ポンピドゥー・センターで、モダンアートとモードの17の対話。

Paris 2024.02.05

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白と黒の対比を描く、クリスチャン・ディオールの「バー」ジャケット(1947年春夏オートクチュール)とエルスワース・ケリーの『White Over Black』(2015年)。©️EllsworthKellyFoundation photo: Centre Pompidou, MNAM-CCI/Audrey Laurans/Dist.RMN-GP

パリのオートクチュール・ウィーク中、ポンピドゥー・センターで『Bridging  appearance』展の開催が始まった。2022年にパリ市内で5つのイヴ・サンローラン展が同時開催された時のように、センターのレベル5のフロアで展示されている1905年から1965年までのアート作品の中に服を展示するという形式だ。キュレーションを託されたのはイヴ・サンローランの伝記をはじめ、モード関連の種々の本を書いているジャーナリストのローランス・ベナイム。彼女は1925~30年頃のシャネルのクチュールドレスに始まり、2022年に発表されたケヴィン・ジェルマニエのリサイクルパールのドレスまで20世紀~21世紀のクチュリエ&クリエイターから17点を、この展覧会のためにセレクションした。

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モードとアート。そのイントロダクションはヴィクター&ロルフによる肩の開いた膝丈ドレス。素材は白いトワルと木のフレームでモードとアートが一体化している。photo:Mariko Omura

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1925〜30年頃のシャネルのクチュールドレスは、このドレスが着られた時代と環境を想起させるクリスチャン・シャドの『Le Comte St-Genois d'Anneaucourt』(1927年)と並びで。photo:Mariko Omura

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ケヴィン・ジェルマニエの2022年春夏コレクションより、リサイクルビーズを使用したユニークピース。その隣は、ウルリケ・オッティンガーによる『Liebesperlen(愛のビーズ)』(1967年)。会場内の展示作品の鏡越しの光景。photo:Mariko Omura

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色彩、フォルム、発想......17点のそれぞれがポンピドゥー・センターの作品とそれぞれ対話するように展示されている。この会場でしか実現できない展覧会と言っていいだろう。ジャン=ポール・ゴルチエのメタリックなコルセットとウィルヘルム・フレディーの冒涜的でエロティックな『修道女の祈り』(1937年)が並び、ポピー・モレニがアルルカンにインスパイアされた上下はジョルジュ・ルオーの『道化者』(1910~1913年)と並び、アライアのジッパーがスパイラルを描くチューブドレスはマルセル・ブラウアーの家具とともに、またシャルル・ドゥ・ヴィルモランの目まぐるしい色彩のドレスはロベール・ドローネーの作品に囲まれて、といったように。アートとモードの深い関係。意識的あるいは無意識的、同時代あるいは過去を遡って......とモダンアートをめぐる服の作り手の想像の旅を思い描き、既知の芸術作品に新たな視線を投げかける機会となる。このフロアにアート作品を目指してきた来場者たちも思いがけないモードの展示に関心を示している様子が見られた。

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左はイヴ・サンローランの1969年秋冬オートクチュールコレクションより。ウエスト部分はクロード・ラランヌによる銅を型取りした彫刻。右はアンリ・マティスの『Le Luxe』(1907年夏)。photo:Mariko Omura

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左: ロベール・ドローネーの作品に囲まれた、シャルル・ドゥ・ヴィルモランの2021年春夏クチュールコレクションより。 右: マルセル・デュシャンの展示室の中央に、マリーン セルの2021年春夏コレクションのコンビネゾン。photos:Mariko Omura

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イリス・ヴァン・ヘルペンのGalatic Glitchドレス(2019年)とマルク・シャガールの『エッフェル塔の花嫁』(1938〜39)。photo:Mariko Omura

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左: アズディーン・アライアによる2003年オートクチュールドレス。後方に見えるのはマルセル・ブラウアーの食卓と椅子(1926年)。 右: ジャン=ポール・ゴルチエの1988〜89年秋冬プレタコレクションから。シルバー液につけられたレースとメタルのコルセット。左はヴィルヘルム・フレディの『Nonnens bon』(1937年)。photos:Mariko Omura

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イッセイ・ミヤケの「Mutants Pleats」(1989〜1990)はハンス・アルトゥングの『T-19656-14』(1956年)の隣に。同じ部屋で展示されているエティエンヌ・マルタンの『L'Idole des ramoneurs』(1946年/ 写真右)にも目を向けさせるドレスだ。photos:Mariko Omura

『La traversée des apparences(Bridging appearance)』展
会期:開催中~2024年4月22日
Centre Pompidou, Niveau 5
Place Georges-Pompidou, 75004 Paris
開)11:00~21:00
休)火
料金:15ユーロ
www.centrepompidou.fr

editing: Mariko Omura

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