小皿料理とカクテルでおいしく酔う、隠れ家レストランのネクタール。

Paris 2023.04.25

ボボのママたちが子どもを連れて集うモントロン公園。緑の少ない9区では貴重な憩いの場である。その公園にぶつかる小さなマイラン通りに2年前にオープンした「Maison Mère(メゾン・メール)」は、価格も手頃で快適なホテルだ。人通りが少ないので静か。ホテルそのものが隠れ家のような存在で、その1階にはバー・レストラン「Nectar(ネクタール)」を秘めている。ちょっと別世界に入るような感じに、入り口左手のカーテンの奥へと!

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ネクタールはホテルのMaison Mèreの1階に隠れている。photos:Mariko Omura

“花蜜”を意味する店名からバーの壁には大きな蜂が描かれている。ここはミクソロジストによるオリジナルカクテルが売り。テーブル席、あるいはサロン風コーナーのソファで食事の際も、ぜひこの店ではカクテルを味わうことから始めよう。運ばれてくる小さな箱がカクテルメニューだ。ノンアルコールも含めて6種(10~15ユーロ)。箱の中は、各カクテルについての解説がトランプのようなカードに書かれ、素材が入った小瓶がセットされている。それらの香りを嗅いでカクテルの味をイメージして、注文するという仕組みがユニークだ。

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ミツバチが待つバーだけの利用も可能。photos:Lucie Braimault 

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左: カクテルのメニューとして登場する小箱。カクテルのテーマは“キメラ”。 右: カラフルなカクテル。バーマンはマーヴィン・ランドロだ。photos:(左)Lucie Braimault、(右)Mariko Omura

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ここではカクテルとともに、ディナーではタパス風に料理が味わえる。全てが小皿料理でデザートも含め、ひとり3~4皿をシェアして楽しむ。つまり、一夜にして6~8種の料理に舌鼓!というわけだ。あれこれ食べたい日本人にはうれしいのでは? シェフはジョルジュV、マルク・ヴェイラで修業を積んだオーレリアン・ラスジュイリアリアスで、近隣から取り寄せる季節の素材で廃棄物ゼロを意識した創作料理を生み出している。珍しいハーブを使い、また調味料はモロッコから日本までと実にインターナショナルで、さまざまなテクスチャーがひと皿に盛り込まれている。“明日の”料理を目指すというシェフは未来に目を向け、肉や魚など仕入れ先も自分の精神に合致する相手を選択。デザートにもクリエイティビティを発揮し、薄い紙のようなヨーグルトを乗せた真っ白なミルクのデザートがご自慢だ。あらゆるテクニックが生かされた驚きあふれる料理が待つレストランである。秘密にしておくのは惜しいだろう。

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ディナーの小皿料理のメニューは野菜・海・大地・ファイナルタッチ(デザート)に分かれ、各約4種のチョイスがある。たとえば野菜料理ばかりとデザートというように組み合わせは自由だ。お任せは54ユーロ。ランチタイムのセットメニューは前菜+メインあるいはメイン+デザートが19ユーロ、前菜+メイン+デザートが24ユーロ。photo:©︎ Nectar

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左: スモークしたウナギにジュレを重ね、スカンポ、自家製海苔パウダーを添えて(12ユーロ)。 中: 季節のグリーンアスパラガスをさっと茹でて、サバイヨンソースで(15ユーロ)。 右: ニシンの自家製タラマ。黒麦のブリニスと(13ユーロ)。photos:Mariko Omura

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左: レストラン。 右: シェフのオーレリアン・ラスジュイリアリアス。レストランのサロン風コーナーで。photos:(左)Mariko Omura、(右)©︎ Nectar

レストランを擁するホテル・メゾン・メールもまた知っておいて損のない4ツ星ホテルである。階段の壁にフレスコ画が陽気なタッチで描かれていたり、客室内はレストラン同様にアート作品がいろいろと飾られて……というように、若いアーティストたちが内装に参加。名前から察せられるように、ホテルは宿泊客に自宅にいるのと同じ寛ぎを提案している。緑あふれる公園も近く、まるで住民のようにふらりと散歩に出られるのもポイントだ。

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左: ホテルの階段。 右: 客室例。photos:(左)Mariko Omura 、(右)©︎ Maison Mère

Nectar
(ホテルMaison Mère1階)
7, rue Mayran
75009 Paris
営)レストラン 12:00~14:30、18:30〜22:30(火〜土) バー 18:00〜24:00
休)日、月(バーは無休)
@nectar_maisonmere
www.maisonmerre.com

editing: Mariko Omura

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