Hot from PARIS いまパリで起きているコト ラデュレのコーヒーショップが誕生! パリのカフェ、最新レポ。
Paris 2024.01.27
オペラ座近くにフランス初のスターバックスが誕生した2004年、カフェの街パリにコーヒーショップが根付くと思う人は多くなかった。それが、こだわりの豆を仕入れ、ラテやコールドブリューなどバリエーションを提案する店が増え始めたのはいつ頃からだろう。いまや、マグカップにたっぷり入ったコーヒーとともにケーキやクッキーを提案する北米系や、サードウェーブ系のコーヒーショップは一大潮流だ。
このトレンドに、あのラデュレが参入した。ドリンクはオリジナルブレンドのフィルターコーヒーと、「ラテ・イスパハン」など4種のシグネチャーラテ。食べ歩きしやすいフィンガーパティスリーとフィンガーサンドウィッチも提供する、フランス風コーヒーショップといえそうだ。
4, place Edmond Rostand 75006
www.laduree.fr/ladureejardin- du-luxembourg.html
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一方、豆にこだわるスペシャルティコーヒーの世界にもフランスらしいメゾンが誕生した。モミュスでは、19年に焙煎のM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)を獲得したダニエラ・カプアーノが厳選する10種のシングルオリジンとアッサンブラージュを提案。フレグランスショップさながらに、それぞれの豆の香りを試すための展示と、アロマの系統を示したカードが並ぶ店内。好みの味とアロマをバリスタとともに検証しながら、オーダーメイドのブレンドを調合するサービスはオートクチュール気分。バカラのクリスタルで味わうエスプレッソも格別だ。
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では、昔ながらのパリのカフェは廃れてしまうのだろうか? 有名無名のご近所さんが集い、典型的なカフェ・パリジャンとして長い歴史を持ちながら、数年前に扉を閉めて惜しまれていたモンマルトルのオ・レーヴが蘇ったのは、カフェがパリジャンにとって不可欠であることの証だろう。人気のホテルやショップの内装を次々手がけるクリエイションスタジオ、サンラザールが買い取り、オーセンティックな内装を残して磨き上げた店内は1920年代の香りそのまま。カウンターで飲むエスプレッソはたった1.30ユーロ。メニューには、自家製のウフマヨやタルタル、オニオングラタンスープ、エスカルゴが並ぶ。朝のテラスではさっそく、子どもを学校に送り届けた近所のママたちがおしゃべりに花を咲かせる姿が見える。ランチタイムには日替り定食、夕刻はアペロに、ディナーの後もワイン片手に、と一日中人が集うカフェは、やはりパリの永遠のカルチャーなのだ。
●1ユーロ=約160円(2024年1月現在)
*「フィガロジャポン」2024年2月号より抜粋
text: Masae Takata (Paris Office)