1月のフランス人のデザートは、ガレット・デ・ロワとシードル
1月中フランス人が食べ続けるお菓子といえば、ガレット・デ・ロワです。この時期、食事に招かれるとデザートに100%出てくる季節もの。でも、ここ数年、デザートにはババロアやフルーツなどの軽い物を好むようになってきて、バターたっぷりの折り込みパイ生地(パートフィユテ)のお菓子は胃が受け付けなくなってきました。ガレット・デ・ロワも朝食や軽食代わりに食べるならまだしも、食事の後には重すぎる。さらに、あまり美味しくないパン屋さんやスーパーで売られているガレット・デ・ロワは、アーモンドクリームに大抵アーモンドエッセンスが使われているので、その人工的な匂いがぷんと鼻についてどうしても喉を通らない。ケーキバイキングやアフタヌーンティーに行くのが大好きだったのは若さ故だったのか。
今月は食事会の予定もないし、今年はガレットを食べないまま季節が終わると思っていたら、金曜日の朝に同じアパルトマンに住むソフィーから夕食に来ないかと誘われました。「喜んで!で、何か持って来て欲しい物ある?」「じゃあ、デザートにガレット・デ・ロワをお願いするわ」「OK…」
カップル2組とソフィー家3人の計7人なので、8人用サイズのガレット・デ・ロワを買いたいのになかなか見つからない。ラデュレに行ったら4人分サイズが1つしかなくて8人用は前日までの注文だと言われたので、ルノートルへ行ったらもうガレット・デ・ロワの季節は終わり、今は1〜2人用の小さなガレットしか作っていないと言う。「エピファニーはもう2週間以上前ですから」と言われたけれど、ガレット・デ・ロワはエピファニーを祝うお菓子で今年は1月6日だったのだ。それならと、少し離れた場所にあるパティスリーに電話して訊くと、やはりガレットの製造は終了したとの返答。とりあえず4人分だけでも確保しようとラデュレに戻ったら「たった今、売れました」がーん、どーしよう。遠くに行く時間はない。「そうだ、サンドミニック通りのSadaharu Aokiにあるかもしれない」と電話したら、8人サイズはないけれど6人サイズがあってようやく買うことができました。
ひとり分足りないので、彼らの息子はチョコレートの方が好きだった筈だから、ジャンポール・エヴァンでショコラとライム風味のクリームの2人用ガレット・デ・ロワも買いました。お砂糖でヨットが描かれているのが可愛い。
引越し直前であまりキッチンが使えないので、食事はソファーに座ったままのアペロ・ディナトワールでした。アペロ・ディナトワールは食事代わりになるちょっと豪華なアペリティフのことで、生ハム、リエットやパテ、タラマ、サーディンのマリネ、タプナード、野菜スティックなど沢山用意してくれていました。温かい料理もちゃんとあって、メインはご主人お手製のキッシュ・ロレーヌとサラダ。キッシュロレーヌの生地が、まさかのパートブリゼではなくてパートフィユテ。でもキッシュもガレット・デ・ロワもパートフィユテだと思ったのは私だけで、フランス人は細かいことは気にしないようです。
フランス人サイズなので一切れがすごく大きい。ベーコン・チーズ・生クリームがたっぷり入ったリッチなキッシュを食べた後にガレット・デ・ロワ。もうお腹に入らない〜。咄嗟に「ソフィーは座っていてね!〇〇(←パートナー)がオーブンで温めて切り分けるから」と彼を小突いて、一番小さな一切れを私のお皿によそってもらいました。
ガレット・デ・ロワの飲み物はもちろんシードル。Domaine Lesuffleurのシードルを持参しました。12種以上の林檎がブレンドされていて、コクと香りが豊かな大好きなシードルです。
1年ぶりに食べるガレット・デ・ロワは、中のアーモンドクリームが丁寧に作られていて、バターが香るパイ生地もサクサクですごく美味しかったです。お菓子作りが大好きなソフィーのご主人も絶賛。そして、フェーブはソフィーの元に。でもクールな性格の彼女は、フェーヴを見つけても黙ってそっとお皿の脇に置き、王冠も被らず、淡々と新居の説明を続けていました。大人だわ〜。
引越し先はそう遠くないのでいつでも会えるし、次に皆んなで集まるのは新居のクレマイヨール(引越しパーティー)になりそうです♪
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