サンジェルマンでトリッキーな美食。新章を開いたル・クリスティーヌへ。

Paris 2025.07.11

6区のクリスティーヌ通りで、おいしいと前々から評判だったレストランのLe Christine (ル・クリスティーヌ)。この店が、いま、新たな話題を呼んでいる。ロドルフ・デパーニュをシェフに迎え, ユニークでクリエイティブな料理の店へと新章を開いたのだ。彼はグラン・ヴェフールなどフランス国内のいくつかのミシュランの星付きレストランでフランス料理の技術を学び、その後、パリのレストランCopenhague(コペンハーグ)で出会った燻製や発酵といった昔からの技術に情熱を見出すことに。コロナ禍で外出禁止の時期には、独学でパン焼きに好奇心を燃やして......。

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左:ル・クリスティーヌの若きシェフ、Rodolphe Despagnes(ロドルフ・デパーニュ)。 右:石の壁や天井の木の梁。レストランが一階を占めるのは17世紀建築の建物だ。photography: 左 Hugo Sourdin、右 Mariko Omura

彼のこうした様々な経験が昇華されたのがル・クリスティーヌの料理だ。アラカルト、あるいは5皿コース(75ユーロ)、7皿コース(95ユーロ)で味わえる。前菜・メイン・デザートの3皿が45ユーロというお手頃美食体験も可能だ。何れにしてもテーブルに料理が運ばれる料理には、驚きがいっぱい。コースで食事の場合、スタートのアミューズブーシュからロルドフのマジシャンぶりを目と口で確認できる。ボール状のチェリートマトとスカルモッツァのミニピザ、行者ニンニクの花が飾られたカマンベールとカルヴァドスを包み込んだポム・ドフィーヌ、アンチョビと緑のオリーブを練ってホワイトチョコレートでコーティングしたトロンプロイユのオリーブ。どれも料理の視覚や味覚の既成概念を覆すユニークさが潜み、なかなかトリッキーである。

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左:アミューズ・ブーシュ。上がフェイク・オリーブ。右がノルマンディー風のポム・ドフィーヌ、下がミニピザ。 右:6月の前菜からマスタードのグラニテをかけるトマトのタルト(アラカルトで24ユーロ)。photography: 左 Mariko Omura、右 Hugo Sourdin

メイン料理のひとつ、マリネしてスモークしたマグロの中とろは、一見すると肉料理のようだ。それに添えられるいんげんの小束をベーコンが包んでるように見えるのは、肉のベーコンではなくマグロの中トロをスモークしてベーコンに似せて......と、シェフは食卓に遊び心を持たらす。さらに、この料理にかけるソースも視覚の驚きを生む。イチジクの葉のオイルと果実のブラックベリーのソースで、お皿の上に綺麗なグリーンと赤い色のデッサンを描き出すのである。これと同時に登場するシェフ特製のパイ風ブリオッシュは意外にもほろ甘く......食事客の意表をつくクリエイションをシェフは大いに楽しんでいるようだ。

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メインから、マグロの中トロのマリネ&スモーク(アラカルトで45ユーロ)。photography: Hugo Sourdin

シェフのマジックは最後まで続く。イル・フロタントとリ・オ・レと言うお気に入りの二つを1品に仕上げたという白いデザート。その名前を聞くと口の中が甘さで満たされるけれど、いざ食べてみると中に隠された塩麹キャラメル、グリルした麹のクレーム・アングレーズのせいか、酸っぱさが口の中に広がるのだ。またノワゼットのミ・キュイなるデザートも甘さより塩味がポイントなっている。手品のように驚きを次々テーブルにもたらすシェフ。改めて彼の写真を見ると、なんだか『ハリー・ポッター』に出てきても不思議ではない雰囲気が感じられてきて......。

ルドルフの創作料理。ル・クリスティーヌの新しい料理のアイデンティティを冒険心を持って発見しにゆこう。

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デザートから、イル・フロッタント、リ・オ・レ(アラカルトで16ユーロ)。photography: Hugo Sourdin

Le Christine
1, rue Christine
75006 Paris
営)12:00~14:00、19:00~22:00
無休
https://lechristine.becsparisiens.fr/
@lechristine.paris

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editing: Mariko Omura

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