話題のTV番組「トップシェフ」出身の、気になる4軒。

Paris 2023.05.07

課題をクリアし、料理人が腕を競い合う「料理の鉄人」フランス版とも言える超人気番組「トップシェフ」。番組で活躍し、国民の注目を浴びた若きシェフたちのネクストステージを追った。


Jean Imbert au Plaza Athénée
ジャン・アンベール・オ・プラザ・アテネ

古典レシピで料理界を牽引する、スターシェフのメインステージ。

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イセエビのベルビュ「La Bellevue」120ユーロ。甲羅にのせたイセエビの切り身を、エストラゴンとフィンガーライム風味のソースで。海の香りが口いっぱいに広がる贅沢な前菜。

2012年に放送された「トップシェフ」で優勝したジャン・アンベール。多くのセレブに愛され、そのタレント性が取り上げられるが、幼少期から祖母に料理を教わり、家族のために料理をしていたほど古典フレンチを敬愛する。パリ最高峰、プラザ・アテネのシェフだったアラン・デュカスを受け継ぎ、豪奢な雰囲気の中、世界を魅了したフランス料理の真髄を再現。パイ生地に具材とソースを詰めたヴォル・オ・ヴァンをはじめ、ヒラメのスフレといった古典フレンチの定番を、独自のソースをアクセントに昇華した料理は見事。

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インテリアデザイナー、レミ・テシエの描く古き良き“豪華なフランス”は、12mのマーブル製テーブルとヴィンテージのシャンデリアで表現。

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イセエビのベルビュの付け合わせ。エストラゴンとアニスの風味を纏った数種のニンジンとカブの角切り「La Macédonie de Légumes」

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ジャン・アンベール|Jean Imbert
1981年生まれ。22歳で最初の店、ラカジュをオープン。2021年にプラザ・アテネの料理長に就任。22年、自分の名を冠したメインダイニングに。レストラン、ムッシュ ディオールの監修も務める。

Jean Imbert au Plaza Athénée
Hôtel Plaza Athénée 1F, 25, avenue Montaigne 75008 
tel:01-53-67-65-00
ⓂALMA-MARCEAU
営)19:15~22:15L.O.(火~金) 12:30~14:15L.O.、19:30~22:15L.O.(土)
休)日、月、8月、クリスマス時期に1週間
要予約
www.dorchestercollection.com/fr/paris/hotel-plaza-athenee/restaurants-bars/jean-imbert-au-plaza-athenee

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MoSuke|モスケ

自身のルーツと世界各国のエスプリを、ひと皿に集めて。

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3皿60ユーロからあるコースのメイン。10回以上もレシピ改良をした自慢の一品。アフリカの庶民的な煮込み料理マフェを、タマリンドソースで大胆にアレンジした「Boeuf Sauce Mafé au Tamarin」

大のマンガ好きで、自分の名前から「Mo」、戦国時代に実在した黒人の侍、弥助から「Suke」をとって店名にするほど、日本文化に傾倒しているモリ・サコ。人懐こい笑顔が印象的なシェフは、自分のルーツであるアフリカと大好きな日本、生まれ育ったフランスを融合させ、食べる人が料理で大陸をまたぐ旅体験をしてもらえればと願う。彼の原点は母親の作るアフリカ料理。世界各国から届くスパイスや食材のほか、アフリカの穀物フォニオやカリテ(シア)バターを巧みに活用。好奇心旺盛なシェフの新規開拓の旅は、これからも続く。

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4皿75ユーロからあるベジタリアンのコースの前菜。ソースの下にパパイヤを潜ませ、ワサビムースをアクセントにした甘さと辛さが拮抗する「Betterave au Wasabi」

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5/29まで休業して内装をリニューアル。木や大地の温もりを基調にする予定。

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モリ・サコ|Mory Sacko
1992年生まれ。両親はマリ出身。ティエリー・マルクスのもとでスーシェフとして働き、2020年にモスケをオープン、翌年1ツ星を獲得。料理番組「Cuisine Ouverte」の司会も務める。身長2m。

MoSuke
11, rue Raymond Losserand 75014 
tel:01-43-20-21-39
ⓂGAÎTÉ
営)12:30 ~14:00L.O.、19:30~21:00L.O.
休)土、日、1/1、 5/1、 8月に3週間、12/24、25 
要予約
https://mosuke-restaurant.com
※5/29まで改装工事のためクローズ

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F.I.E.F.|フィエフ

サステイナブルを掲げ、食材はすべてフランス産!

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10皿150ユーロのコースから。ホタテ貝とセロリのキャビア添え「Saint-Jacques, Céleri, Citron Meyer, Cavier」

サステイナブルを視野に、地産地消を実行するヴィクトール・メルシエ。使う食材はすべてフランス産を表現した「Fait Ici En France(F.I.E.F.)」を店名に掲げ、新境地にチャレンジする。8カ月間も世界を旅した経験から、料理の技法は韓国、ペルー、アフリカなどにインスパイアされている。星付きには珍しく、ヴィーガンコースも用意している。

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4皿70ユーロのヴィーガンコースから。ヘーゼルナッツのソースに柑橘のアクセントが食欲をそそる、カボチャのロースト「Courge Rôtie, Praliné de Noisettes du Lot-et-Garonne, Huile de Noisettes」

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カウンター席は20時からの一斉スタートでおまかせコースのみ。テーブル席では4皿コースが注文可。

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ヴィクトール・メルシエ|Victor Mercier
環境問題と新しい生活スタイルにフォーカスしたシリル・ディオンのドキュメンタリー映画『Demain』(2015年)の撮影に協力し、食糧問題を危惧。19年に自身の店をオープン、22年に1ツ星。

F.I.E.F.
44, rue de la Folie Méricourt 75011 
tel:01-47-00-03-22
ⓂOBERKAMPF 
営)19:00~22:00L.O. 
休)土、日、1/1、5/1、8月に2週間、12/24、25
要予約
www.fiefrestaurant.fr

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Le Faham|ル・ファアム

レユニオン島の食材とフレンチの技法の見事な融合。

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料理はいずれも74ユーロ~のコースから。手長エビとアニスのビスク、グリーンマンゴーのルガイユ(レユニオン島周辺の煮込み料理)「Langoustines Snackés, Pommes de Terre Fondantes, Bisque Anis Vert et Rougail Mangues」

ケリー・ランガマは、食材やスパイスも豊富なインド洋のフランス海外県レユニオン島生まれ。パティシエの夫とともに開業し、わずか7カ月後に1ツ星を獲得した実力を持つ。南国フルーツ、バニラ、唐辛子、コショウといった島の食材や伝統的な煮込み料理を、フランス料理の技術と融合。繊細な酸味と辛味、香りを纏った料理が評判だ。

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タコの赤ワイン煮にオランデーズソース、ポン酢ジュレと日本米を組み合わせた「Civet Zourite, Sauce Hollandaise, Riz Koshihikari, Voile de Ponzu」

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緑の家具がアクセント。

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ケリー・ランガマ|Kelly Rangama
1987年生まれ。星付きレストランなどで経験を積み、2017年に「トップシェフ」に出演。フランス海外県の料理を紹介する番組を担当した後、19年にパティシエの夫と自身の店を開業。

Le Faham
108, rue Cardinet 75017 
tel:01-53-81-48-18
ⓂPONT CARDINET、MALESHERBES
営)19:30〜21:00L.O.(火、水) 12:00〜13:30L.O.、19:30〜21:00L.O.(木〜土)
休)日、月 
要予約
https://lefaham.com


●1ユーロ=149円(2023年5月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。 
●各紹介アドレスのデータ部分のⓂは地下鉄の駅、Ⓣはトラムの駅を示しています。 
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間や開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。

*「フィガロジャポン」2023年5月号より抜粋

photography: Mana Kikuta, Shiro Muramatsu text: Toshie Kamada, Chiaki Mitomi

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