パリに行くの? 食のホットアドレスはここ!! 魚を使わないボタニカル・スシ。パリ17区にブルームが開店した。

Paris 2022.10.04

魚がないなんて、お寿司じゃない!と日本人は反応するだろうか。アメリカにはすでに少なくないらしいが、パリではこれからブームとなるに違いないのがベジ素材だけの寿司の店だ。17区に9月の頭、プラントベースの寿司レストラン「Bloom(ブルーム)」がオープンした。ヘルシー、ベジをうたうお寿司に味を期待できるのか?という世間の疑問を一蹴するレストランである。

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レストランがあるのはJouffroy d’Abbans(ジュフロワ・ダバン)通りという耳慣れない名前。ワグラム大通りとクルセル通りが交差する近くの細道だ。最寄りの地下鉄駅はWagram, Courselle。

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内装はステュディオ・ルイ・モルガンが担当。自然素材を生かしたミニマルなインテリアには、リサイクル木材も使用している。

プロジェクトをオープンへと導いたのは、パリに寿司ブームを巻き起こすきっかけとなった「Sushi Shop」の創立者であるドミニック・ビュジョルドである。配達かつチェーン展開により、いまやフランスで日常の食事に欠かせなくなった寿司を次なるステップへ、ということだろう。シェフのクリスチャン・ヴェンチュラはモントリオールの日本料理店で働き、インドでヨガ修行をしベジタリアンとなった後、モントリオールに戻ってベジタリアンの和食店をオープン。これがブルームの始まりである。彼の料理の秘密はソースにあり、なるほどブルームの寿司も野菜の味に退屈することのない深い味わいだ。食感のおもしろさも追求されている。

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左: シェフはメキシコ出身のクリスチャン・ヴェンチュラ。 中: 寿司の新しい光景では? 右: カクテル、ワイン、シャンパン、それに日本酒もリストに並ぶ。

メニューをのぞいてみよう。ヒラタケの天ぷらとトリュフ風味のタルタルソース(6ピース/7ユーロ)の細巻き、ビーツのタルタル、リンゴ、エシャロット、アボカド、セベット、柚子ソースはムーラン・ルージュ(6ピース/10ユーロ)と命名されたマキ・スプリングロールだ。カリフォルニアロール(8ピース)は種類豊富で、たとえばドラゴン・アイズ(11ユーロ)は何かというと、さつまいも、アスパラガスとセベット葱の天ぷら、ピーマンのグリル、アボカド、スパイシー&ペストソース。そしてフィラデルフィア(10ユーロ)はヴィーガン鮭のザーモン、植物チーズのフィラデルフィア、ドライトマト、キュウリ、アボカド、ケッパー、柚子ソースだ。太巻き(5ピース)を見ると、なんとカツカレー・フライ(11ユーロ)! このように複雑なミックスがシェフの腕前でハーモニーを成すお寿司が、メニューに並んでいる。

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素材の組み合わせ、ソース、食感がバラエティ豊かで色彩もきれい。“肉食人”も虜になるブルームのベジ寿司。

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ランチタイムはお寿司のアラカルトオーダーはできない。お任せ寿司16ピース(写真左/25ユーロ)、ポケ・ボウル(写真右/18ユーロ)、ソバ・サラダ(16ユーロ)がメイン。セットメニューは2種あり、味噌汁か餃子(3ピース)、お任せ寿司16ピース、カフェまたはティー・グルマンというセットで35ユーロ。寿司の代わりにポケ・ボウルかソバ・サラダだと25ユーロ。

いまのパリで枝豆と同じく寿司店に欠かせない前菜(ブルームではジャパニーズタパスと呼ぶ)となった餃子も、ブルームでは中身はもちろん野菜なのだが、なんといっても驚きはソースだろう。アーモンドバターとキムチというコンビは、日本人には思いつかない組み合わせでは? デザートにはフランス中を制覇した日本の味のひとつであるモチが欠かせない。普及しているのは求肥タイプだが、ブルーム・スシでは日本から取り寄せているもち米を使ったモチ・アイスだ。グルテンフリーなのはもちろんである。素材にこだわるだけでなく、エコでレスポンシブル。2022年のレストランが掲げるべき要素はブルームでもしっかりと押さえている。食事客はベジタリアンだけに限らない。おいしい料理を求める人々、好奇心いっぱいの人々がブルームに集まってくる。

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左: 前菜の餃子 6ユーロ 右: デザートのモチ・アイスは1ピース4ユーロ、2ピース7ユーロ。

Bloom Sushi
99, rue Jouffroy d’Abbans
75017 Paris
営)12:00~14:30、19:00~23:00
休)日、月
www.bloomsushi.fr
Instagram:@bloomsushi_france

editing: Mariko Omura

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