パリだけどおいしいイタリア料理を、ペナティ・アル・バレットで。
Paris 2024.07.27
パリのイタリアンレストランは"アル・デンテ"という言葉を知らない......と以前よく耳にした。フランスでパスタは野菜とみなされているためにクタクタに煮る、ということらしいけれど。流石に最近は茹で過ぎのパスタを出すイタリアンレストランは減っている。とはいえ、本国やイタリア人も褒める日本のイタリア料理のレベルにはほど遠いのが現実だ。
アンヴァリッドの脇の通り、緑色のテントが目印のガストロノミー・イタリアンレストラン。夏場はこの前にテラス席が設けられる。
店内には落ち着き、明るさ、エレガンスが共存している。
そんなパリにあって、別格のイタリア料理を食べられるのがPenati al Baretto(ペナティ・アル・バレット)である。高級感がありエレガントな雰囲気のレストランで、7区のアンヴァリッド(廃兵院)の近く。ナポレオンが眠るお墓があることで有名な教会の金色のドームがテラス席から至近距離で眺められる。"小さなバーのペナティ"という意味の店名はそのまま、今年の3月に8区のバルザック通りからここに引っ越してきた。シェフのアルベリコ・ペナティはホテルのロイヤル・モンソー内でミシュランの星をとった「カルパッチョ」を経て、ロンドンのハリーズ・バーを経由してパリに自分のレストランを開いたシェフだ。ミラノの北のブリアンツァ地方の出身の彼は、レストランではイタリアのガストロノミー地方料理を提案している。
シェフ、アルベリコ・ペナティ。
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メニューの定番でお勧めを聞いたところ、牛肉のカルパッチョ、海老ソースのカニのラヴィオリ、シシリアスタイルのサーディンのスパゲッティ、イカ・海老・ズッキーニのミックスフライ、アルベリコ・ペナティ風ティラミスだという。もちろんこれらも気になるし、本日の前菜とメインも気になるし、メニューに並ぶほかの料理も気になるし......なんだかどれもとてもおいしそうなのだ。堅苦しくない高級感あるシックな雰囲気のせいだろうか、よそのテーブルに運ばれてゆく料理から漂うおいしそうな香りのせいだろうか。
アンティパストとパスタにするか、アンティパストと肉か魚料理にするか、あるいはパスタとメインに......など迷ううちに、テーブルには食前酒のおともにと赤牛のパルメザンチーズやトリノのオリーブが登場。さらにフォカッチャ用のシチリアのオリーブオイルと、アンティパストが出てくる前にはグリッシーニやグリーンピースのミニコロッケ......。奥行きの深い味わいにシェフの素材選びと腕前が感じられ、食事への期待を高まらせる。
食前酒のおともにオリーブ、パルメザンチーズ。photography: Mariko Omura
おいしいアミューズブーシュが食事のプレリュード。photography: Mariko Omura
トマト、なす、ジロル茸、アーティチョークといった野菜の名前が、季節を感じさせる。夏のいまはNorciaの黒トリュフをスライスして乗せる前菜とパスタのメニューが別に用意されている。本メニューの料理にも希望すれば、黒トリュフの追加が可能だそうだ。価格が手頃とは言い難いレストランだけど、イタリアのさまざまな地方から届く鮮度が素晴らしい食材、素材、そしてシェフの腕前を知れば納得できる価格である。サービスも格式張らないけれどくだけ過ぎず、丁寧で気が利いている。パリのレストランにあって、イタリアのワインが360種も。これはソムリエ、マッシモのセレクションだ。
前菜より。ヴィッテロ・トナート(仔牛の薄切り、マグロソース)は29ユーロ。photography: Mariko Omura
スパゲッティ、リングイネ、ラヴィオリ......パスタの選択は豊富だ。
ランチメニューは前菜+メインが39ユーロ、前菜+メイン+デザートで45ユーロ。
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アルベリコ・ペナティ風ティラミス、バニラ風味のリコッタチーズのタルトといったデザート。その後の締めくくりもまた、気持ちを高揚させるひと時である。カフェとともにミニャルディーズがサービスされる。もうお腹がいっぱい!と思っても、カラフルで愛らしい"シロップの雫"につい手が伸びることに......。引っ越し前の8区時代の常連たちが、こちらにも通い続けるというのがよくわかる。
左がコーヒーゼリーの層がユニークなアルベリコ・ペナティ風のティラミス。手前はピエモンテのヘーゼルナッツ入りジャンドゥーヤ。photography: Mariko Omura
ミニャルディーズ。"シロップの雫"は色で味が異なるので1粒、また1粒と......。photography: Mariko Omura
Penati al Baretto
94, boulevard de la Tour-Maubourg 75007
営)12:30~14:30 19:30~22:30
休)日、月曜ランチ
https://www.penatialbaretto.eu/
@penati_al_baretto
editing: Mariko Omura