9区のダーム、シェフの技が秘められた素直においしいフランス料理。
Paris 2024.11.19
レストラン「Dame(ダーム)」が夏前に9区にオープンした。4人組の仲間が開いた10区の"ビストロ・ヴィヴァン"「Bonhomme(ボノーム)」の姉妹店である。仲間のひとりであるシェフのマチュー・シャリオーはボノームで2年間シェフを務め、ダームに移る直前にThe Fork Awardsの若きシェフのひとりにノミネートされていた料理界のホープだ。アラン・デュカス時代のル・ムーリスで4年働き、そのあとカジュアルでおいしいと人気を呼んだリシェで2年シェフという経歴の持ち主である。その彼がダームで提案するのは、フランスの小規模生産者による季節の素材にインスパイアされてクリエイトする料理。ランチメニューは毎週新しくなり、ディナーメニューも季節で変わる。
料理をシェアすることが生み出す喜びも大切にしているダームでは、ディナーのメニューがちょっと変わっている。Le Froid(冷)が前菜、Le Chaud(温)がメイン。料理それぞれに1名、2名、4名の料金が表示されている。テーブルを囲む各人が別の料理を頼むなら1名用、全員が同じ料理を分かち合うなら大皿に4名分......といったオーダーが可能な設定なのだ。70年代調にまとめられたインテリアの店内で、仲間が集まって過ごす時間をファンキー&グルーヴィーな音楽が盛り上げる。壁にかけられたプレーヤーにかけるビニールのセレクションをするのは、フロアマネージャーのギヨーム・アルコンルイだ。
パリでおいしいレストランを探しているなら、ダームを試してみるのがいいだろう。素材選びのこだわりは食べてみるとすぐわかる。肉は「La Table de SolangeとMaison Montalet」から、魚介類は「Tom Saveur」から、果物と野菜そして乳製品は「Beaugrain」と「Ferme Saint-Hubert」から、パンは「Poujauran」......というようにチョコレート以外は全てフランス産である。最近のレストランでは、スパイスの多用や素材の意外な組み合わせにポイントを置いた"クリエイティブ"と称する料理が多く、何を食べているのかがわからないことがよくあるけれど、ダームでは厳選した素材をシェフが技を生かして作り上げる味の良い料理が食べられる。ひと皿ごとに感じられるのは、シェフの素材とその生産者、さらに食べる人へのリスペクトと言っていいだろう。
ワインリストには、2022年に仲間4人がフランス中の主な地方を巡り、ワイン製造者と出会って選んだ120種が並んでいる。その中にはビオのワインも少なくない。いまのパリのレストランの飲み物リストに不可欠なのはカクテル。ダームでは5種があり、エスプレッソ・マティーニ、ネグローニなどクラシックなカクテルが味わえる。
Dame Restaurant
38 rue Condorcet 75009 Paris
営)12:00~15:00 19:00~24:00(火、水)、12:00~15:00 19:00~24:30(木)、12:00~15:00 19:30~26:00(金)、12:30~15:30 19:30~26:00(土)
休)日、月
http://www.dame-resto.fr/
editing: Mariko Omura