カフェから美術館まで、パリの「小さな丘」ビュット・ショーモンを散策。
Paris 2024.09.26
大きな公園の周りに、カフェやビストロが続々登場。進化中のビュット・ショーモンに住まう、人気カフェのオーナー夫妻がこのカルティエをご案内。
マルゴ・サルガド & アディ・サレ|Mardiオーナー
Margaux Salgado & Adi Salet
アート関係の仕事をしていたマルゴ・サルガド(左)は、パリ生まれの28歳。メディア業界で活躍していたアディ・サレ(右)とは、 彼女の誕生日に出会ったのだそう。ふたりの愛犬ベドリントンテリアのベントウは3歳。
パリ北東部19区に位置し、市内最大規模の緑地であるビュット・ショーモン公園。中央には断崖の島がそびえ、丘の上からはパリの景色を一望できる。豊かな緑にあふれ、パリジェンヌがピクニックや散歩を楽しむ。周辺には閑静な住宅街が広がるが、近年、アーティストやファッション業界人が多く移り住んで注目を集めている。 年前からここで暮らすマルゴ・サルガドとアディ・サレ夫婦も、パリ中心部の喧騒から逃れて穏やかな生活がしたいと引っ越してきたという。
「パリにいながら、田舎の雰囲気も味わえるのが魅力。緑豊かな場所というイメージが強いけれど、年々変化していて、パリの中でもホットな店が続々とオープンしている」とアディ。昔からの住人が、地元愛ゆえ店を始めるケースも多いというこのエリア。コロナ禍で近所を散歩しながら、地元っ子にこそ親しまれるような場所を作ろうと考えたのだという。そして2022年秋にオープンしたマルディは、同エリアを代表するアドレスとして一目置かれる存在に。海外からパティシエや陶芸家を呼んでポップアップを開催し、週末には感度の高いパリジェンヌたちが集まってくる。
「このエリアは充実した暮らしが叶う場所。のんびりとした小さな村のようでありながら、多国籍で多文化な魅力も持ち合わせている。ほかのエリアでは味わえないユニークな体験ができると思う」
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コーヒー愛好家も通う、このエリアのハブ。
マルディ
開店待ちをするゲストも多く、夕方まで客足が絶えない。
2022年秋、アディとマルゴ夫婦が始めたカフェ。エイプリルやコーヒー・コレクティブ、コピなど、北欧の有名店で焙煎した豆を使い分け、上質なコーヒーやラテを提供する。パティシエが焼き上げる日替わりスイーツは常時5、6種類並び、なかでもシナモンロールはファンが多い。花と陶器のマルシェなど、不定期で開催されるポップアップイベントにも注目したい。
日本と北欧のエスプリを利かせたモダンな空間。夫婦の愛犬ベントウの愛らしさに和んで。
アディ&マルゴ夫婦が迎えてくれる。
「Cappuccino」4.50ユーロ、人気のシナモンロール「Kanelbullar」4ユーロ。焙じ茶ラテやチャイラテなど、ティーメニューも豊富。グラノーラなど朝食も用意。
29, rue de la Villette 75019
tel:非公開
Ⓜ️JOURDAIN、BUTTES-CHAUMONT
営)8:30〜17:00(月〜金) 10:00〜17:30(土、日) 無休
@mardicafeparis
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豊かな緑に癒やされるパリっ子たちのオアシス。
ビュット・ショーモン公園
丘の上に位置するため、パリの景色を一望できる。
採石場跡地に造られたパリ最大規模の緑地公園。約25haの敷地内に湖や小川、洞窟、吊り橋があり、自然を感じられる。湖の中央にある断崖の島に建てられた神殿がシンボル。ル・パヴィヨン・デュ・ラッ ク(写真下)など個性的な3つのレストランが公園内にあり、夏はテラスにスタンドも登場。アペロやピクニックを楽しむ人たちで賑わう。
落ち着いた雰囲気のル・パヴィヨン・ デュ・ラックは、ゆっくりとブランチやアペロを楽しむのに最適。
公園の景色を眺めながら、オリジナルカクテル(6ユーロ〜)を味わって。ディナーは季節の食材を使った創作料理を供する。
高低差のある公園のため、ちょっとしたハイキング気分で散歩する人も。
1-7, rue Botzaris 75019
Ⓜ️BUTTES-CHAUMONT
https://www.paris.fr/lieux/parc-des-buttes-chaumont-1757
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キッチュなブーランジュリーに、多国籍パンが集結。
ブーランジュリー・ミリグラム
モード業界出身のオーナーがウェス・アンダーソンをイメージして造った内装。
有名ブーランジュリーで経験を積んだオーナーふたりが2021年にオープン。イギリスやアメリカ、デンマークなど、旅先で出合ったさまざまな国の文化から着想を得て、パンやペストリーを展開。看板商品のそば粉パン「Milligramme」など、素朴なパンもおすすめ。地元産の上質な古代小麦や天然サワードゥをもとにフランスの伝統的な手法で丁寧に焼き上げ、しっとりもちもちの食感が魅力だ。
左から、サーモンやキュウリを挟んだサンドウィッチ「Brioche Saumon」4.90ユーロ、クロワッサン生地に塩キャラメ ルクリームを詰めた「New-York Rolls Pop-Corn」4.80ユーロ、プラリネやピスタチオのプチシュー「Chou à la Praliné」「Chou au Pistache」各2.90ユーロ
3-5, rue du Plateau 75019
tel:01-70-23-61-59
Ⓜ️BUTTES-CHAUMONT
営)7:00〜20:00(火、木、金) 8:00〜20:00(水、土) 8:00〜13:00(日)
休)月
@boulangerie_milligramme
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手仕事からヴィンテージまで、サステイナブルな日用品。
ドレイ・パリ
店内にはヴィンテージの照明や花器が並ぶ。
ファッション業界で働いていた女性ふたりが、サステナビリティの重要性を伝えたいと始めた雑貨店。固形シャンプーやプラスチックフリーのキッチンアイテムなど、環境に優しく機能的な日用品をセレクト。伝統的な手仕事のものからヨーロッパのヴィンテージまで、暮らしを彩ってくれる、長く愛用したいデザインが揃っている。フランスの若手作家ものも多く、旅のお土産探しにも最適。
ピレネー山脈の大理石のアイスキューブ49ユーロ、猫モチーフのアクセサリー90ユーロ〜、若きパリジェンヌがフランス北部の木で作るカトラリーセット195ユーロ
21, rue de la Villette 75019
tel:09-50-21-82-76
Ⓜ️JOURDAIN、BUTTES-CHAUMONT
営)11:00〜19:00(火〜金) 10:30〜19:30(土) 14:00〜18:00(日)
休)月
https://www.dreiparis.com
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エシカルな花々に囲まれて、オーガニックスイーツを。
デジレ
パリ初の都市型花畑プラネールからも、無農薬の希少な花々を仕入れている。
外国産の花が流通するフランス市場を変えたいと、ふたりのフローリストが地産地消をコンセプトに立ち上げたカフェ併設の生花店。有機栽培された地元産の季節の花々で、可愛らしいブーケを作ってくれる。併設カフェでは、持続可能な食品を支持する団体エコターブルから仕入れた有機食材でサンドウィッチやケーキを提供。ブランチからカフェタイムまで、おしゃれなパリジェンヌたちが集う。
ガラス窓に仕切られた併設カフェ。テイクアウトして公園でピクニックするのもおすすめ。
黒ゴマがアクセントの濃厚なチーズケーキ「Cheesecake」5ユーロ、ピスタチオとオレンジが香るオリジナルラテ「Latte Désirée」5.50ユーロ
96, rue de Meaux 75019
tel:01-71-21-95-20
Ⓜ️LAUMIÈRE
営)カフェ:9:30〜14:30L.O.(月〜金) 9:30〜15:30L.O.(土、日)
ショップ:10:00〜19:30(火〜土) 10:00〜13:00(日)
休)月 ※カフェは無休
https://desireefleurs.fr
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和のテイストを融合して、王道フレンチを一新。
メンサエ
手前から、出汁を利かせたノルマンディ産ホタテ貝の前菜「Noix de Coquille Saint Jacques Mi-cuites, Cresson, Panais, Dashi」21ユーロ、森鳩とフォアグラのパイ包みにサルミソースを添えた「Tourte de Pigeon Ramier, Foie Gras, Topi nambour, Sauce Salmis」44ユーロ、ワインはグラス10ユーロ〜
人気テレビ番組「トップシェフ」で活躍したチボー・ソンバルディエのビストロ。2022年秋、星付き店で修業を積んだ金谷直弥がシェフに抜擢され、メニューを一新。クラシックなフレンチを軸に、和のテイストを忍ばせた料理で新旧ファンの心を掴む。ホタテ貝に白ニンジンピュレを添えた繊細な前菜に、森鳩とフォアグラをパイで包んだ野趣あふれるメインなど、バランス感覚に富んだ構成もお見事。
ブルーの壁が鮮やかな内観。
23, rue Melingue 75019
tel:01-53-19-80-98
Ⓜ️JOURDAIN、BUTTES-CHAUMONT
営)12:15〜14:30L.O.、19:15〜22:30L.O.
休)日、月
要予約
https://www.mensae-restaurant.com
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シーフードをカジュアルに! いまどきブラッスリー。
ソス
ローストしたセロリに、赤ピーマンをベースにしたアルビュフェラソースを添え、マグロ節で風味をつけた「Céleri Rave Rôti, Oignon Frit, Sa uce Albufera」18ユーロ、ワインはグラス10ユーロ〜
2021年、伝統的なブラッスリーをモダンに昇華させた場所を作りたいと3人のオーナーが立ち上げた。地元産オーガニックの季節食材にこだわり、週替わりでメニューを提供。オーナーのひとりがシーフードの名店クラマトの元シェフなこともあり、新鮮なシーフードを使った料理が人気だ。ワインやカクテル、スピリッツ、モクテルなどドリンクは幅広く揃え、友人同士で気軽に楽しめる雰囲気も魅力。
ノルマンディ産の生牡蠣「Huître de Saint-Vaast」 6個16ユーロ、マヨネーズを添えたツブ貝「Bulot de Dieppe, Mayonnaise」12ユーロ
店名はフランス語のスラングで友人を意味。友人たちとシェアできるメニューを提案。
32, rue de la Villette 75019
Ⓜ️JOURDAIN、BUTTES-CHAUMONT
営)17:00〜翌1:30L.O.(水〜金) 12:00〜14:00L.O.、16:00〜翌1:30 L.O.(土、日)
休)月、火
要予約
https://www.soces.fr
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国がサポートする、現代アートの発信地。
ル・プラトー
ビュット・ショーモンにあったテレビ局のスタジオ跡地を改装。
フランスで活動する若手アーティストの支援を目的に、国や地方自治体の助成金によって1982年に設立された現代美術機関フラック。各地方に拠点を持ち、パリでは若手アーティストが住み始めていたビュット・ショーモンで、約20年前にここをスタート。国際的に活躍するアップカミングなアーティストの展示に、近隣住人や学生も多く訪れる。不定期で開催されるキッズのアートプログラムにも注目したい。
2023年春フォンダシオン・ルイ・ヴィトンの展示で注目を浴びたアーティスト、ヌァデイ・クアグを展示(現在は会期終了)。
22, rue des Alouettes 75019
tel:01-76-21-13-41
Ⓜ️BUTTES-CHAUMONT
開)14:00〜19:00
休)月、火、12/24、31
入場無料
https://www.fraciledefrance.com/lieux/plateau
⚫︎1ユーロ=約161円(2024年9月現在)
*「フィガロジャポン」2024年2月号より抜粋
photography: Mari Shimmura text: Momoko Suzuki