CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

カフェのオープンと1回目のワクチン接種

皆んなが待ちわびていたカフェやレストランのテラス席、商店、映画館や美術館の営業が再開しました!私も2ヶ月ぶりにお客さまに会えて嬉しかったです。ご高齢のフランス人のお客さまは、朝6時の上映回で映画を見てからここに来たと言うのでびっくりしました。80歳超えた人がそんなに悦び勇んで飛び出して行くもの?(笑)2回目のワクチン接種が済んだ後に、さらに2週間抗体が出来るのを待ってから外出するつもりでいた私の方がずっとお年寄りのようだ(^_^;)

夕方仕事を終えて、店を出た途端に友人から着信があり「ねぇ、テラス行かない?」皆んな気が早すぎる!せっかくのお誘いを断わるのも何だし快諾して、カフェの前で偶然通りかかった別の友人も加わって、3人でアペリティフを飲もうとテラス席に座りました。ところが、なかなかギャルソンが注文を取りに来てくれない。痺れを切らして言いに行くと、今日は自分ひとりしかいないのでもう少し待ってほしいと言う。「初日なのにギャルソンがひとりだけ!?」と憤慨して、ハタと気が付きました。5月はまだ政府から補助が出るので人件費をできるだけ抑えたいのでしょう。再開初日にパーッと一気に開くかと思っていたら案外そうでもなく、『 6月1日から再開します 』と張り紙をしている店があるのも内情を想像すると頷けます。

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さて、仕事を再開するのに先立って1回目のワクチン接種をしてきました。

現在50歳以上のすべての人がワクチン接種ができるようになっており、5月12日以降は翌日のワクチンが残っている場合に18歳以上50歳未満の人も前日予約で接種できるようになりました。もう少し様子を窺って接種するかどうかを決めるつもりだったけれども、接客業のリスクや夏のバカンスを考えるとやはり接種するほうがよいと考え直しました。予約はdoctolib.frのサイトから、希望のワクチンと(ファイザー・モデルナ・アストラゼネカ)1回目か2回目の接種、会場場所(パリ市内や区など)を選ぶと空き状況が表示されます。既にいっぱいで空きがない場合も時間をおいて何度か試すと状況が変わるようで、最初は家から遠い会場しか空きがなくてそこで予約をして、もう一度試したら近くに空きがあったので変更しました。自動的に2回目の摂取の予約も取れます。ちなみにファイザーとモデルナだと予約が取り難いようですが、薬局や開業医が扱っているアストラゼネカだと空きが沢山あり当日予約でも取れるようです。

18時50分の予約で15分前に会場へ行くと、会場の外には30人位の人が並んでいました。私の予約が最終時間だったので、予約がない人達が余ったワクチンを打ってもらうために集まって来ているのです。受付を済ませて、待ってる間に問診票にセキュリテ・ソシアル(健康保険)の番号、アレルギーの有無、過去に感染したかどうかなどを書き込みます。そして、ひとりずつ医者に呼ばれて問診。問診してくれたのは、真っ赤なマニキュアを塗った爪に、ゴールドの太い指輪とブレスレットをジャラジャラ付けた60歳位の迫力ある女医。以前に通っていた婦人科の先生の爪もいつも真っ赤なマニキュアが完璧に塗られていたし、フランスは医者も患者もそういうことはあまり気にしないようです。

「持病がありますか?」「ノン」「現在服用している薬はありますか?」「ノン」「妊娠してますか?」「ノン」「アレルギー反応が出たことがありますか?」「ウイ。夏に歯医者から処方された抗生物質を飲んだら全身に発疹が出ました」「薬の名前は?」「えーと、覚えていません」「ア・ボン(あ、そう)。セ・パ・グラーヴ!(大した事ないわよ) 」と、その項目に赤ペンでアレルギー反応ありと記入して?????とクエスチョンマークを5個書き込んでいました。薬の名前を失念した自分が悪いけど、念の為にパートナーに付き添ってもらってよかった・・。

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上がイメチェン前、下がイメチェン後のラシダ・ダチ

( Photos 20Minutes )

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そこへ「問診が終わったらこっちに来てください」と現れたのが、7区の区長のラシダ・ダチ。昨年のパリ市長選挙のときに、ブルジョワ派からメガネにナチュラルメイク、普通の服へと外見を庶民派へイメージチェンジをして、それは今も継続中のようで黒いパンツとキャメル色のセーターというシンプルな出で立ち。彼女への賛否両論はあるものの区長自らが会場へ来て、テキパキと順番待ちの人達を捌く姿に感心して見ていたら、突然横に座っていたひとりのマダムが吐き捨てるように私に言い放った。「7区のお金持ち相手に地味な服をアピールしたってどうだっていい。誰も気にやしないわよ!」7区は住民の年収が最も高い区だ。著名人や貴族も大勢住んでいる。彼女は市長選挙と違って庶民派アピールしたって意味がないと嫌意を言ったらしい。まあ、確かにそうかもしれない。彼女が好きだというディオールを着ていようがショーメの宝石を着けていようが、7区の住民なら何とも感じないだろう。でも、私のように事情があって住んでいる人や、おそらくこのマダムのように他の区から接種のために来ている人も大勢いるだろうから、パリ市民のために活動しているのを見せるのは今後の政治活動のためにとても大切じゃないの?

それよりもマダム、近距離で話しかけてこないで欲しい〜。すると運良くラシダ・ダチに再び呼ばれて「あのムッシューの次があなたの番ですから、彼が出たらすぐに入ってください」やれやれ、やっとマダムから解放された。

言われたとおりにパーテーションで区切られた部屋に入って、医者がワクチンを取りに行っている隙に、書類に私の名前とワクチン名欄にファイザーと記されているかを確認。複数のワクチンを取り扱っている会場が多いから、間違えられるということも十分過ぎるほど考えられるのがフランス。「右利きですか?左利きですか?」と訊かれて、利き腕でない方の腕にチクリ。絆創膏を貼って終了。今日と明日は運動をしないようにとのこと。「はい、あなたも腕を出してください」と付き添いのパートナーも打たれそうになるが、「僕は今朝打ったばかりなので結構です」と慌てて断っていました。これはよく聞く話で、付き添いで行ったらついでに打ってもらったという知人が沢山いる。自分が接種する間、子供の面倒を見るのに来てもらった20代の若いベビーシッターさんにも打ってくれたという知人もいた。

15分間の待機が済んで外へ出たら、ちょうど外で並んでいた人達も皆んな中へ入るように呼ばれていました。6月に入ったらもう夏のバカンスですからね。政府は接種をどんどん拡大させてバカンスの移動が始まる前に2回目の摂取を終了させるつもりらしい。ところで気になる副作用は、翌日から腕の痛みに加えて頭痛と疲労感があり、医者に4時間おきにドリプラン(フランスでポピュラーな解熱鎮痛剤)を服用するように言われ、結局回復するのに3日間掛かりました。想像していた以上に辛かった。友人達に聞くと、副作用が全くない人もいるし、軽い場合もそうでない場合もあり人それぞれ症状が違うけれども、これから接種する人は翌日は予定を入れないほうがよいかもしれません。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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