『田園』の5章を奏でる、自然にインスパイアされた現代アート。
Paris 2023.09.18
マレにマリ=ベランジェール・ゴスレズが13年前に開いたギャラリー・ゴスレズが9月に新しいスペース「Le Point G by Galerie Gosserez(ル・ポワン・G・バイ・ギャルリー・ゴスレズ)」を開き、そのオープニング展『Symphonie Pastorale(田園)』が9月23日まで開催されている。展示されているのは自然の美しさを5名のアーティストが各人の感性で解釈した作品で、それらがギャルリー・ゴスレズが所蔵するデザイン家具とともにベートーベンの交響曲第6番「田園」よろしく5楽章を奏でているのだ。
アートとデザインが対話する『Symphonie pastorale 』展。デザイン家具はGalerie Gosserezの所蔵品だ。開催は9月23日まで。photos:(上)Mariko Omura、(下)Ludovic Maisan
5名のアーティストは国籍もさまざまなら、テクニックもさまざま。マクラメで植物を美しいタブローに仕上げるLaurentine Périlhou(ローレンティヌ・ペリルー)、野生の植物をプレスしてフォルムにするShannon Clegg(シャノン・クレッグ)、小粒の実や種を無数集めて、ミニマルだがどこか取り憑かれているような印象を残す作品を生むMila Halizova(ミラ・ハリゾヴァ)……。小規模な展示ながら、作品それぞれのテクニック、インスピレーション、ポエジーなど見どころたっぷり。
ローレンティヌ・ペリルー作『スミレ』。このほか『クローバー』『マーガレット』も展示。いずれもカンバス地にマクラメ。photo:Ludovic Maisan
野生の花を型で3次元の彫刻に仕上げるシャノン・クレッグの『Flora』。カンガルー・ポーの花が素材だ。スターティスを使用したものも展示。©Shanon Clegg
オーレス・ヴェティエのブロンズの彫刻『Bitter Hemp』。photo:Thierry Depagne
L&C Labはチリのデュオ。海藻、幹などを素材に拾い集めた布や段ボールと縫い合わせる作品づくりをしている。photo:Thierry Depagne
モンテネグロをベースに活動するロシア人ミラ・ハリゾヴァの『The Portrait』。近づくと、タブローを作り上げているのが無数のどんぐりの帽子なのに驚かされる。photo:©Mila Halizova
ル・ポワンGはポンピドゥー・センターからそう遠くない場所にあり、デザインに特化したギャルリー・ゴスレズと違い、この空間では写真、デッサン、セラミックというようにさまざまなジャンルのアートとデザインを紹介してゆくスペースだそうだ。パリでのメジャーなアートイベントの際に合わせて、年に3〜5の展覧会を開催してゆくということなので、9月23日までの『田園』展を見逃したら次の展示に期待をしよう。
会期:開催中〜2023年9月23日
Le Point G by Galerie Gosserez
16, rue Montmorency
75003 Paris
開)14:00~19:00
休)日、月
www.galeriegosserez.com
editing: Mariko Omura