１７日 - 外出制限１日目のフランス

エドゥアール・フィリップ首相が日常生活に支障が出ない商店の営業禁止の決定と外出自粛を呼びかけた翌日の日曜日は、よく晴れた穏やかな日でした。午後に買い物に出掛けたとき、多くの人がセーヌ川やシャン・ド・マルス公園でピクニックや散歩をしているのを見かけました。

そして、昨日の月曜日の夜８時、人々が事の深刻さを理解していな様子を見たマクロン大統領は１７日火曜日正午から少なくとも１５日間外出制限を設けると発表。

外出する際はフランス内務省のサイトからダウンロードできる証明書と身分証明証を持参すること。証明書は名前、生年月日、住所、日付を記入し外出目的を選んでサインをします。外出目的は以下の中から選択。

〈 テレワークができない或いは延期できない仕事で職場と自宅間の移動するため / 必要不可欠な物を買うため / 健康目的のため / 家族のためのやむ終えない事情・脆弱な人々への支援、子供の面倒をみるため / 集団ではない個人的な運動 やペットの散歩のための自宅近辺の短時間の移動 〉

違反した者は罰金３８ユーロ。明日から罰金は最大１３５ユーロ。今日は３８ユーロだったのに効果がないとみたのか明日から１３５ユーロに跳ね上がります。イタリアの例があるというのに、ここまで厳しくしないとパリジャンをコントロールするのが難しいということでしょうか。

今日は外出していないため町の様子は見ていませんが、ニュースによると制限が始まる正午までは田舎に別荘を持つ人達や地方に親族がいる人達がパリを離れるため車が多く、電車やフライトも混雑したようですが、午後からはすっかり静かになったそうです。

ある専門家が、日本人は挨拶するとき相手と接触しないし、家族とハグやキスをしないし、普段から手洗いやマスクを着用しているので、フランス人も真似するべきだと話していました。本当にその通り。でもパリジャンからビズ（キスや頰と頰を合わせる挨拶）・ハグ・社交を取ったら何が残るのだろう？ それくらいフランス人は個人主義だけど人好き・コミュニケーション好きな人達なので、家族や友人達と自由に会えないというのは日本人からは想像できないほど簡単じゃないのも事実なんですよね。

ではフランス人はどうして過ごしているかというと、私の周囲のフランス人に限って言えば、規則を守って、落ち着いて気持ちを明るく過ごしています。同じく外出制限が設けられているスペインで看護師として病院に勤務している従姉妹の話でも、スペイン人もお喋りが大好きでじっと家にいるのが苦手だけれど、今は皆んな家で楽しく過ごせるよう工夫をしているそうです。

ラテン系のフランス人とスペイン人の共通点でもあり、私が嫌いじゃないのは彼らの悲壮感がない面。同時多発テロ、黄色のベスト運動、長期間のデモやストライキと次から次へと困難な状況がやってくるので、フランス人が肝が座るのも頷けます。昨日お客様の９５歳のマダムに休業する旨を知らせる連絡をしたときも「長く生きてきて色んなことがあったけど、昨年から今年にかけては特に酷いわね。でも困難と一緒に生きて行くしかないんだから仕方ないわねぇ」とのんびり笑っておられました。

今日からたっぷり時間があるので朝から掃除をしように張り切っていたら、営業停止で余った花が悪くなるからどうぞと、知人が大量の花を届けてくれました。生まれてはじめてこんな沢山の花をもらいました。嬉しい！！お隣の方に半分おすそ分けして、玄関、サロン、寝室、浴室、キッチンとあちこちに飾って家が花でいっぱい。

しばらくすると再びピンポーン。上の階の方が外出制限が解けるまで子供達を連れて別荘に行くことにしたけれど、冷蔵庫にあった物だけどよかったら食べてねとバターや卵などの食料品と、そしてやはり枯れてしまうからと花を持ってきてくれました。

仕事ができない状況は心配しだすときりがないし、せっかくなので普段なかなか腰が重い整理整頓をして、読書したり、友人と電話でおしゃべりしたりしてのんびりと過ごしたいと思います。