軽やかな料理と卓越のサービスを味わう、真のガストロノミー体験をタイユヴァンで。
Paris 2025.05.10
短時間料理を短時間で胃に入れるファーストフードの食事の記憶は長く残らないけれど、ミシュラン2つ星のガストロノミーレストランで過ごした時間は一生の思い出。Le Taillevent(ル・タイユヴァン)を後にするとき、そう確信するはずだ。

ミシュラン2つ星、つまり「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」という評価を持つル・タイユヴァンは、料理に加えてサービスも雰囲気も素晴らしい。食事客は国籍も様々なら、父娘、夫婦、若者一人(33歳以下33パーセント割引の仕組みがある)などタイプも様々だが、皆、素晴らしい体験を求めて期待に胸を膨らませて集まってきた人ばかり。ゆったりと設けられた席を囲むのは、2021年の改装がもたらした内装がもたらす軽やかなエレガンスだ。19世紀後半の個人邸宅という建物の歴史の重さは感じさせぬものの格調があり、フランス的アール・ドゥ・ターブルが繰り広げられる場所としてのふさわしさを醸し出している。


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シェフは改装とともに迎えられたジュリアーノ・スペランディーオ。彼が老舗で書く新しい章もまた、メゾンの歴史を引き継ぎ、それをいまの時代に向けて解釈し、このメゾンが持つ栄光を次の時代へと永続させるものだ。食事のスタートのおすすめは、繊細な泡が喉を優しくくすぐるドライなシャンパンL'Atavique。それに続いて季節の素材を主役にしたシェフのクリエーションがビジュアルも美しく登場する。アミューズブーシュ、前菜、メイン......。
シェフの料理は素材そのものの味とソースがとびきりのハーモニーを奏でる。どの料理にも食感の驚きが秘められ、そしてオイルや塩がまるで使われていないのでは?と思わせるほど後味が実に軽やかなのだ。





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ル・タイユヴァンでは1946年に創業されて以来、客席における配慮の行き届いた丁寧なサービスが大切に守られている。食卓の脇のテーブルで食事客を前に行う魚・肉の切り分け、炙り、調味......これらがシェフと食事客をヒューマンなハイフンのように1つに結びつけるようだ。そんな役割を担ったサービスを、2011年にメゾンのオーナーとなったガルディニエ3兄弟が率いるグループも継承。ウェイターたちの正確で手際の良い仕事は、職人技が施されたインテリアと呼応するようにレストラン内に活気をもたらしている。このサービスの真骨頂を存分に味わえるメニューとして、4皿構成の「Gestes du Taillvent(295ユーロ)」も用意されている。ア・ラ・カルトでの食事でも、デザートに「クレープ・シュゼット・タイユヴァン」(38ユーロ)をオーダーすることで、噂通りの素晴らしいサービスでスイートな食事の締めくくりに。


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ワインのセレクションの素晴らしさでも評判のレストラン。カーヴには4万本が出番を待っている。料理にどんなワインを合わせようかと楽しみな食事客を驚かせるのは辞書のように分厚いワインリストだ。シャンパンだけでも20ページ近くある。よりおいしい食事時間のためには、シェフ・ソムリエのトマ・ミエに頼るのが最高の方法だろう。彼も含めて、レストランに入った時から出るまで、ル・タイユヴァンのサービスは程よく客との距離を保ちつつ、堅苦しさがない。気持ちよく食事ができる環境を作り上げるプロのサービス。これもまた、レストランの1つの深い味わいである。新しいオーナーに代わっても創業者ファミリーの精神はいまもしっかりと受け継がれ、ル・タイユヴァンはフランスが誇るガストロノミー・レストランの模範であり続ける姿勢がとても美しい。

Le Taillevent
15, rue Lamennais
75008 Paris
営)12:00〜13:30(L.O.)、19:15分〜21:00(L.O.)
休)土、日
https://www.letaillevent.com/
@letaillevent
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editing: Mariko Omura