2023年春夏パリ・コレクション、気になるエトセトラ アトラインは得意技を進化させてシャーリング・パレード。
Paris 2022.10.23
2016年秋冬シーズンで、可能性に興味を持った素材であるジャージーをメインにした小さなコレクションを発表したデザイナーのアントナン・トロン。その彼のブランドの「Atlein(アトライン)」の2023年春夏コレクションは、シャーリングやドレープなどをジャージーに施した35ルックで構成されていた。リドリー・スコット監督の映画『エイリアン』でエレン・リプリー役を演じたシガニー・ウィーバーの演技はアントナンに強い衝撃を与えたという。パワーと力強いフェミニニティを持つ現代のヒロインだ。汗をしたたらせ、戦う女性のその強いイメージが、2023年春夏コレクションの大きなインスピレーション源である。
アトラインの2023年春夏コレクションからラストルック。photos:(左)Atlein、(右)Mariko Omura
ショーは白いシャーリング・ミニドレスに始まり、ドレープやギャザーや紐調整といった遊びから布に生まれる立体感、陰影、表情がどの服にも見られた。このコレクションでアントナンがフォーカスしたのは、アトラインの基本、そしてジャージー素材といった彼の仕事の核である。2018年秋冬コレクションで彼が初めて手がけたシャーリングをこの新しいコレクションで改めて研究し、進化させたのだ。シャープでタイトなシルエットのルックばかりだが、布に施された技で身体は服に縛られることなく、モデルたちは広い会場を闊歩した。
使用素材についてはハイブリッド・ファブリックを選ぶことを彼は続行。アップサイクルされた海洋プラスチックを含むハイクオリティのSeaqual Yarnなど100%リサイクル素材で、色はグレー、オフホワイト、ブラウンといった控えめな色。そうした色の服が続く途中、ライムグリーンのようなアシッドカラー、爬虫類プリントなどがアクセントとなっていた。
editing: Mariko Omura