リッツ・パリのオークションで、永遠の洗練を自宅に。
Paris 2024.08.30
フランスの初夏、書店のベストセラーのひとつはフィリップ・コランの小説『Le barman du Ritz(リッツのバーマン)』(Albin Michel刊)だった。列車や飛行機で長旅をする人たちが肩のこらない1冊として買ったようだ。これはリッツ・バーの伝説的バーマン、フランク・マイヤー(1884~1947年)をモデルにした小説である。彼はカクテル「オリンピック」の作者とされているが、1924年のパリオリンピック時のクリエイションだろうか? 1921年から、1947年に亡くなるまでリッツ・バーで働き、第二次世界大戦中にホテルがドイツ空軍の本部として使用されていた際はドイツの将校たちにカクテルを作ってサービスしていたのも彼だ。オーストリアからの移民でユダヤ人だった彼が......。リッツ・パリを舞台にした読みごたえのある小説の久々の登場である。
---fadeinpager---
125年以上の歴史あるホテル、リッツ・パリ。パリ8区の競売メゾンArtcurial (アールキュリアル)で9月25、26、27日にかけてそのリッツ・パリの1500組の品がオークションにかけられる。「リッツ・パリの世界」と題され、食器、グラス、陶器などが出品され、中にはホテルの紋章や有名なヘミングウェイバーのイニシャルHが刻まれている品もある。クリストフルのプレート、大改装後の2016年にホテルが再オープンした時にHavilandから特注されたティーセット......ホテルの125年の洗練の歴史を手に入れる良い機会では? 昨年秋のリニューアルオープンに際し、シェフにウージェニー・ベジアを迎えたホテルのレストランEspadon(エスパドン)は今年ミシュランの1ツ星を得ている。料理が変われば器も変わる、というわけで現在エスパドンの器はアスティエ・ドゥ・ヴィラットのもの。以前使われていた食器が今回の競売品に含まれている。ホテルが求める洗練と優雅さは時代とともに移ろう。それゆえにこうしたオークションが開催されることになるのだ。
競売に先立って9月21、23、24日にオークションにかかる品がアールキュリアルの建物内で展示される。海外からインターネットで参加する場合はアールキュリアルのサイトでアカウント登録をして。また電話での参加も可能(bids@artcurial.com)。
『Les Univers du Ritz Paris』
Artcurial
7, Rond-Point des Champs-Elysées 75008 Paris
展示:9/21、23、14 11:00~18:00
競売:9/25、26、27 10:00~14:00
https://www.artcurial.com/