和食ブームのパリ、NYから鉄板焼きのベニハナがやってきた。
Paris 2025.01.11
1964年にニューヨークに1号店が生まれ、いまや世界17カ国に100店舗以上と発展した鉄板焼きレストラン「Benihana(ベニハナ)」のパリ店が昨年12月にオープンした。場所はパレ・ロワイヤルで、ルーヴル美術館や来年後半に完成する新しいカルティエ財団の近くという便利な立地だ。ベニハナの鉄板焼きと言ったら、料理人が各テーブルで調理道具を巧みに操るといったパフォーマンスを見せながら、客の前で肉や野菜を焼いてゆくことで知られている。創業者はDJのスティーヴ青木、モデル&女優のデヴォン青木の父、ロッキー青木。彼こそがアメリカに和食を流行らせた立役者だ。ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ、ハル・ベリーなどのスターを常連客に持ち、また複数の映画の撮影もレストラン内で行われている。和食レストランのオープンが相次ぐパリに、ついに"ニューヨーク発"の和食店までが参入というわけだ。パリっ子たちが食事に特別な体験を求めるいま、タイムリーな出現とも言える。
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1階が寿司、2階が鉄板焼きのフロアに分かれているパリ店。デザインスタジオLa Villaineが手がけた2階の内装は、鶴や松といった日本の要素を巧みに取り入れながらモダンでソフィスティケートされている。打ち出し真鍮のランプが壁にタンポポの綿毛が浮かぶようなモチーフを生み出していて、なかなかポエティックだ。プライベートサロンでは黒とゴールドの組み合わせが重厚感を醸し出している。甲冑をつけた侍像が置かれているけれど、海外の和食店によくありがちな怪しげな異国情緒が皆無なのがうれしい。これに対して1階はガラリと趣が変わり落ち着いた雰囲気。白壁には金継ぎを思わせるゴールドの模様が描かれ、ずらり並んだチューリップ型のペンダントライトが目に印象的だ。
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メインとなる鉄板焼きのフロアは、鉄板の調理台を備えたテーブルが複数並んでいる。各テーブルは8人の相席がけで、テーブルごとに料理人がつきパフォーマンス・クッキングを行うのだ。スライスした玉ねぎをタワーのように積み重ね、"エッフェル塔"などと冗談を言いながら、シェフはその中に油を垂らして炎を立ち登らせることからスタート。あちこちのテーブルでそれが行われるので、その度に店内には活気が満ちる。調理人たちは道具を刀よろしく振り回したり、被っているシェフ帽にカットした海老の尻尾を投げ入れたり、フレンドリーに客に向かってジョークを言ったり......。
鉄板焼きはコースさまざまで、いまの時代に対応し、ベジタリアン用も。コースメニューに共通なのはビーフコンソメ、ジンジャードレッシングのフレッシュサラダ、エビ、野菜のグリル、そしてフライドライス。これにメインとなる肉、魚、ロブスター、野菜などメインの鉄板焼きの材料を選ぶのだ。枝豆、煮浸しなど前菜(7ユーロ~)のチョイスも幅広く、寿司や巻きから始めることもできる。`
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さて、先に書いたようにパリのベニハナの1階は寿司フロアで、片側にテーブル席が並びもう片側は長いバーカウンターという造りだ。2階で鉄板焼きを食べずに、ここでお寿司だけのランチやディナーを取るのもいいだろう。ベニハナ・パリのシェフを務めるのは、ヤニック・アレノの元で働いたダヴィッド・クーロンだ。寿司と刺身にはフランス人になじみの深いサーモン、鯛、赤マグロ、イエローテイル、ホタテ、トロ。これに加えて、巻きものが何種か。
パリのベニハナは鉄板焼きだけでなく、寿司を食べに行く店としても今年はパリっ子たちを集めることになるだろう。さあ、"テッパンヤキ"という日本語もフランス語化することになるだろうか。
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Benihana Paris
163, rue Saint-Honoré 75001 Paris
営)12:00~15:00、18:30~23:30
無休
https://www.benihana.fr/
@bebnihanaparis
editing: Mariko Omura