シャネルのメゾンダール、ゴッサンスのジュエリーを日本から入手しやすくなった。

Paris 2024.04.23

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左: ロッククリスタルのリング。四つ葉のクローバーはゴッサンスのアイコンモチーフのひとつ。右: カラフルなロッククリスタルのジュエリーはアイテムが豊富だ。photo:(右)Alix Marnat

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サイトのタリスマン・バーのページでは好みのチェーンとメダルを組み合わせて。買い物はhttps://www.goossens-paris.com/en-USを開き、購入希望品をバスケットに入れ、日本配達をセレクトする。photo:(左)Alix Marnat

メダルネックレス、チャーミングなクローバーモチーフ、モードなチェーン、白い輝きのロッククリスタル、あるいはカラフルなロッククリスタル......メタル部分はゴールドコーティングされた真鍮で、不均一さ、いびつさが手仕事を感じさせる味わいも大きな魅力だ。そんなゴッサンスのジュエリー人気がパリジェンヌたちの間で高まっている。

サントノレ通りのブティックに行けなくても、日本からe-shopで購入しやすくなったというので、この機会に改めて歴史を紐解きつつle19M内のゴッサンスのアトリエを訪れてみよう。ここではゴッサンスというメゾンのためのジュエリーとインテリアの品、シャネルのため、またメティエダール コレクションのため、そして他のブランドのための......とその貴重なサヴォワールフェールは想像以上に多岐に活用されているのだ。

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パリ19区、シャネルのメティエダールが集められたle19M内が本拠地となったゴッサンス。エレベーターホールにジュエリーと室内装飾品の仕事に携わるメゾンであること、ロッククリスタルがアイコニックな素材であることを示す展示がなされている。photos: Mariko Omura

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クチュールジュエリーの元祖、ロベール・ゴッサンス。

2005年にシャネルのメゾンダールの一員となったゴッサンス。ブロンズの鋳造所を有していた金銀細工師の父を持つロベール・ゴッサンス(1927~2016年)が創業した。1950年にマレにアトリエを開き、シャネルの仕事をしていた彼のクリエイションのリミットに挑戦するパワーと旺盛な好奇心が、ガブリエル・シャネルの気に入られるところとなった。1953年に実際に出会った創造への情熱を共有するふたりは、コスチュームと本物のジュエリーのコードを遊んだコスチューム ジュエリーを世に出すのだ。当時の女性たちが夫の富をひけらかすように高価なジュエリーで身を飾っていたことを嫌っていたガブリエル・シャネルらしい発想である。アンティークジュエリーやビザンティンジュエリーをふたりは好み、こうしたテイストはメゾンのDNAとなって、現在もクリエイションに継続されている。素材としてロッククリスタルが用いられることが多く、これはメゾンを代表する素材のひとつとしていまも多用されている。

le19Mのアトリエにはこの時代のシャネル、バレンシアガ、イヴ・サンローランといったメゾンのためにゴッサンスがクリエイトしたコスチューム ジュエリーがミュージアム的に展示されている。これらは現代のクリエイションにインスピレーションを与え、こうしてメゾンの歴史が継続されるのだ。

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ガブリエル・シャネルとロベール・ゴッサンスによるコスチューム ジュエリーを彷彿させるブレスレットやブローチは定番として販売されている。

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le19Mで、ジュエリーもアール・ドゥ・ヴィーヴルも。

アトリエはマレからパリ郊外パンタンに拡張移転し、いまでは2021年にオーベルヴィリエに完成したle19Mがゴッサンスの本拠地となった。ここではジュエリーに限らず、シャンデリアやテーブルなどアール・ドゥ・ヴィーヴルに関わる品のクリエイションも行なわれている。ロベール・ゴッサンスが小さなインテリアオブジェや家具などを手がけるようになったのは、1957年のこと。ガブリエル・シャネルのアパルトマンでおなじみの麦の穂のテーブルがよく知られているが、彼がインテリア分野にも関わることになったのは、彼女が所有していた水晶球を用いてオブジェを作る挑戦を彼に挑んだことがきっかけだったそうだ。その時に生まれたのが、3匹のライオンが水晶球を支えるオブジェである。これは現在ゴッサンスのアイコニックなオブジェのひとつとして4サイズで展開され、インターネットでも購入できる。ちなみに彼がシャネルのためにクリエイトしたのは、この4サイズをはるかに超える大きなオブジェだったとか。

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サイトのInteriors Decorのページで販売されているライオンのオブジェは4サイズあり。photo: Alix Marnat

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左: 麦のキャンドルホルダー。右: 睡蓮のランプと灰皿。フラットな真鍮プレートを立体的なフォルムに仕立てる見事な職人仕事が見られる。photo:(右)Alix Marnat

ワックスや金属など、さまざまな匂いが混じり合う室内装飾部門のアトリエ。時には作業の大きな音が響く。ここで用いられるメイン素材は真鍮とロッククリスタルで、職人たちによる手作業ですべてが製作される。フラットな真鍮の板が叩かれ、打たれ......2次元が3次元となり、さらに微妙なテクスチャーが与えられる。これらは組み立て前にゴールド液の水槽に浸けられるそうで、これはインテリアの品に限らずジュエリーも同じだという。アトリエが素材とするロッククリスタルは完全に透明なものはなく、インクルージョンが含まれるものが選ばれているので、同じデザインでも味わいが異なる仕上がりとなる。2022年にカンボン通りにゴッサンス・ギャラリーがオープンしたが、そこで扱うのはこのアトリエで制作されたものばかり。

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室内装飾部門のアトリエにて。半透明のロッククリスタルと真鍮のプレートがメイン素材だ。photos:(左)Mariko Omura、(右)Alix Marnat

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平らなプレート状の真鍮が叩かれて葉や花など立体のフォルムを得る行程が見事だ。組み合わせは溶接で。photo: Alix Marnat

le19Mのワンフロアを占めるゴッサンス。その一角にクリエイションスタジオが設けられている。ここでインテリアのオブジェがデザインされ、プロジェクトが進められ......。ジュエリーに比べると身近に感じられないかもしれないが、実は世界中のシャネルのフラッグシップショップでゴッサンスの仕事を見ることができるのだ。シャンデリアであることが多いが、ブティックによっては家具もある。ニューヨークのフィフスアベニューにオープンしたジョワイユリーのブティックが最新の仕事だ。

おもしろいことに、室内装飾品のための仕事がジュエリーにインスピレーションを与えることもある。たとえばミラーの周囲を飾った葉モチーフが、イヤリングになったり、プラストロンになったり。またシャンデリアのチェーンもそのいい例で、太めのものがネックレスになることもあれば、小さい鎖がベルトにも......。従ってこのアトリエでは、職人によってはインテリアの品に限らず、ジュエリーの仕事をすることもあるという。最近のモードに欠かせないチェーンネックレスのちょっと気になる裏話である。

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ジュエリーのクリエイション

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ブティックで販売されるジュエリーのクリエイションは、デッサンからスタート。手仕事の味わいが生きるプロトタイプ作りが、ハイジュエリー工房と同じように行われる。photos:(上段左右、下段左)Alix Marnat

アトリエでは目下2025年春夏コレクションのプロトタイプ製作が進行中だ。ロベール・ゴッサンスの息子パトリックがアーティスティックディレクターを務め、メゾンのサヴォワールフェールもテイストも継続、伝承されているのが心強い。職人たちはエタブリと呼ばれる木の作業台を前にし、ロストワックス法で型作りをし、石をカットし、メタルを磨いて......ハイジュエリーの工房と同じような光景が繰り広げられている。ロッククリスタルのカボションのブレスレットやネックレスは迷うほど色のセレクションが豊富だが、これらの色はアトリエ内のカラーラボが手作業でクリエイトしていて、どんな色でも希望通りに生み出せるのだ。

インテリア部門でおなじみのモチーフは睡蓮や麦。ハルミ・クロソフスカ・ド・ローラとのコラボレーションによるヤドリギのモチーフも人気がある。このように自然界からインスピレーションを得ているのはジュエリーも同様で、たとえばメゾンのアイコンモチーフである四つ葉のクローバーも自然界の愛らしい存在だ。いまの季節ならケシの花やコーラルだろうか。ゴッサンスのジュエリーの魅力は眺めて目を楽しませ、そして身に着けて100パーセント味わえる。ホームページを覗いて、自分のお気に入りを見つけてみよう。

Goossens Paris
416, rue St.Honoré 75008 Paris
www.goossens-paris.com/en-US/en-US

editing: Mariko Omura

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