彫刻家チャールズ・レイ、パリでふたつの作品展が同時開催中。

Paris 2022.05.23

220518-charles-ray-01.jpg

左: ポンピドゥ・センターでの作品展のポスター。 中: 2020年に撮影されたチャールズ・レイ 右: ラ・ブルス・ドゥ・コメルスの前に設置された彼の作品「Horse and Rider」像。photos:(左・右)Mariko Omura、(中)Joshua White  Avec l’aimable autorisation du studio de l’artiste

ブルス・ドゥ・コメルス-ピノー・コレクションからはポンピドゥ・センターが眺められ、ポンピドゥ・センターからはブルス・ドゥ・コメルス-ピノー・コレクションが眺められる。徒歩で10分くらいの距離にあるこの2カ所で、2月からアメリカ人の現代アーティストであるチャールズ・レイ(1953年~)の作品展が開催されている。フュージョンがエネルギーを生み、これまでフランスであまり語られることのなかったアーティストが現代アートファンたちの話題の主に。彼の名前を知らなくても、安藤忠雄が修復・保全したことで有名なヴェネツィアのドルソ・ドゥーロ島の先端に建つ建築物プンタ・デラ・ドガーナの前で、サンマルコ広場に向かって4年間設置されていた『Boy with frog(カエルを持った少年)』像のビジュアルを記憶にとどめている人もいるのでは? この作者がチャールズ・レイである。このふたつの展覧会は彼にとってパリで初めて作品を紹介する機会であり、またこれだけの数の作品がひとつの都市に集まって展示されるというのも初めてなのだ。

220518-charles-ray-02.jpg

ポンピドゥ・センターより。左: 『Unpainted Sculpture』(1997年)。事故車ポンティアックをグラスファイバーで実物大に。手前は『セルフ-ポートレート』(1990年)。右: 『Portrait of the Artist’s Mother』(2021年)。素材はアーティスト自身による手製紙。photos:Mariko Omura

220518-charles-ray-03.jpg

左: 『Shoe Tie』(2012年)。といっても靴紐は存在しない彫刻。後ろは『Fall ’91』(1992年)。商店で使用されるボディを39%拡大したサイズだ。 右: 手前は『Family Romance』(1993年)。プロポーションはそのまま、子どもは拡大され、大人は縮小されている。後方は、糸杉を素材にした『Hinoki』(2007年)。国道101号線沿い、草原の中に横たわる倒木にインスパイアされた作品。photos:Mariko Omura

220518-charles-ray-04.jpg

左: 会場内に設けられた小さなスペース内、凸状の壁に展示されている『Yes』(1990年)。このほかにも会場では彼が撮影した写真を展示している。 右: テラスに設置されているのは『Huck and Jim』(2014年)。マーク・トゥエインの小説『ハックルベリーフィンの冒険』に題材をとった作品で、カエルの卵をとろうとするハックをジムが守っているシーンだ。photos:Mariko Omura

---fadeinpager---

50年のキャリアにおいて150点近く彫刻を制作しているチャールズ・レイは、フランソワ・ピノーと20年の友情で結ばれている。ブルス・ドゥ・コメルスにとっても、ひとりのアーティストの作品展をこれほど大規模に開催するのは初めてのこと。いまの時代の最も重要なアーティストのひとりの作品を、ふたつの展覧会で見せられることについて、ピノー氏もレイ同様に喜んでいる。2カ所で開催されているのは、それぞれ別個の展覧会であり、また補助関係にもある展覧会。ポンピドゥ・センターでは、1970~80年代から2000年の作品、ブルス・ドゥ・コメルスは、1990年代から最近までの作品を展示している。作品の巨大なサイズ、そのテーマ……彼の彫刻は見るものの視線を動揺させる。これが鑑賞の出発点だ。『カエルを持った少年』もラ・ブルス・ドゥ・コメルスで展示されている。ヴェネツィア人たちには賛否両論だったという像をどう見るか……この機会に実物の前に立ってみよう!!

220518-charles-ray-05.jpg

ブルス・ドゥ・コメルスより。左: 高さ2.4メートルの『Boy with frog』(2009年)。石膏のように見えるが、ペイントを施したステンレスが素材だ。 右: 『Burger』(2021年)。224×104×103cmという巨大サイズのグラスファイバー素材の像。photos:Mariko Omura

220518-charles-ray-06.jpg

左: 『Sleeping woman』(2012年)。サンタモニカで目にしたホームレスの女性の姿に触発されて生まれた作品。後方の壁は、『Girle on pony』(2015年)。 右: 2.5メートルの『Fall ‘91』(1992年)。前方は『Tabletop』(1988年)。“静物”ではないので、じっと目をこらして動きを捉えて! photos:Mariko Omura

220518-charles-ray-07.jpg

左: こちらもステンレスにペイントした『The new beetle』(2006年)。後方は『Unbaled truck』(2021年)。右: 『Oh!  Charley, Charley, Charley…』(1992年)。等身大の8名の少年たちのグループ像は、マネキンから巨大なサイズへの移行期の作品だ。photos:Mariko Omura

『Charles Ray』展
開催中~6月6日
Bourse de Commerce - Pinault Collection
2, rue de Viarmes
75001 Paris
tel:01 55 04 60 60
www.pinaultcollection.com/fr/boursedecommerce
料:14ユーロ(ポンピドゥ・センターの同日のチケット提示者は10ユーロ)

開催中~6月20日
Galerie 2, niveau 6
Centre Pompidou
www.centrepompidou.fr
Instagram:@centrepompidou
料:14ユーロ(ブルス・ドゥ・コメルスの同日のチケット提示者は10ユーロ)

editing: Mariko Omura

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories