
7区のパリジャンに愛されたレストラン"Le Clos des Gourmets"
今月末で閉店することになった7区のレストランLe Clos des Gourmets。シェフのアルノーの友人達と「びっくりさせよう!」と突然8人で行ってきました。先週もここで食事をしたばかりというヴァンサン夫妻がわざわざ別名で予約。レストランに着くとシェフと奥さんが「オ・ララ〜!」と叫びながら、大袈裟なくらいびっくりして迎えてくれました(笑)日本人ってこういうリアクションが出来ないけれど、こういうときフランス人って楽しくていいなぁと思います。
でもびっくりさせようと思ったのは我々だけではなかったようで、以前この店で見習い修行をしていたという若者達や常連客で一杯。皆んな最後にシェフの料理を楽しもうと同じことを考えたんですね。
エッフェル塔のすぐ脇、ラップ通りにあるLe Clos des Gourmetsは、出ては消える流行りの店やツーリストが訪れる店ではなく、クラシックな内装と正統派フレンチを出し、舌の肥えた7区の住民が足繁く通う店でした。私はヌーヴェルキュイジーヌやフュージョン料理よりも、フランス人が作るどっしりとしたフランス料理が好きで、ここの料理が舌にとても合うのです。
ここのスペシャリティのLa tête de Cochon(テット・ド・コション)。直訳すると豚の頭ですが、豚の頰肉を柔らかく煮込んだ料理です。ゼラチン質がたっぷりでこってりとした味わいが美味しい。
フランス料理の食材に欠かせないリドヴォーは子牛の胸腺の部位。白くて滑らか、ふんわりとした食感でフランス人の好物です。外側をカリカリに焼くのがお決まりで、ここのリドヴォーは本当に美味しかったなぁ。前菜とメインの他にもトリュフを乗せたスクランブルエッグやパテなどをサーヴィスで出してくれて、アペリティフのシャンパンから始めて、白ワインから赤ワインへと沢山飲みました。ジュヴレ・シャンベルタンが素晴らしかった!
私以外のメンバーは、彼らの子供がシェフ夫妻の息子と同じ学校に通っており、家もご近所さん。もう5年以上毎月皆んなでアルノーのレストランでディナーをして、バカンスも一緒に過ごす仲良しです。
レストランを閉めるのは経営が上手くいかなかったからではなく小休止のため。若いときにレストランを開き20年間ずっと夫婦で頑張ってきて、レストラン経営やシェフの仕事は労働時間が長く大変で体力的に限界を感じるようになったそうです。1年間ゆっくり休息して、バカンスに出掛けたり子供と過ごす時間を持って、その後何処かでレストランを開くか、他の事をするかは追い追い考えるとのこと。常連客が多く繁盛しているのに閉めるのは勿体無い気がするけれど、人生はひとつ、ひとつと選択や決断を下すことですものね。アルノーの話を聞きながら、皆んな「セ・ラ・ヴィ!」と頷いていました。
常連のお客さん達が次々と「今まで美味しい料理を作ってくれてありがとう!」とビス(キス)をして帰っていくのを見て、本当に愛されていたんだなぁと心が熱くなりました。今週の金曜日にお別れのカクテルパーティーがあり、それが本当の最後。Adieu Le Clos des Gourmets!
ARCHIVE
MONTHLY