隔離中でもグルメなフランス人
シネマテーク・フランセーズで4月から予定されていたルイ・ド・フュネスの展示を楽しみにしていたのですが、映画館を含む商業施設の閉鎖措置のため延期になりました。ルイ・ド・フュネスはフランス人なら知らない人はいない60〜80年代に活躍した喜劇俳優で、フランスに住み始めた当初フランス語の勉強のためにストーリーが分かりやすい彼の映画をよく見ていて今でも大好きです。
がっかりしていたら、テレビで「手羽先ともも肉(L'aile ou la cuisse)」を放映していました。レストランガイド「ミシェラン」のパロディのコメディ映画で、主役はルイ・ド・フュネスとコリューシュ。毎日ニュースでCOVID-19一色の日々の中、明るい気持ちになるのにうってつけの映画!
レストランガイド「デシュマン」の社長でレストランの覆面調査員でもある、料理に人生の情熱を注ぐシャルル・デシュマン(ルイ・ド・フュネス)が息子のジェラール(コリューシュ)と、次々と有名レストランを買収しているジャンクフード工場の経営者のジャック・トリカテルと対決。デシュマンが見かけだけのインチキ料理を暴くストーリーです。
映画が公開されたのが1976年。今日では当たり前になっている有名シェフがプロデュースした商品やレトルト食品、レストランチェーン展開による食品の品質と安全性に、40年以上前に危惧を抱いている点も興味深い。ちなみにコリューシュはホームレスや低所得者に食事を配る慈善団体「心のレストラン(Restos du Cœur)」の創立者としても有名です。
ルイ・ド・フュネス(左)とコリューシュ(右)
話が変わりますが、ロックダウンされて最初こそ一部の食料品やトイレットペーパーが品薄になったものの今は大抵の物は以前と同様に手に入ります。写真は八百屋で購入した野菜や果物。ホワイトアスパラガス、ポワロー葱、かぶ、人参、ほうれん草、ハーブ、苺など。フランスはEU最大の農業国。魚屋や肉屋も開いているし、ワインも買える。こうした状況でも食べ物に困らないというのは本当にありがたいです。
映画を見ながら、グリーンピースのさや剥き。何度見てもルイ・ド・フュネスとコリューシュのコンビは最高!笑いすぎで泣きながらさや剥きしました( ;∀;)
近所に住む知人Rにも食べるかどうか連絡を入れます。先日発熱したRに体温計を貸したのですが検査の結果は陽性。奥さんと子供達は既にブルターニュに避難していたのが不幸中の幸いで、只今彼は一人で自宅療養しているため代りに買い物をしたり食事を届けています。もちろん接触しないように家の前に紙袋を置いて、それを後からRが回収します。ゴミ捨てもアパートの隣人が同じ要領でやってくれています。
フランス人は病気のときでも普通の食事を摂る人が多くて、病気のときこそ赤身の肉は力がつくと好んで食べる人もいます。熱がある日とない日が続いて体調にムラがあるので、最初は野菜スープやりんごのコンポートなど消化の良さそうな食事を届けていましたが、Rから普通の食事で良いとリクエストされました。彼の場合はCOVID-19特有の味覚や嗅覚が鈍る症状は現れていないとのこと。そこで最近は我が家と同じ料理を届けています。
「本日のシェフのおすすめは何?」
「前菜はカボチャのポタージュ、メインは仔牛とグリンピースの煮込み、デザートはマリーアンヌ・カンタンのリオレ(ライスプディング)と洋梨だよ」
「いいね。じゃ、それをもらうよ。採点の結果は後で伝えるよ♪」
映画の中で星を奪われたレストランのシェフがデシュマンに復讐するシーンがあるのですが、毎回繰り返されるRとのこのやり取りでだんだん気持ちが分かってきた(笑)一日でも早く回復しますように!
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