ピガールのオテル・マッセ、21世紀の旅人に静かで快適な滞在を約束。
Paris 2026.01.26
ピガールに昨秋にオープンして以来、Hôtel Massé(オテル・マッセ)の40室は満室状態が続いている。滞在客はフランス人もいればアメリカ、デンマーク、韓国など国は様々だけれど、共通しているのはアート、モード、デザイン関係者が多いことだ。このホテルを仕掛けたのはエオル・ペイロンとコルト・ペイロンという姉弟。これが自分たちにとって初めてのホテル業界での冒険という二人は、もともとあった2つ星ホテルをしばらく経営した後、2年がかりの改装を行い理想のホテルを作り上げたのだ。

SOPI(south of Pigalle)と呼ばれる一角にオープンしたオテル・マッセ。

エオル(左)&コルト・ペイロン。photography: Cobey Arner
ホテルがフランスのみならず海外でも口コミで知られるようになったのは、工事中のホテルで製作された一階の朝食室を飾るブラジル人画家Christian Rosa(クリスチャン・ローザ)による巨大な抽象画が大きな役割を担っている。というのも、彼は何一つポストしていないもののインスタグラム@christianrosastudioのフォロワーは14.3万人だ。レオナルド・ディ・カプリオも彼の作品を所有......ということもあってのことだろう。彼の作品を間近に鑑賞できるというのは、オテル・マッセの宿泊客だけが得られるチャンス!というのも、最近は宿泊客以外にも朝食室やカフェなどがアクセス可能というホテルが多いけれど、オテル・マッセではゆったりとした一階は宿泊客だけに開かれているスペースである。

一階、朝食やカフェをとるゆったりとしたスペースに、クリスチャン・ローザがホテルの工事中に仕上げた抽象画が。

朝食のパンはマルティール通り26番地の行列ができるパン屋のPain Retrouvéから。また日替わりのケーキも朝食やカフェタイムの人気の味。photography: Mariko Omura
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6フロアに40室のホテル。最上階は4部屋だが、他のフロアは各階に7部屋あり、5エム・エタージュの通り側はバルコニー付きだ。いかにもパリ!というオスマニアン様式の建物をリノベーションしたのはOlivier Giuyotスタジオ。エオルがホテルに求めるのは、シンプルな内装で何よりも宿泊者が快適に過ごせること。5つ星ホテル並みの高級素材、ベッドのクオリティ......そして防音にも配慮した。家具は木のデスク以外、全てヴィンテージだ。室内建築はジュリエット・ガスパレットとジュリー・パランティという女性デュオが2023年に創設した事務所Gasparetto Parentiに任され,彼女たちにとって初のホテル仕事となった。内装は部屋ごとに異なるが、ベッドサイドのインゴ・マウラーのランプやバスルーム内のアーティストのエロイーズ・リヴァルが描いたタイルは共通している。面白いのはドアノブにかけられたグリーンとオレンジのリボン。「Don't disturb」「Please make up the room」の代わりである。これは一家がよく旅をしたモンゴルからのアイデアとか。

部屋のタイプはシングル、クラシック、スーペリア、デラックス。室料はシーズンにより大きく異なるのでサイトでチェックを。

室内のインテリアは、天井の素材も含め部屋ごとに異なる。ヴィンテージの家具が多い中、木のテーブルは家具師のアレクシ・マザンがリサイクルウッドを使用してホテルのために制作。

左:客室のエスプレッソ・マシーンはスウェーデンのSjostrand。その脇にはパリで最初のBTBのショコラティエPlaqのウエルカム・チョコレートや7区のHémisphèreのティーバッグが。 右:ドアノブには「Don't disturb」と「Please make up the room」用の二色のリボンがかけられている。photography: 右 Mariko Omura

40室の中には、室内にバスタブのあるタイプの部屋も。アメニティはTypology、洗面台のホテルのロゴ入り石鹸はマルセイユのMaison de Fou Fourのマルセイユ石鹸。

左:ルームキー。 右:Gasparetto Parentiのジュリエットとジュリー。
エオルとコルトはホテルの右隣に2フロアからなるバーLe 30(ル・トラント)をオープンする。3月に向けて現在工事が進んでいる。17時から翌朝2時までの営業で、軽食も取れるバーだという。オテル・マッセを舞台にコミュニティーを築きたいと願うエオルたちは、このバーがホテルの宿泊客とSopiと呼ばれるサウス・オブ・ピガールの地元民が混じりあう場所となることを喜んでいるのだ。
editing: Mariko Omura






