パリの新たなカフェ事情。1杯のコーヒーでテレワークはどこまで許される?

Paris 2024.10.22

パリの一部のカフェでは、テレワーカーに門戸を開いているものの、守るべきエチケットがある。

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カフェでリモートワークをする際のルールとは? photography: Getty Images/iStockphot

テレワーカーは増加傾向にある。スカンジナビア風の装飾が施された、とある小さなカフェは、キーボードを叩くテレワーカーやフリーランサー、学生などの常連客でにぎわっている。温かい雰囲気と、Wi-Fi、電源コンセントを備えたこの居心地のいいカフェは、自宅で仕事をするよりもはるかに快適である。だが、客にとっては恩恵が得られる場であっても、長時間居座られてしまうと、経営者にとってはメリットがない。カフェ側をイラつかせないには、どれくらいのテレワークが許されるものだろうか。

1食分に当たる注文をする

パリ11区にあるル・グラン・ブレゲ(1)では、テレワークが容認されている。広々とした店内には、さまざまな椅子が点在し、連日、常連客が仕事に取り組んでいる。1時間だけ滞在する人がいれば、午前中滞在する人や、1日中ずっと過ごす人もいる。カフェの従業員であるポールを困らせるほどではないにしろ、テレワークをする人にはふたつの条件が課されるという。ひとつ目は、滞在時間に応じてオーダーすること。「私たちは原則、かなり柔軟に対応しますが、1日中いらっしゃるお客様がコーヒー1杯しか注文していないことに気付いた場合は、丁寧にお知らせします」。 長居することを嫌がられないために、専門家は「1日のうちに少なくとも1食分に相当する量を注文する」ことを推奨している。

ふたつ目のルールは、ランチタイムになったら必ず食事を注文すること。そうしないと、店にとっては、稼ぎ時なのに収益が得られないとなると大きな損失になる。これは常識の問題だが、カフェに頻繁に通うという常連客の女性は、この件についてちゃんと気を使っているようだ。「私は朝か午後にカフェに来ますが、正午から午後2時までの時間帯は避けるようにしています」。そして彼女は午後に、カフェオレを注文するのが定番だが、時々は自分へのご褒美としてお茶や軽食を追加するという。「午後2時から午後7時まで、カフェラテ1杯に対し、およそ5 ユーロを支払っています。店側にとっては悩みの種になることは分かっていますが、私にとっては有益な過ごし方です。オフピークの時間帯なら、他の人の席を奪うことにはならないし、問題ないだろうと自分に言い聞かせています」

コンピューターの持ち込みを禁止する店も

一方で、テレワーカーに人気があるゆえ、悩み抜いた店もある。パリのマレ地区にあるスウェーデン研究所にあるFikaカフェ(2)では、現在、コンピューターの持ち込みを禁止している。「難しい選択だったけれど、必要な決断でした」と、スウェーデンのお茶の習慣である"フィーカ"を実践するこの店の共同創設者であるキャロライン・ノビレはこう語る。「働くお客様で店がいっぱいになると、意気消沈するような沈黙が生じます。社交的な交流を促す場所にもかかわらず、孤立感が生み出されるのです」

この問題は特に、小規模な店であるほど影響を及ぼすようだ。実際、キャロラインとその従業員は、30席しかない店に食事をしにやって来た客をしばしば断らざるを得なかったという。「たいていの場合、コンピューターで作業する人は、2人掛けのテーブルをひとりで占有し、3時間で1杯の飲み物しか注文しません。そのため、ランチに来たお客様を受け入れる余裕がなくなりました」

そのような状況から脱却するために下した、コンピューターの持ち込みを禁止するというカフェの苦肉の策は、常連客には不評で、店に関する否定的なコメントが一夜にしてGoogleに書き込まれた。「コンピューターは、一部のお客様にとっては切り離すことができないものなので、このルールを定めるのは厳しいものがありました。特に、私たちのような小さな店では」と彼女は振り返る。

結論として、テレワークする場合は、適切な店を選ぶこと、そして店の経営者の寛大さに甘えるばかりでなく、ちゃんと食事を注文すること。これさえ守れば、バツの悪い思いをしなくて済みそうだ。

(1) Le Grand Bréguet, 17 rue Bréguet, 75011 Paris.
(2) Café Fika, à l'Institut suédois, 11 rue Payenne, 75003 Paris.

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text: Alexandra Marchand (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto

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