ギリシャ料理をおいしく発見、スピティ・ソウでヤマス(乾杯)!

Paris 2025.07.08

セーヌ河岸の「ブーキニスト」での懐かしい思い出を求め、久しぶりにレストランの住所であるグランゾーギュスタン河岸53番地に向かうと、いま、そこに見つかるのは約2年前にオープンしたSpiti Sou(スピティ・ソウ)というグリーク・ビストロ&バーである。ちょっと覚えにくい名前は、ギリシャ語で"あなたの家"という意味だ。とても賑わっている。オーナーのアレクサンドル・セイエールとメリナ・コントスは仏希カップルで、仏希ハーフのポール・エヴァンゲロプスがシェフ。ギリシャを愛する人たちによる店ならではの、オーセンティックなギリシャの味が人気の秘訣だろう。

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グランゾーギュスタン通りとのコーナー。この通り側には、黒い外観に家のデッサンが描かれている。photography: ©Spiti Sou


ギリシャではテーブルにつくみんなが分け合って食べる習慣がある。スピティ・ソウのメニューは、メッツェ18種、メイン5種のどれもシェアすることが前提だ。それも店内に賑わいをもたらすのだろう。少人数ならメッツェばかりをたくさんオーダーするのも、多くの味を楽しむひとつの方法だろうか。メッツェはギリシャを旅したことがある人には、おなじみの味ばかり。ギリシャ料理を初体験する人には日本でもすでに知られているザジキ、タラマだけではないので、味の発見続きとなるに違いない。ズッキーニのベニエ、炭焼きナス、サガナキ(ハルミ・チーズのフライ)、ファヴァを添えたタコの炭焼き、イカのグリル、スイカのサラダ......ホームメイドのピタパン(4ユーロ)も含めて、シェフが提案する素材をいかした祖国の味はまさにギリシャであり、またパリ的洗練も感じられる。

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左:ディナーの始まりは、カラマタのオリーブ! 右:タコのグリルに添えられるファヴァは、ギリシャのメッツェのひとつである割豆のピューレ。photography: Mariko Omura

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メッツェ大集合。チーズのフライ、ミートボール、ズッキーニ・ボールなどを分け合って食事時間を楽しむ。photography: ©Spiti Sou

メインを見てみよう。ギリシャのパスタ料理としてもっとも一般的なオルゾは魚介バージョンとオーソブッコ・バージョンの2種。そして野菜のグラタンがあり、魚料理はこちらもやはりギリシャらしく、切り身ではなく一尾をグリルで。これと羊のコートレットのグリルについては、添え野菜がセットされる。ギリシャではメッツェとしてオーダーできる緑の温野菜のオルタはスピティ・ソウでは添え野菜のセレクションのひとつだ。デザートもまるでアテネのタヴェルナにいるかのようなクラシックな味もあって、これもぜひとも試してみたい。

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左:魚介オルゾを煮込むビスクは、メタクサ、サフラン、エストラゴンなどが香る。 右:メインディッシュと添え野菜。photography: ©Spiti Sou

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飲み物のメニューに目を移すと、カクテルの中にマスティハ・サワーというのが見つかる、このマスティハ、どこかで耳にしたことがあるのでは? ギリシャに育つ樹木でその樹液には抗菌作用があることから歯磨き粉やガムにも使われ、そしてリキュールにも。スピティ・ソウでは、それにヴェモットや抹茶、ライム、卵白などをシェイクしているのだ。ワインは全てギリシャ産。食後は、小さなグラスに注がれる冷やしたマスティハのリキュールで、ヤマス(乾杯)!と、オーナーのギリシャ愛がサービスされる。インテリアはといえば、国旗にもみられるギリシャ・カラーのブルーが基調で、床はタヴェルナ風のモザイクタイルだ。パリから首都のアテネまでは直行便で1時間ちょっとと、そう遠くない。スピティ・ソウを未知の街への第一歩としてみるのはどうだろうか。

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左:カクテル(各15ユーロ)のマスティハ・サワー。 右:ギリシャワインのおいしさを知るよい機会となるだろう。photography: 左 Mariko Omura、右 ©Spiti Sou

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左:モダンなギリシャを旅するような内装は、Agile Architecture による。 右:シェフのポール・エヴァンゲロプロス。photography: ©Spiti Sou

Spiti Sou
53, quai des Grands Augustins
75006 Paris
営)19:00~25:00
休)日、月
https://www.spitisou.fr
@spitisouparis

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editing: Mariko Omura

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