
フランス人が喜ぶ日本食
前回のブログの続きになりますが、フランス人の友人達から「日本人なのに一回も日本食を皆んなに振る舞わないなんてサンパ(フレンドリー)じゃない」と言われていると知って、和食を作ることになりました。
フランス人を家に招待して和食を出すのがあまり好きじゃないのにはいくつか理由があります。ひとつめはパリで日本食作るって買い物が結構大変。オペラ界隈にアジア食材や日本食材のスーパーがあるけれど、これがあればあれが足りないという具合で今回は結局3回もオペラまで足を運びました。ふたつめは、フランスではホストの女主人がテーブルに座って一口食べるまではゲストは手をつけないのがマナーだから。例えば、天ぷらを次々と揚げて、熱いうちに食べてねと言ったとしても誰も箸をつけないでじーっと彼女がキッチンから戻ってくるのを待つので冷めてしまう。何よりホストが席を長時間立つのは良くない。三つ目は日本の家庭料理は数種類のおかずを一緒に並べるけれど、一品づつ食べるフランス人にはごはんとおかずや汁物をバランス良く交互に食べるなんてできないし、いっぺんに全部出すと間が持たない。フランス人は一品ずつ時間をかけてお喋りしながら食べるので、食卓に全部並べて1時間で食べ終わるなんてナンセンスです。
だからオーブン料理や煮込み料理などあらかじめ用意しておくことができるフランス料理の方が、招待するには向いていると思うんだけどなぁ・・。
それはさておき、その日来てくれたのはアラフィフ&アラシスだけど新婚ホヤホヤ夫婦と先日泊まりがけでお宅にお邪魔させてもらったカップル。
アペリティフはシャンパンと梅酒で。誕生日の人がいたので乾杯のときに「〇〇のお誕生日に乾杯!」と言おうとしたら、「私たちの結婚12日目にかんぱ〜〜〜い♡」と先を越されてしまいした。さぶっ・・・(^^;;
前菜は魚屋Ebisuで買ったお刺身セットで作った手毬寿司と、手毬寿司を失敗したときに備えてEbisuで買っておいたマグロの細巻き。お刺身のセットに入っていた蒸しアワビ。それに彩が良くなるようにだし巻き卵を添えました。予想どおり、お寿司に歓声。意外にもだし巻き卵が気に入ったようで、皆んなお代わりしてくれました。
続いてカツオのたたき。Ebisuではなく、友人に教えてもらったピカール(冷凍食品専門店)のカツオです。カツオが好きでよくマルシェで買ってきてタルタルにしたり表面だけサッと焼いてレアで食べていたんですが、彼女から寄生虫がいるかもしれないから生で食べるならピカールのカツオの方が安心だと教えてもらいました。小さな塊の状態で箱に入っているので、熱々に熱したフライパンでジューっと表面を焼くだけで簡単にできます。
薬味たっぷりで食べると美味しい。すり下ろした生姜、玉ねぎのスライス、シソとシブレットをどっさり乗せて、ポン酢ではなくフランス人好みに甘めのタレをかけました。「ボニート(Bonite カツオ)だよ」と出したら、「ああ、プチ・トン(Petit thon 小さなマグロ)だね」と皆んな。味や食感が似ているからなのかフランスではカツオとマグロは一緒だと思われてるらしく、魚売り場やパッケージにもそう表記されていることがあります。
お口直し代わりに冷たく冷やした野菜の揚げ浸し。パプリカが食べられない人がいたのでプチトマトを揚げてみたら、油に入れて10秒位で突如皮がパーンと弾けるので、そのタイミングでサッと油から引き揚げるのにドキドキしました(汗)
メインはすき焼きにしました。甘辛い味付けはフランス人好きだから間違いない(^m^) 皆んな日頃から日本食レストランによく行ってるけれども、すき焼は初めてだったみたいで、生卵にも抵抗なくお肉を浸して食べてました。
さっきの乾杯のときに「お誕生日おめでとう」を言うつもりが、まんまと新婚カップルに先を越されてしまったけれど、用意しておいた誕生年のワインでもう一度乾杯。そんなに良いワインではないのですが、まろやかですき焼きに合ってなかなか美味しかったです。
意外なことに卓上コンロに皆んな興味津々!卓上料理ならその場で調理できるから私も席を離れなくてよいし、みんなも目の前で作る様子を見えるのが面白いと喜んでくれました。フランス人もラクレットやオイルフォンデュなど卓上で料理するので、ワイワイと皆んなで囲む卓上料理が好きだと思います。
デザートは、友人の大好物のスイカとアイスクリーム。手間要らずで助かった(笑)すき焼きの後のスイカは口がさっぱりして良いですね。アイスクリームはAoki Sadaharuの抹茶と黒胡麻アイス。それから、アイスクリームと一緒に前日に作っておいた焼き菓子を出しました。
最初は渋々だった日本食ディナーですが、皆んな美味しい美味しいと沢山食べてくれて、翌日皆んなから心温まるメッセージをもらいました。考えてみれば、あらかじめ作っておいた料理や野菜を切っただけのすき焼きと手間がかかる料理は何もしてない。この程度のもので喜んでもらえるなら、思っていたよりずーっと簡単じゃないの。これなら年に1回か2回位ならしてもいいかなーとちょっとハードルが低くなりました。
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