パリの田舎、一軒家ホテルのル・シャルマンはすごくチャーミング。
Paris 2025.07.13
地下鉄13号線と14号線が停車するLa Mairie de Saint-Ouen(サントゥアン市役所)駅から、徒歩4~5分。アドレスはパリではないけれど、アクセスの便利さはパリ市内の半端な場所よりずっといいという場所に一軒家のホテルが誕生した。その名はLe Charmant(ル・シャルマン)だ。この建物を外から見て、中に入り......その時に、誰もの口から飛び出す"なんて、チャーミングなの!"という第一印象のフランス語が命名の由来である。
パリ近郊、サン=トゥアンの一軒家ホテル。クリニャンクールの蚤の市までは徒歩で15〜20分という場所だ。photography: David Duchon-Doris
1885年に建築され、代々同じファミリーが暮らしていたけれど10年近く空き家だったという建物。それをホテルに変身させたのはアンヌ・ウリーとセリム・ムーフビである。この家を入手した時、過去の住人の持ち物だったオブジェやファミリーの写真などが多く残されていたという。ホテルに改装するにあたり、家の歴史やストーリーを大切にしたいと願った二人。プロの室内装飾家ではなく、アンヌが内装を手がけたことによって様々な品がホテル内に居場所を見つけている。
過去と現在の時間が交差するようなインテリアからは家庭的で温かな雰囲気が醸し出され、ホテルというより知人宅に招かれたといった滞在が味わえるのだ。
ある一家の思い出がぎっしり詰まった家。オーナーのアンヌとセリム(写真左)はその思い出をホテルの魅力に活かしている。photography: 左 David Duchon-Doris、右 Mariko Omura
ホテルは19世紀後半の建築物。1階のレストランは天井も見どころだ。ブルーと黄色の部屋があり、建物の所有者だったファミリーの女性たちの名前がそれぞれにつけられている。photography: David Duchon-Doris
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現在、8室。いずれ並びの別棟に12室が完成し、最終的には20室のホテルとなるル・シャルマン。オープン間もないにも関わらず、Booking.com(ブッキングドットコム)やSTAYCATION(ステイケーション)といったサイトのおかげで人気のホテルに。客はパリからも来れば、メキシコやカナダなどはるか遠くの国からもやってくるそうだ。メイン館は2階と3階が客室でそこに上がる階段には、パリのアーティストのオリヴィア・ドゥ・ボナによる明るく大胆なフレスコ画が描かれている。1920年代に庭に面した階段の各フロアの窓にもたらされたステンドグラスの植物モチーフがオリヴィアのインスピレーション源になったという。
バスタブ・コーナーが設けられた部屋はビジュアル効果もあって、人気が高い。なお8室のうち4室がバスタブつきだ。photography: David Duchon-Doris
暖炉がありアットホームな雰囲気。photography: David Duchon-Doris
室料は150ユーロ〜。もっとも時期によってはこれ以下のこともあるそうだ。photography: David Duchon-Doris
オリヴィア・ドゥ・ボナによるフレスコ画。photography: Mariko Omura
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でも、ル・シャルマンに集まってくるのは宿泊客だけに限らない。一階のレセプションはバーを兼ねていて、また広い2室が連なるレストランもあるので、オードニアンと呼ばれるサン=トゥアンの住民たちも気軽にやってくる。しかも建物裏手の広い庭でも食事ができ、まるでフォンテーヌブローあたりのウィークエンドハウスにいるという気分が味わえるのだ。料理は季節の素材に拘るだけではなく、地元に暮らす野菜栽培者から購入し、ビールも地元産......というように、オードニアン間の結束も大切にしている。
バーを兼ねたレセプション。photography: David Duchon-Doris
いまの時期、レストランの食事は中庭で。photography: 左 Mariko Omura、右 David Duchon-Doris
左:朝食。 右:レストランのメニューは比較的シンプルだ。photography: David Duchon-Doris
53, rue du Landy
92400 Saint-Ouen
https://hotel-lecharmant-saint-ouen.fr/fr
@hotel_lecharmant
★Google Map
editing: Mariko Omura