CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

皆バカンスへ!パリが空っぽになる8月15日。

今年始めてパリで夏を迎える日本人のお客さまが「こんなにも皆んな居なくなるんですか?!」と驚いていらっしゃいました。美容室を予約していたのに、彼女が予約を入れていた美容師はなんと既にバカンスへ発っていたそうで・・・。お客に連絡を入れずにバカンスへ行ってしまうなんて日本なら考えられないことですが、フランスだとごく普通にこういうことが起こります(~_~;) 

泣く子も黙る”バカンス"という響きは、フランス人にとってこれ以上はない説得力を持つ言葉です。

常に文句ばかり言っている彼らもバカンスと聞けば「あ〜、それじゃ仕方ない」とあっさり納得してしまうのだから面白い。銀行の担当者がバカンスでいないからアポが取れない、商品を注文したら担当部署の業務は停止中、営業中のはずの店に行ったら夏季休暇中の張り紙・・・等、私も昔はよくイライラしてたけれど、自分もバカンスへ行くようになると「じゃ、バカンス明けでいいよ」と引き下がれるようになりました。

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8月のパリ、それも8月15日( Assomption 聖母被昇天祭の祝日)の前後1週間は見事なほどパリジャンがいなくなる時期です。今年はアジアやアメリカからのツーリストがいないうえに、パリジャンはバカンスでパリを離れるので殊更静かだと思います。

写真は10日ほど前の商店街の様子ですが、八百屋も花屋、そしてお肉屋もバカンスで閉店。

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暑かったのでベルティヨンのアイスクリームを売っているエピスリーに行ったら、”7月20日〜8月27日は夏季休暇”の張り紙がドアに貼ってありました。

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クリーニング屋も休み。

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タバ(雑誌や新聞を売っているスタンド)もバカンス中は閉まります。

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スーパーとデパートは開いているけれど、個人商店やマルシェが一斉に閉まるので8月にパリにいたら生活するのがすごい不便になります。

でも各界隈に必ず空いている店があります。それは薬局とパン屋。パンはフランス人にとってなくてはならない主食。そして病気や怪我をしたら薬も必要。この二つはお客が困らないように自分達がバカンスの間はどこの店が開いているか張り紙がしてあります。

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この薬局は7月23日〜8月24日がバカンスで、その横に貼ってあるのは他の薬局の閉店期間を記したリスト。

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「8月に病気と出産を避けべきだ」は、フランス人がよく言う冗談とも本気とも取れる言葉ですが、先週バカンスへ出発する前日にそれを実感する出来事がありました。

歯医者でもらった薬を服用したら身体中に発疹が出て、心配になって歯医者に電話するも応答なし(つまりバカンス)。担当医に電話すると8月末までバカンス中との返事。そこで医師の予約サイトからパリで今日中に予約を取れる皮膚科医を検索すると・・・なんとたったひとりだけ、パリ全区域でひとりだけヒット!!早速サイトから予約を取ろうとしたら”担当医の紹介状がない患者または初めての患者の予約を受けておりません”と表示されるので、電話で明日からバカンスへ発つので今日中に診てもらいこと、担当医はバカンスなので紹介状はないことを説明すると、「担当医の紹介状がないと診ません」と取り付く島もない。ここで食い下がっても診てもらえないので「担当医じゃないけど他の医師の紹介状がありますから」と嘘をついてなんとか2時間後の予約を取り付けました。

予約をとったけど紹介状が至急必要!マルセイユに住んでいる知り合いの医師に電話して、今夜バカンスへ発つと言う彼に「お願い。今すぐ紹介状書いてスキャンして送って!」と滑り込みセーフで紹介状を書いてもらうことができました。その紹介状のおかげで無事に皮膚科医に診察してもらえたのだけれど、ラボで明日の朝に薬アレルギーを調べる血液検査を受けるよう指示されてラボに予約の電話を。土曜日の早朝に検査を受けたいと頼んだら、「バカンス期間中は土曜日は休みです」との答え。でもどのみちその皮膚科医もは翌週からバカンスへ行くので一番早くとれる次回の予約は9月末で、ラボで検査しても原因が分かるのは9月末・・・(泣)

結局は再びマルセイユの医師に電話して、PCR検査をして(発疹はコロナの症状ではないけれど念のため受けるように言われた)指定されたアレルギーを抑える薬を服用していたら日に日に発疹が治ってきたので良かったけれど、医師もせめて薬局のように交代制でバカンスを取って欲しいと思ったのでした。いくら何でも8月に営業している皮膚科医がパリ中でたったひとりって極端すぎるでしょ!!

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(フランスの大統領が夏を過ごす南仏のブレガンゾン)

コロナを考慮してバカンスや帰省を取りやめるという考え方は(たとえ医師でも)露ほども思わないで、むしろロックダウンで外出できなかったぶんバカンスはゆっくりしてリラックスするべきだと考えるのがフランス人。マクロン大統領も恒例の南仏のブレガンソンでバカンス中だし、私の周囲でもバカンスに行かない人は皆無です。それでも今年の夏はさすがにフランス国内で過ごす人が圧倒的に多いそうで、雑誌フォーブスによると今世界の最も空いていて安全にバカンスを過ごせるのはなんとギリシャの島々だとか。夏は人混みと若者のイメージしかないギリシャの島とは完全に盲点でした(!)

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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