
ヴァンクリーフ&アーペル×蜷川実花展「FLORAE」
先週辺りから急にノエルのムードが高まってきました。花屋の軒先ではツリーを見かけるようになり、デパートやブティックもノエル一色に。ヴァンドーム広場も大きなクリスマスツリーが設置されていました。
ルイ・ヴィトンのブティックはルイ14世風。迫力があり遠くからでも目を惹きます。
さて、ヴァンドーム広場のオテル・デヴルーで開かれていた、ヴァンクリーフ&アーペル の展覧会の最終日に行ってきました。タイトルの「FLORAE(フロレイ)」は、ラテン語で花。日本人フォトグラファーの蜷川実花さんの花の写真とジュエリーのコラボレーションで、会場のデザインを手掛けたのはパリを拠点に活躍する日本人建築家の田根剛氏です。
カラフルな花で囲まれたエントランスを抜けると、そこは不思議な空間が広がっています。暗闇に消えては浮かび上がる花の写真と、多面体のガラスケースの中の花をモチーフとした美しいジュエリー。流れてくるゆったりとした音楽の中で、それらが鏡に反射して、まるで万華鏡を覗いているかのよう。
実はこの展覧会に来るのは2回目。ひと月前に来たときは、美しいジュエリーをひたすら眺めて「わー!きゃー!」と興奮して、沢山の写真を撮りました。特に、今夏に国立自然史博物館で開催されていた「ヴァンクリーフ&アーペルの貴石展」でも展示されていた、たぐい稀なミステリーセッティングのジュエリーを再び間近に見ることができて感激しました。
ミステリーセッティングとは、石を留めている爪が見えず一見宝石がどのようにセッティングされているか分からないことからそう呼ばれています。一般的なジュエリーのように爪や覆輪で留める代わりに、台座にデザインに合わせたレールを彫り、レールの溝に合わせてレールの幅にカットした宝石をスライドさせてはめ込んでいく、時間がとても掛かる複雑なセッティングですが、宝石だけが浮かび上がるような美しさを実現できます。
夏の貴石展とこの展覧会の感動を日本の宝飾関係の知人に伝えたら、まず写真撮影OKということに驚いて、しかも360℃の角度から見ることができるなんて非常に貴重な機会だから、是非とも裏側からも眺めて仕上げを見るようにとアドバイスしてくれました。裏側まで美しくパーフェクトに仕上げてあるのが、本物のハイジュエリーだそうです。
という訳で、ガラスケースの後ろに回ってジュエリーの裏側をじっくりと鑑賞。前回は表の写真だけ撮ったので、今回は裏を撮影。
いく筋ものレールにびっしりとルビーが隙間なく詰まっていて、光を取り込むためのダイヤモンドの裏取りも滑らかで素晴らしい。
夢中なって見ていたら「君がケースの裏に張り付いているもんだから、他の人が写真を撮れないよ!」と一緒に来たパートナーに注意されて我に返りました。ごめんなさい。皆んな一生懸命に写真を撮っているのに、私の顔が写り込んでいたら迷惑だもんね。
お花畑のような腕時計は芸術作品。
「こんなの欲しいな。いつか買って欲しいな〜」と彼に呟いたら、即答で「アガタ(Agatha)に似たようなのが売ってたよ♪」エステのフランス人のお客さんの中に、ご主人からのプレゼントでヴァンクリーフ&アーペルで何点もフルオーダーメイドでジュエリーを作ってもらったという方がいて、そのときの彼女のご主人とお店の方の交渉の様子を聴くのが面白いのだけれど、どうしてこうも違う人生なのかしら・・・?
嗚呼、何度見てもいい。美しい物を見て心が癒されました。宝石に興味がないパートナーも一流のジュエリーを目にしてやはり心が潤ったらしく「リッツホテルでランチして帰ろうか?」と素敵な提案してくれました。が、日曜日の昼に唯一営業しているリッツのヴァンドームバーは予約で満席で入れず。残念だけど、仕方がない。フランス人も以前のように出掛けるようになったし、ツーリストもどんどん戻って来ているので、最近パリのレンストランは何処も混んでいます。幸い、近くのパークハイアットホテルのレストランは空いていました。
会場でもらったパンフレットとヴァンクリーフの学校のプログラム。誰もが参加できる2〜4時間程度の宝飾に関する入門者向けプログラムが充実していて面白そう。
ところで、ワインを頼んだら、おつまみのナッツやオリーブと共に竹のトングが置かれました。コロナ対策だそう。トングでナッツを掴んで左の掌に移して、右手の指で摘んで口に放り込む。それともトングで掴んだナッツを直接口に入れていいの?いや、でも私達は一緒に住んでるからトングは意味ないし。どうやって食べたらいいんでしょうかと尋ねたら「ご自由な食べ方でどうぞ」。トングでナッツを摘むのは、コロナが収まりつつある今日になんだか新鮮に感じました。
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