ソローニュの森と秋冬のジビエの楽しみ
フランス人が大好きなジビエ。野ウサギ、鹿、猪、キジ、鴨などの野生鳥獣の肉は彼らにとって秋冬のご馳走で、自ら狩猟に行く人も多く、獲った獲物は肉屋に頼むと解体してくれます。
狩猟が盛んなソローニュの森ですが、ソローニュ地方の家はレンガ作りの平屋が特徴で、大抵室内の壁には動物の頭部の剥製が飾られています。
昔バカンスで知人の家に滞在したとき、家の居間と食堂はご主人が自分で仕留めて製作したという剥製で埋め尽くされていたのだけれども、剥製作りは素人だから作り方が悪いのか強い獣臭を放っていて、剥製の周りは大量のハエがブンブンブン♪テーブルに座るとちょうど頭の真上にそのハエがたかっている剥製があって、自分の顔にもひっきりなしにハエが止まるし、ワイングラスにも獣臭が染み付いていて、食事が喉を通らなかった・・・(>_<)
以来トラウマになって、壁に剥製がある部屋での食事は大の苦手になってしまいました。鹿や猪の頭部の下でその肉を食べるのって、古代ローマ人が骸骨をテーブルに置いて、それを見ながらいつかこうなるんだから生きているうちに食事を楽しもうと食欲を沸かせたというのに共通している気がする。
やはり狩猟が好きな友人の幼少時代の写真を見たら、父親が仕留めた死んで口から血を流した猪の背中に跨がって笑顔で遊んでいて、フランス人の狩猟のDNAは凄いなぁと関心したのでした(汗)
ところが、8月に宿泊したホテルの食堂の壁の斜め上を向いた鹿の剥製に思わず目がクギずけに!躍動感が素晴らしいと繁々と眺めていたら、嬉しそうにオーナーが近づいて来て来ました。
オーナー:アカシカのオスです。9〜11月の繁殖期にムラムラしたオスが自分の縄張りや力を誇張してメスを誘惑するために、斜め上を向いて雄叫びを挙げている様子を剥製にしたんですよ。
私:す、凄いこだわりですね・・・!!
さらにこんなアフロヘアの鹿が?!
オーナー:右は生まれて初めてツノが生えて始めた鹿で、左は生えたてのまだ細いツノを持った鹿なんです。
なんと!!生まれて最初のツノは毛皮に包まれたままどんどん伸びて、その後毛が剥がれて中からツノが現れるんだとか。そんなことは全く知らなかったから驚きました。
半信半疑でネットで調べたら本当でした!
ふわふわの毛皮に包まれたまま、ツノがどんどん伸びて〜
こんなカチューシャ売っていそう(笑)
毛が剥がれると、中から硬いツノがニョッキリ。
剥製もジビエも奥が深いのだとショックを受けた、ソローニュでの出来事でした。
ところで、今朝アパルトマンの隣人からお土産をもらいました。週末にアルデンヌ地方(ベルギーとの国境に近いフランスの北部)の別荘に行っていて、森で仕留めた鹿の肩肉。小柄な鹿だったけれど、今年初めての狩猟を楽しんだそうです。
骨でダシをとって、お肉はワインと香味野菜でマリネして煮込み料理にしようかな。狩猟は人間の食の原点ですよね。自然の恵と動物の命に感謝して余さず美味しくいただきたいと思います。
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