パリで進化を続けるハンドロール、HANDOの3軒目がマレに。
Paris 2025.02.27
カフェやちょっとしたビストロに食事に行くのと同じような感覚で、和食店へと気軽に足を運ぶ近頃のパリっ子たち。セーヴル通りで1号店を成功させ、ヴァンドーム広場の近くに2号店を昨年オープンした手巻き寿司の「HANDO(ハンド)」が、1月20日にマレ地区に3号店を開いた。
ここのカウンター席を埋めるのも、もちろん和食を食べ慣れたパリっ子たちだ。場所は食料品店やレストランなど飲食関係の店が並ぶブルターニュ通りで、シャルロ通りとのコーナーにあり、ガラス張りの明るい店内はほかの2店に比べるとこぢんまりしているけれど、おいしさの大きさには変わりなし!


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まだパリではハンドロールが珍しかった2022年にできた1号店では、あえてメニューは手巻き寿司に特化。寿司と聞くと握りをイメージするパリっ子たちのため、2号店では握り寿司もメニューに加わった。
ではマレ店では何が新しいのかというと、ハンドロールも握りもエクスクルーシブな味がメニューに並んでいることだ。いずれもシェフのChiharu Takadaのクリエイション。たとえばハンドロールなら、キングクラブには海苔の佃煮と白味噌を合わせてカニの味覚を引き立て、72時間味噌でマリネしたブラックコッドにはカリカリの天かすを組み合わせて食感のコントラストを楽しませ、ウニの深い味わいをポン酢で際立たせ......。シンプルな卵とシソのハンドロールも魅力だ。
握りのエクスクルーシブは、炙り鮭にカリカリのトッピング、スズキは上に散りばめたカラスミが食感とほんのり塩味をプラスして......と、パリのどこでも味わえない口福体験が待つハンド・マレである。卓上に醤油用の小皿も用意されているけれど、基本的にシェフによってすべて味が整えられているのでお醤油なしで味わうのがベスト。あいにくなことにカウンター席を埋めるフランス人客の大半が、小皿に並々と注いだお醤油にどっぷりとつけて食べている。彼らが新鮮な魚、シェフの繊細な仕事を理解できる時がいつか来ることを期待したい。




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猫やカエルなどの動物が描かれた数々のうつわは、アーティスティック・ディレクションを担当するアドリアン・アルブーが滋賀県で見つけた陶芸アーティストによるハンドのためのオリジナルだ。
次々と寿司を手巻きしている寿司マンたちの後方の棚に並ぶ日本の古いレコード、そのほかちょっとした小物類なども、彼が東京、大阪、札幌などを旅して見つけたという。

オーダーは、ハンドロール、握り、前菜、お刺身、デザート、飲み物について、鉛筆とともに渡されるメニューの希望の品のマス内に印をつけてカウンターの寿司マンに渡す、という方法だ。
このオーダー方法はハンド3軒共通だが、インテリアデザインは各店異なっている。ヴァンドーム広場店同様に店内のデザインを担当したのはイザベル・スタニスラスだが、このマレ店では家具のデザインも行い、木の素材とブルーがピュアで温かみのある雰囲気を生み出す空間を作り上げた。
天井一面を埋めるのは紙と麻による六角形が成す蜂の巣。そこに照明器具が隠されている。ほかの惑星から眺めた地球が内装のインスピレーションだそうだ。マレの住民でなくても、常連になりたい店が誕生した。

Hando Marais
14, rue de Bretagne
75003 Paris
営)12:30~15:00、19:30~23:00(月~金)、12:30~17:00、19:30~23:00(土、日)
無休
www.hando-paris.com
@handohandroll
editing: Mariko Omura