランソワの任命を長いこと心待ちにしていたファンがオペラ・バスティーユに集まったのだが何事も起きず。総裁と芸術監督がマイクを手に舞台上手から登場する任命劇におなじみの光景を待ちながらカーテンコールの拍手を送っていた観客は、肩透かしを食う形となった。その3日後、“やっと”その時が来たのだ。

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『ラ・バイヤデール』第1幕より。ニキヤ(ドロテ・ジルベール)との美しいパ・ド・ドゥ。photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

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男性的でパワフルな踊りを第2幕で披露。photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

フランソワはオペラ座の活動に加え、ワンマンショーを行っている。昨年はオペラ座を半年休み、フランスの人気テレビ番組である『スターと踊る』の審査員を務めるというように、外部活動も活発なダンサーだ。1993年12月生まれの彼は、オペラ座バレエ学校に2004年に入学。2010年、17歳でバレエ団に入団した。同期入団にはフロラン・メラック(スジェ)がいる。ジェルマン・ルーヴェとユーゴ・マルシャンの入団より、1年前のことだ。フランソワは2011年にコリフェ、2013年にスジェ、そして2014年にプルミエ・ダンスールへとトントン拍子でオペラ座のピラミッドを上がり、“次のエトワール!”と嘱望されていたのだが、8年の歳月が流れ……。彼が最後にオペラ座で踊ったのは2020年3月の『バランシン・プログラム』なので、この『ラ・バイヤデール』は彼にとって2年ぶりのオペラ座のステージ。今シーズンの開幕公演『Play』では創作ダンサーのひとりだった彼の不在が惜しまれたが、『ラ・バイヤデール』では強い筋力を生かした跳躍、回転といった彼のテクニック面での特性が生かせ、また彼のカリスマ性は戦士役に存在感を与え……と任命されるにふさわしいソロール役でオペラ座復帰を果たしたのである。

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『ラ・バイヤデール』のリハーサルより。photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

マチュー・ガニオ、ステファン・ビュリオン、マチアス・エイマン、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、ポール・マルクにフランソワが加わった男性エトワール。7名になったものの、6月4日には公演『マッツ・エク』で『Another Place』を踊ってステファン・ビュリオンが引退するので、また6名になるのだが……。フランソワは28歳。これまでクラシックにもコンテンポラリーにも配役されてきた彼が、エトワールとなり今後どんな活躍をするのか。これまで不在がちだった彼だが、オペラ座でのエトワールダンサーとしての義務を果たしつつ外部での自分の活動を続けていくのか。来シーズンも話題は尽きなさそうなパリ・オペラ座だ

editing: Mariko Omura

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