
夢幻な舞台とホテル・プラザアテネのカクテル
10月1日、窓の外を見るとエッフェル塔がピンク色に染まっていました。毎年恒例になっている10月の乳がん啓発月間のエッフェル塔のピンク色のライトアップ。家から見えるのは横側なので半分しかピンク色ではないけれど、シャイヨー宮まで行けば全体がピンク色のエッフェル塔が見えたことでしょう。今年はペニンシュラホテルもピンク色にライトアップされて、ピンク尽くしのアフタヌーン・ティーが登場して話題になりました。
国立シャイヨー劇場で、野田秀樹氏演出の「贋作 桜の森の満開の下」を観てきました。直前にチケットを取ったのにも関わらず中央1列目の席で間近で観ることができて幸運でした。
薄紅色の桜が舞い散る幻想的な世界で起こる、笑いと怖さと美しさのお話。すごく面白かった!天野祐希さんの整った美しい顔と姿勢の良さに見惚れました。そして春の帰国時に観た「酒と涙とジギルとハイド」に出ていた藤井隆さんも出演されていて、また今回もユーモアある演技を楽しませていただきました。
けれどもフランス人の観客にとってはどう感じたのかなぁ、と疑問に感じました。作家の坂口安吾の「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」が下敷きとなった作品だけれど、まず日本人でも小説を読んでいないと理解し辛い部分があるのに、おそらくほとんどのフランス人は読んでいないだろうから理解できなかったのでは?野田氏の作品の特徴の言葉遊びや、おそらく日本に住んだことのある人しか理解できないギャグはほとんどフランス語に翻訳されていなかったので、素晴らしい作品だけに惜しいなぁと思いました。幕間に2列目に座っていたフランス人達はごっそり帰ってしまったし、隣に座っていたフランス人のご夫婦は舞台美術が美しいけれど理解できなくて残念だと言っていました。日本で演じているそのままではなく、フランス人に理解しやすいように内容をアレンジするとか翻訳をもう少し工夫した方が良いのではないかしら。
(写真はシャイヨー劇場のHPから使用しました)
舞台がはねたのが11時。シャイヨー劇場から近いホテル・プラザアテネのバーで友人と待ち合わせ。薄紅色の世界から今度はブルーの世界へ。
泡立てた卵白に水玉模様に浮かんだオリーブオイルが可愛いシャンパンベースのカクテル。ここのバーはカクテルが美味しいけれど、どれもブルーにしか見えません(笑)
舞台の後のブルーライトのカクテルタイムは、まるで夢幻の時が続いているようでした。
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