
カフェ レ・ドゥ・マゴのショコラ・ショー
気分転換をしたいとき、考えごとをしたいとき、書き物をするとき、仕事の後は家にまっすぐ帰らずにカフェに立ち寄ることが多いです。そもそも、家に着いた途端に習慣で一杯飲んでしまい、夜中に気がついたらソファーで眠りこけていた、ということが度重なった結果、何かしなくてはならないときは打開策としてカフェに寄るようになったという方が正しいのですが(^_^;)
地元民がいるひっそりとしたカフェよりも、ツーリストとパリジャンの玉石混交の賑やかなカフェが好みで、フロールやパレットなどサン=ジェルマン界隈のカフェに行くことが多いのですが、この日はふと思い立って、20年ぶりにフロールに隣接しているカフェ レ・ドゥ・マゴに足が向きました。
先週、私が6年前に今のサロンを開いた初日に来てくださった、2番目お客さまでもある姉妹の妹さんが亡くなりました。1番目はお姉さんのマダム=ブラン、2番目は妹さんのマドモワゼル=アンベール。お姉さんが3年前に亡くなってからも、タクシーに乗ってひとりで気丈に来てくださっていたけれど、先月転んで骨折してから急激に弱られて最後は眠るように亡くなられたそうです。
御歳97歳だったので、長生きだったし、独身だからと最後までマダムと呼ばせなかったし、足腰は弱っていても頭はシャンとして、お元気だったので、むしろ天寿を全うして良かったですねと言わなくてはならないのですが、やはりとても寂しいです。
壁には、この店の名前のの由来でもある、二人の中国高官の像があります。
その他にも色々想うことあり、アクシデントも重なり、少し落ち込みぎみの一週間でした。
少し前から習っている声楽の先生に、オペラの他に歌謡曲では何の歌を歌いたいですかと訊かれて、今の気分は「かもめはかもめ」か「サン・トワ・マミー」と答えたら、
先生「・・・・???!」
中島みゆき(または研ナオコ)の「かもめはかもめ」はともかく、サルヴァトール・アダムもベルギー人ゆえかどうかは分からないけれど、フランスではあまり知られていないらしい。
では、越路吹雪か岸洋子版「サン・トワ・マミー」で、と言っても、フランス人の先生には当然通じず(時代が古すぎ?)
グレコは声質が先生の好みではなく。とりあえず60〜70年代の歌ということで、フランス語の歌初心者はまずは「オー・シャンゼリゼ」を唄うのでそれか、ピアフか、はたまた先生の大好きなジョニー・アリディ(フランスを代表するロック歌手)はどうかと打診されて、ジョニー・アリディではあまりにぶっ飛んでいるので、結局無難な「オー・シャンゼリゼ」に。
本心はそんな呑気な気分じゃないんだけれど仕方ない〜。
なんてことを、ぐるぐる思い巡らしてカフェ・クレームを頼んだら、ダンディーなギャルソンが「あなたは顔色が青くて寒そうですよ。ショコラ・ショー(ホットチョコレート)にしたらどう?ここのは美味しいんだから!」
そして、「味見してごらんよ!」とカップになみなみとショコラショーを注いで持ってきてくれたのでした。すごく甘くて、どろりと濃くて、ショコラとミルクだけの本物のショコラ・ショー。
カロリーが気になるからと今更カフェ・クレームを頼めるはずがなく(笑)、結局味見の最初の一杯とポットに注がれた2〜3杯分のショコラ・ショーを、ゆっくり喉に流し込みました。脳と気持ちが疲れているときは、この甘さも必要かも。ホッと穏やかな気持ちを取り戻せたような気がするし、書き物もいつもよりはかどりました。
有名キャフェだとツンとした感じの悪いギャルソンもいるけれど、サンパ(感じ良い)で親切なギャルソンに感謝(^o^)/
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