窓の眺めはノートルダム寺院、トゥール・ダルジャンのアパルトマンに眠る!?

Paris 2024.12.21

トゥール・ダルジャンといったら、鴨料理の老舗レストラン。それはいまさら語るまでもないだろう。あまり知られていないけれど、レストランの下のフロアに宿泊ができるアパルトマンがある。窓からの眺めは再建工事が終了した美しいノートルダム寺院!という素晴らしい立地だ。

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セーヌ河岸に立つラ・トゥール・ダルジャン。張り出し窓がある5エム・エタージュにアパルトマンがある。その上がレストラン。©Matthieu Salving
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アパルトマンからの眺め。仕切りの扉を開けておけば、リビングルーム越しに寝室からもこの景色が見られる。(2024年11月撮影)。photography: Mariko Omura

1年以上かけての改装工事後、昨年レストランが再オープンした際し、地上階のバー・デ・マイエ・ダルジャンと7エムエタージュのルーフトップ、そしてこのアパルトマンがお披露目された。現在のオーナーであるアンドレ・テライユの祖母オーギュスタがかつて暮らしていたのだが、その150平米の1フロアが「Appartement d'Augusta(アパルトマン・ドーギュスタ)」という名前で宿泊客を迎え入れている。

1582年に創業され、1911年からテライユ家がオーナーのトゥール・ダルジャン。エレベーターで6エムエタージュまで上がり、レストランに足を踏み入れた瞬間に目の前に広がるパリは驚きそのもの。セーヌ川沿いのコーナーに立つ建物で、"シェフのライバルは窓の外の眺め"というほど素晴らしい景色に恵まれているのだ。その中のスターは再開されたてのノートルダム寺院。その昔、まだ寺院に夜間照明がなされていなかった時代、暗闇に隠れる寺院に照明を!と、トゥール・ダルジャンが費用を出していたというエピソードもある。

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アパルトマンの上のフロアを占めるガストロノミー・レストラン。©Matthieu Salving
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テライユ家の3代目アンドレが現在のオーナー。2006年、26歳の時に父クロードの亡き後を継いだ。©Matthieu Salving

新装されたレストランの内装を手がけた室内業界の寵児であるフランク・アッジが、アパルトマンも担当した。キッチン、リビング、ベッドルーム、バスルームという2名の滞在のための構成で、リビングルームの窓からは、レストラン同様に寺院を含めて見事なパリのパノラマ。目が覚めると窓の外にノートルダム寺院!という特権的滞在ができるのだ。アパルトマンの内装の大きなインスピレーション源は旅、芸術家たち、美しいものを愛した北欧出身のオーギュスタ・ビュルデル。エレガンスとモダニティが交じり合う淡い色にまとめられ、また大理石のバスルームには北欧的にサウナが備えられている。この寛ぎに加えて、アパルトマンにはキッチンがあるので料理人がここでふたりのためにディナー(室料には含まれず)を用意することもできるのだ。アパルトマンの宿泊(火~土)は、1階のバー・マイエ・ダルジャンでの朝食を含む「Appartement d'Augusta」なら1泊1,800ユーロ。もちろん朝食のパンはお隣のル・ブーランジュ・ドゥ・ラ・トゥールから。「une nuit face à notre dame」(2,800ユーロ)はこれに加えて、シャンパンのトゥール・ダルジャン・グラン・クリュ・ブラン・ドゥ・ブラン1本、駅あるいは空港から車DS9でトゥール・ダルジャンまでの移動、レストランでのランチ(4皿メニュー、飲み物別)を含む宿泊だ。さらにパン屋でバゲット作りの秘密を知るアトリエかバーでカクテル作りを学ぶといった体験も用意されている。レストランでディナーもセットされた宿泊は「la vie parisienne」あるいは「le grand seize」だ。このふたつについてはよりグレードアップされた貴重な体験が選べる。

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アパルトマンのリビングルームから、再建されたノートルダム寺院を心ゆくまで眺められる。©Matthieu Salving
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ベッドルーム。リビングとの境の仕切りを開けると、ベッドにいながら出窓からの景色も眺められる。©Matthieu Salving

トゥール・ダルジャンで眠らないにしても、伝説的存在のガストロノミー・レストランで一度は鴨料理を!と夢見ている人もいることだろう。食事をして1890年から始まった鴨のナンバリングカードが欲しい、と願ってる人もいるのではないだろうか。予約は3カ月前にスタートする。

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歴史的建造物に指定されているファサード。19世紀半ばにレストランのオーナーとなったフレデリック・ドゥレールの名前が扉上のガラスに刻まれている。photography: Mariko Omura
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鴨をカットするフレデリック・ドゥレールの絵画が掲げられた店内。食事された鴨のナンバリングも彼が始めたことだ。photography: Mariko Omura
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レストランで味わう「鴨フレデリック・ドゥレール」。©Tour d'Argent

レストランで食事をとらぬまでも、トゥール・ダルジャンを体感してみたいのであれば、1階のバー「Maillets d'Argent」に行ってみては?  朝9時から24時までの営業。11時までなら宿泊者同様に朝食(19ユーロ)もとれれば、ル・ブーランジュ・ドゥ・ラ・トゥールのクロワッサンだけ味わってみることもできる。12時から22時30分は、フォアグラや鴨ソーセージ、カリフラワーのグラタンなどの軽食メニューも登場。15時30分から18時まではおやつの時間でスイートな経験も。なおカクテルを含めアルコール飲料は営業時間内いつでもオーダーができるけれど、ホットドリンクは18時までだ。

トゥール・ダルジャンが誇る眺望を堪能してみたいのであれば、エレベーターの7エムエタージュのボタンを押して、ルーフトップを目指そう。ここは4月末から9月末までの半年の営業だが、レストランにもアパルトマンにも負けずにパリを遥かに見渡せるロケーションである。テラス席でカクテルやシャンパンでパリに乾杯!

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9時から深夜まで営業しているバーのマイエ・ダルジャン。©Matthieu Salving
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左: バーカウンターの脇の扉の後ろの通路にアーカイブが展示されている。 右: バーの奥の部屋。現オーナーの父でレストランの名物的存在だったクロードが情熱を傾けていたポロのオブジェなどを展示。 photography: Mariko Omura
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ルーフトップの眺めは春からのお楽しみ。©Matthieu Salving

La Tour d'Argent
15,  Quai de la Tournelle 75005 Paris
https://tourdargent.com

editing: Mariko Omura

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