アクア・キョート、驚きの眺望と香港発の和食の新世界をシャンゼリゼ大通りの8階で。
Paris 2025.09.29
元気を取り戻しているシャンゼリゼ大通り。アバクロンビー&フィッチのブティックがあった場所にカリフォルニアのリュクスな家具ブランドRHがオープンしたと思ったら、その翌日にはそのほぼお向かいの建物のルーフトップに高級和食レストランのAqua Kyoto(アクア・キョート)がオープンした。大通りの26番地で一階にモロッコ・マラケッシュ発のカフェBacha Coffeeがある建物だ。その屋上のレストランなので食事の席は主にテラス席となるのだけれど、これからの時期はしっかりとカバーされるので雨や寒さについてはご心配なく。
左:レストランからのエッフェル塔の眺め。日没後、毎時5分間のシャンパンフラッシュは眼で味わうご馳走のひとつ。 右:空間の中央に寿司カウンターとバーが設けられ、寿司職人やバーマンたちの仕事を見る楽しみも。
ここでは絶対に日本では不可能な和食体験が待っている。テラス席の真向かいにはエッフェル塔、下方の右手には凱旋門、左手にはグラン・パレ, 後方にはモンマルトルという値千金としか表現しようがない眺めが! パリに住んでる人にとっても、この高さからパリを360度見渡せるというのは得難い体験だろう。美しい名所に加え、夜は眼下のシャンゼリゼ通りの照明や人々の活気など見飽きない光景が展開する。日没後、エッフェル塔が毎時0分から5分間素晴らしいイルミネーションで光り輝き、食事時間を忘れがたいものにしてくれる。エッフェル塔に背を向けている席でも、テラスの壁がイルミネーションに合わせて光を放つので、これが良い合図となり見逃すことがない。なお壁の一部は「水のあるところ、命あり」という水をシンボルとするアクア・グループらしく、水の流れを感じさせる作りである。
建物の8階に上がると、まずはテラスの正面のエッフェル塔が目に入り、左手には大改装を終えたグラン・パレの姿が。photography: Mariko Omura(左)
ルーフトップに180席を設けたレストランは時間帯で表情を変える。
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食事のおいしさも素材の良さも格別だ。アクア・キョートは日本発ではなく、香港発の和食レストランである。ロンドン、ニューヨーク、マイアミ、ドバイを経て、やっとパリに開店。夜はDJが入るエンターテイメント要素もあるレストランゆえ、料理は味の良さに加えてビジュアルの面白さもしっかりと計算されたモダンな和食である。
あちこちのテーブルから、料理がサーブされると"わあー"と歓声が上がり、口に含んだ食事客から"うーむ"と満足の声が聞こえてくるのが面白い。銀ダラの西京焼きのようなクラシックから、伝統を守りながらも日本人料理人が思いつかないような自由な発想の料理までが並ぶメニューは、フランス語と一緒に日本語でも書かれている。"クリスタル寿司"と命名されているシグネチャーは巻き寿司がゼリーで覆われて見た目も美しく洗練されていて、前菜の"シガロル"はサーモンとマグロの刺身を詰めた葉巻型のロールがシガーボックス入りで食卓へ、そして餃子は"銀鱈餃子"で青海苔が衣を飾っていて......。日本では味わえないタイプのガストロノミー和食が待つ店だ。
左:いまの時代、 カクテルなしにパリっ子の食事は始まらない! ネグロニの上には魚型のゼリーがちょこんと。 右:シグネシャーの"クリスタル寿司"。帆立貝の寿司にはバラのゼリー、ボタン海老にはポン酢ゼリーというようにクリエイティブな味わいと技の共演が見事。
西京味噌とお酒に5日間つけた銀鱈。ゆず味噌とシャンパンのソースが添えられる。
店内は異国情緒を感じさせるインテリアというより、いまのパリのトレンディーな雰囲気を味わえる空間。美食の国フランスで最も美しい場所であるシャンゼリゼ大通りを制覇したアクア・キョートは、イコール和食の世界制覇といった思いを抱かせる。開店まもないのでいまのところランチとディナーのメニューは同じだけれど、いずれランチメニューが登場する予定とか。8階まで上がるエレベーターに乗り、ぜひ美食の新世界へ!
左:葉巻を模したシガロルの2本セット。一本の中身は半分がサーモン、半分がマグロ。 右:トリュフ風味が甘みと絡み合う焼き鳥。photography: Mariko Omura
食感の楽しみもあり、色彩鮮やかな巻き寿司各種。メニューには握り寿司や刺身も。photography: Mariko Omura
26, avenue des Champs Elysées
75008 Paris
営)12:00~14:30、19:00~26:00(月~金)、12:00~15:00、19:00~26:00(土、日)
https://aquakyoto.fr/
★Google Map
editing: Mariko Omura