マルモッタン美術館で明かされる印象派画家ベルト・モリゾと18世紀芸術の関係。

Paris 2024.01.31

偉大なる印象派の画家として19世紀後半に活躍したベルト・モリゾ(1841~95年)。マルモッタン美術館で現在開催されているのは、その彼女と18世紀芸術との関わりをテーマにした『ベルト・モリゾと18世紀の芸術 ワトー、ブーシェ、フラゴナール、ペロノー』展だ。個人所蔵作品も含め65点を展示して、ベルト・モリゾと18世紀を代表する画家たちの関係に光を当てている。このテーマは長いこと歴史家たちが指摘はしていたのだが、こうしてひとつの展覧会としてまとめられたのは今回が初めて。なおこの展覧会はパリに先駆けて、ロンドンのダリッジ・ピクチャー・ギャラリーで開催された。

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左:最初の展示は、ベルト・モリゾの『Au bal(舞踏会にて)』から。彼女が所有した18世紀の2本の扇とともに。 右:『Au bal』でモデルが手にしているのが、展示右側のこの扇だ。photos:Mariko Omura

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ベルト・モリゾが44歳の時に描いたのは、18世紀によく見られたポーズの『自画像』(1885年)。この10年後に彼女は亡くなる。なお彼女の夫は画家エドゥアール・マネの弟ウージェンヌ・マネで、彼も彼女の3年前に若くして亡くなったため、ひとり娘ジュリー・マネは16歳で孤児となった。photo:Mariko Omura

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19世紀後半に画家として革新的とされる彼女だが、前世紀に対する嗜好を持っていた。それはなぜか、という謎解きがこの展覧会でなされている。彼女が育ったのはブルジョワの裕福な家庭。18世紀の有名な家具師であるジャコブ・デマルテールと彼女の家族が親しかったこともあり、室内装飾にも暮らしぶりの中にも18世紀がしっかり根付いていたことによるのだ。彼女の美意識を育んだのは自宅の室内装飾に加え、フラゴナール、ブーシェ、ワトー、ジャン=バティスト・ペロノーといった18世紀の画家たち。ペロノーのように彼女もパステルの作品を多数手がけ、また彼女が自分の作品に描いていたのも18世紀の絵画に特徴的な生きる歓び、ほほえみ、陽気さである。

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『Femme à sa toilette』(1875〜80年頃)。© Chicago, The Art InsPtute, courtesy The Art InsPtute

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左: ベルト・モリゾ『La Fable』(1883年)。© ChrisPan Baraja SLB 右: ベルト・モリゾ『Les enfants à la vasque』(1886年)

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左: ジャン=オノレ・フラゴナール『La leçon de musique』(1769年)© RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Franck Raux 右: アントワーヌ・ワトー『Les plaisirs du bal』(1715〜17年頃)

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展覧会は、彼女の作品として有名な作品のひとつで美術館所蔵の『Au Bal(舞踏会にて)』(1875年)で幕を開ける。描かれているのは舞踏会のドレスを纏い、扇を手にしたパリジェンヌ。その作品の左右には彼女が所有していた18世紀のシルクの扇を展示している。そのひとつは『バル』でモデルが手にしている扇だ。

最初のセクションでは、彼女が日常的に接していた自宅内の壁紙や絵画といった18世紀の芸術にあふれていた面にスポットを当てている。2つ目のセクションでは1870年頃からルーヴル美術館がワトー、フラゴナールなど18世紀の画家の作品を展示するようになり、ルーヴル美術館に通っていた彼女の作品に与えた影響を具体的に示している。

3つ目は1880年頃から、日常の情景や家族の親密さといった題材を選ぶようになった彼女のブーシェへの傾向に特化したセクションだ。1883年にはルーヴル美術館で見たブーシェの作品の一部をコピーしているほど。このコピーは自宅内のアトリエ内に飾るためだったそうだ。その後彼女はフラゴナールの作品の一部に倣った作品も残している。

展覧会では1885年にパリで開催された18世紀のパステル展の後に、彼女もパステルを多用するようになったことを示す部屋を設けて......と彼女と親しかった画家のルノワール、作家のステファン・マラルメたちが語っていた彼女と18世紀の関係を視覚的にわかりやすく紹介。ベルト・モリゾの作品の魅力を新しいアングルで解き明かす展覧会でもあるのだ。なお長いこと彼女はジャン・オノレ・フラゴナールのひ孫か?という説があったのだが、この展覧会ではその説が正しくなかったことを語る一室を設けている。

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ベルト・モリゾが日常的に目にしていたフランソワ・ブーシェの『Fête italiennes』に倣ったRosalie Riesenerの作品。© Pôle Muséal de la Communauté d'AggloméraPon Lisieux Normandie / ChrisPan Baraja SLB

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左はベルト・モリゾの『Jeune femme arrosant un arbuste』(1876年)、右はジャン・オノレ・フラゴナールの『Jeune femme debout, en pied, vue de dos』(1762〜1765年頃)。photo:Mariko Omura

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左はフランソワ・ブーシェが描いた牧歌的光景、右2点はベルト・モリゾが描いたブージヴァルの庭。photo:Mariko Omura

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水彩で18世紀の扇風にモチーフを多数描いた。photo:Mariko Omura

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フランソワ・ブーシェの『Vénue va demander des armes à Vulcain』に倣って描いた作品(1884年)を自宅のリビングの扉の上に配置。いまもその家に残されているそうだ。© ChrisPan Baraja SLB

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左: フワンソワ・ブーシェの『Apolon révélant sa divinité à la bergère Issé』(1750年)と、その左にこの作品の左下の一部をモリゾが1892年に描いた作作品を展示。 右: マルモッタン美術館が所蔵する『Bergère couchée』(1891年)。室内装飾用のため63×114cmの横長サイズで描かれている。会場では18世紀風内装をイラストで作り、そこに展示している。photos:Mariko Omura

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パステル画の展示より、『Filette au jersey bleu』(1886年)。photo:Mariko Omura

『Berthe  Morisot  et l'art du XVIIIIe siècle、Watteau, Boucher, Fragonard, Perronneau』展
会期:開催中~2024年3月3日
Musée Marmottan Monet
2, rue Louis-Boilly
75016 Paris
開)10:00~18:00
休)月
料金:14ユーロ
www.marmottan.fr

editing: Mariko Omura

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