スパもワイナリーも。シャトー・ドゥ・ベルヌに泊まって南仏三昧。【後編】

Paris 2024.07.18

とてもリュクスなのに、派手さには無縁。自然との触れ合いに満ちた気持ち良い滞在ができるのが、プロヴァンス地方にあるルレ&シャトーの5ツ星ホテルであるChâteau de Berne(シャトー・ドゥ・ベルヌ)だ。ホテルの3つのレストランを紹介した前編に続き、今回は宿泊の楽しみを語ろう。スパ体験、ワイナリー見学、料理教室、庭散策、プール......敷地内でできることがたくさん(移動あり)。まるで1つの村に暮らしている、といった感じに退屈知らずの毎日が待っている。どこで何ができるのか。全容をつかむべく、到着したらホテルの地図をフロントですぐに入手しよう。

車など都会の騒音から隔絶された土地で、聞こえるのは鳥の声だけ。シャトー・ドゥ・ベルヌにモナコ・グランプリが開催される時、モネガスク(モナコ住民)たちが静けさを求めて滞在しにくるというのも頷ける。

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シャトー・ドゥ・ベルヌ。ロゼワインとプールをプロヴァンスの太陽の下で。photography: Mariko Omura

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シャトーと前庭の水汲み場。18世紀のプロヴァンスがそのまま目の前に! photography: Terry Clement

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プロヴァンス地方のエレガンスが漂うホテルで眠る。

25年前にホテルが開かれて以来、シャトー・ドゥ・ベルヌの敷地は広がり続けている。ブドウ畑も含めて現在600ヘクタールを有するホテルは、18世紀に建築されたシャトーをはじめ敷地内に点在する複数の建物に6つのカテゴリーの合計34室が点在している。部屋にはサントロペなどの近隣の地名だったり、オリーブやスリーズ(サクランボ)といった植物が名前につけられ、扉を開くと目に飛び込んでくるのはプロヴァンスを意識したインテリア! 窓を開く、ベランダに出る。目の前に広がるのは葡萄畑や緑あふれる心休まる景色だ。部屋ごとにプールに行く時に使うためのバスケットが用意されていて、それがちょんと置かれた光景は、太陽の下で素晴らしいヴァカンスが始まる予感を与えてくれる。ホテルには屋外プールが2つ。プールサイドでカクテルを味わったり軽食をとったりで、1日を怠惰に過ごすのも悪くない。

たっぷり遊んで、ぐっすり眠って。翌朝は緑の広がりを眺められるテラスで朝食だ。ビュッフェのパンは種類がとても豊富。アラカルトもあり、お腹がペコペコなら、卵ひとつから作ってもらえるエッグベネディクトを!

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ジュニア・スイートのPlatane(プラタナス)。どの部屋の窓からも緑の眺め。

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各部屋にパニエが置かれている。写真はラベンダーと名付けられたエレガントなファミリー・スイートルーム。©️ herve fabre

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レストランLe Jardin de Berneがある建物の上階に、広いテラス付きの部屋が並ぶ。

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ホテルでは2つの屋外プールが待っている。photography: Hervé Fabre

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テラスでビュッフェ朝食。アラカルトの卵料理のひとつ、エッグ・ベネディクトはスモークしたマスかベーコンを添えて。photography: Mariko Omura


バーでアペリティフ? ティータイム?

宿泊していても、していなくてもランチの後の食後酒やディナーの前の食前酒が楽しいことには変わりがない。15時に営業が始まるバーも、シャトー・ドゥ・ベルヌで素晴らしい時間を過ごせる場所のひとつである。ワインやカクテル、モクテルといった飲み物だけでなく、シェフ・パティシエによるアフターヌーンティータイムも。プロヴァンスの午後を緑に囲まれたバーのテラス席で、のんびり、まったりと。

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白い花が咲き誇る小道を辿って進むと現れるバーの緑のテラス。ちょっと一杯のつもりが、快適な雰囲気に長居したくなる。photography: LeaGil

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グラスの中にプロヴァンスが! バーが提案するモクテルは3種あり、どれもおすすめだ。photography: Mariko Omura

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スパを満喫! 美と寛ぎの時間を。

800平米のスパがあるのはレセプションのある本館の地下1階。高台に立つ建物なので、テラスからブドウ畑が遠くに眺められ、目にも快適で心休まるスパである。しかも初夏から初秋にかけて、咲き誇るバラに囲まれたオープンエアのベッドでボディーマッサージが受けられ、これは極上のひと時だ。スパ内のシンプルで清潔な6つの施術ルームのうち2室は2人用なので、友達やパートナーとともに。スパが使うのは2つのブランドで、1つはパリにもサロンがあるCinq Mondes(サンクモンド)、そしてもう1つはボルドー発のヴィノテラピーブランドのVinésime(ヴィネジム)だ。特筆すべきはシャトー・ドゥ・ベルヌならではのゴマージュ。シャトーで育った黒ブドウの搾りかすをベースにしたオリジナルのプロダクトを使用している。ゴマージュのあと、腕、脚、背中......ビロードのように柔らかになった肌からは、白桃とアンズのようなブドウの良い香りがほんのりと。

スパには屋内プール、ジャクジー、ハマム、サウナ、リラクシングルームが備えられている。フェイシャルやボディケアだけでなく、スパに行ったら時間を忘れて寛ぎに身を任せたい。

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バラの香りに包まれて、ゴマージュを含むボディマッサージ。photography: LeaGil

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長さたっぷりのスパの屋内プール。ひと泳ぎしたら、外のテラスの長椅子でお昼寝!

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ブドウの恵みを! オリジナルのゴマージュはスパで販売している。65ユーロ(200ml)。photography: Lea Gil


料理教室、ハイキング......野菜畑に小動物。

滞在の長さにもよるけれど、木曜の午後は料理教室が開催されるなど時間が足りなくなるほど色々なアクティビティがシャトー・ドゥ・ベルヌでは用意されている。スポーツ派はテニス、ペタンク、ピンポン、ヨガ、フィットネス......。サイクリングや100kmのコースのハイキングといった敷地の外での活動もワイルドで楽しそう。

美しい自然の中をぶらぶらと散歩して、目を喜ばせるのもいいだろう。ホテルの敷地内に設けられている広い野菜畑へ行ってみよう。プロヴァンスの太陽を浴びて野菜、果物、ハーブが元気に育っている。持続可能な農業を実践する畑を指揮するのは、ミシュランのグリーンスターを得ているホテル内のガストロノミー・レストランLe Jardin de Berne(ル・ジャルダン・ドゥ・ベルヌ)のシェフ、ルイ・ラモーだ。作物から大いにインスピレーションを得ている彼。シェフの味わい深いガストロノミー料理を支えているのがこの畑である。野菜畑の向こうには鶏小屋、反対方向へと歩けば羊たちがのんびりと草を食む農場......そして見渡す限りのブドウ畑。地図を片手に散歩してみよう。

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木曜の午後は料理教室。プロヴァンス料理を学ぶチャンスだ。

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ヤギや羊たちにボンジュール。photography: Mariko Omura

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野菜畑で育つズッキーニ、トマト、アーティチョーク......。photography: Mariko Omura

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散歩者のためにイラスト入りのパネルが随所に用意されている。写真は植えられているブドウの品種rolleとugniについての解説だ。photography: Mariko Omura

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ホテルの部屋から外へ! 豊かな自然を求めて出かけよう。photography: Martindejoie


ワイナリーそしてブティックでショッピング。

シャトー・ドゥ・ベルヌの名前は赤、白、ロゼのワインとしても有名。ユニークな角形ボトルは18世紀に建築されたシャトーの建物のフォルムに由来しているのだが、ここのブドウ畑の歴史はなんと紀元前200年に遡る。11世紀に畑は僧侶Bernard(ベルナール)の所有するところとなり、いまにその名(Berne)を残しているのだ。18世紀に入りエステロン家が新しい持ち主となった。ファミリーが1750年に建てたシャトーの角型の塔がその後ワイン・ボトルのインスピレーション源となり、またシャトーは現在ホテルとして活用されている。コート・ドゥ・プロヴァンスのロゼとして名高いシャトー・ドゥ・ベルヌへとの歩みが始待ったのが18世紀で、今日にいたるまで持ち主は何度か変わっている。ワインだけでなくホテルとしての経営が始まるのはいまから25年前のことだ。

2010年からブドウの有機栽培に切り替え、基本的には5年のところ土のタイプが2つあるため10年をかけてビオへと転換を終えた。初夏のブドウ畑を見てみると、赤いひなげしの花がたくさん咲いている。これは、ひなげしの花に集まる昆虫がアブラムシを食べてくれるので、ブドウが被害にあわないというエコシステムゆえ。

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シャトー・ドゥ・ベルヌのワインは角形のボトルで有名だ。

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18世紀に建築されたシャトー。その塔のフォルムがボトルのフォルムに。

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ヒナゲシが咲くシャトー・ドゥ・ベルヌのぶどう畑。photography: Mariko Omura

ホテルの敷地に入る扉の直前に、年間600万本のワインを生産するというシャトー・ドゥ・ベルヌのワイナリーとプロヴァンスの名産やインテリアグッズを販売するブティックがある。宿泊せずにここを目指してやってくる人も少なくない。最初のスペースはテイスティングルームで、ここのガラス張りの窓から18世紀のステンドグラスが輝く部屋にオークの樽が並ぶ光景が眺められる。ガイドツアーの1時間コースはワイナリー内で、締めくくりにはシャトーの赤、白、ロゼのワインそしてシャトーのオリーブオイルの試飲が待っている。2時間コースはぶどう畑の見学も含まれ、試飲は赤、白、ロゼを各2種とオリーブオイルという内容だ。

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ガイドツアー。1時間コースは11時~16時(20ユーロ、2名~25名は各10ユーロ)、2時間コースは10時30分~14時30分(50ユーロ、2~25名は各25ユーロ)。

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うま味と書かれた樽には、日本で生まれた樽製造の方法が用いられている。この方法によりワインに"うま味"が加わるそうだ。photography: Mariko Omura

ホテル本館のエントランス脇にある小さなブティックは帽子、バッグ、プレタポルテなどファッション関係が中心。このワイナリーのブティックではワインを買えるだけでなく、シャトーのオリジナルオリーブオイルやオリーブの樹で作った器、プロヴァンス地方のお菓子などお土産をたくさん見つけられる。

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ワイナリーとブティックの営業は10時~19時。photography: Mariko Omura

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シャトー・ドゥ・ベルヌの敷地にオリーブの樹は4000本。レストランでも使われているオリジナルのヴァージン・エクストラ・オリーフブオイルはブティックで購入できる。photography: Graphop


別荘暮らしのような極上プロヴァンス滞在は、ヴィラに泊まって。

シャトー・ドゥ・ベルヌではホテル滞在だけでなく、今年オープンした2つを含む5つのヴィラでも宿泊ができる。新しい2軒は18世紀の建築物とかつての羊小屋を、地元のサヴォワールフェールを用いて宿泊施設に改装したものだ。5つのヴィラはそれぞれ部屋数が異なり、例えば3部屋のヴィラを選んだとしよう。ほかの宿泊客とすれ違うことなく、ここで仲良し3カップル、あるいはファミリーでまるで自分たちがプロヴァンスに持つ別荘のように過ごせるのだ。バスローブのままの朝食だって、ここならOK。どのヴィラも専用プール付きで、プールサイドの長椅子に寝そべり、グラスワイン片手に読書? ぼーっとお昼寝? プール脇の東屋の大きなテーブルでバーベキューランチやディナー? 5ツ星ホテルが提案するサービスはヴィラでも得られるので、タオル交換やルームクリーニングなどはすべてお任せだ。キッチンが備えられているので自分たちで食事を用意することもできれば、デリバリーも可能。カートを運転してホテルのレストランへも。ホテルの部屋に泊まるのとは一味異なる南仏滞在は多くの思い出を残してくれるだろう。

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5つのヴィラのうち、今年オープンしたル・マ・ドゥ・ガンベッタ。各ヴィラには専用のプールが備えられている。ヴィラとホテルの敷地はカートで移動。

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ヴィラでは部屋ごとにテラスが設けられているので、ここで読書をするなど仲間との時間ばかりではなくプライベートな時間も持てるのがいい。

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写真はヴィラFitoの庭に面したダイニングキッチン。ヴィラの予約はハイシーズンは1週間から。ローシーズンなら3泊から。

editing: Mariko Omura

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