CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

フランス人はサプライズパーティーが好き。

只今フランスはトゥッサン(諸聖人)という秋のバカンスです。週末、ロワール地方にある友人ピエールのメゾン・ド・カンパーニュ(田舎の別荘)に泊まりがけでお邪魔しました。

この日は奥さんのクレールの誕生日で、サプライズでバースデーパーティーをしようと、ピエールが彼女に内緒で私達含む3カップルをパリから招待してくれたのでした。突然の6人の訪問、しかも泊まりがけ。迷惑じゃないかなと気掛かりだったけれど、ぞろぞろと庭に入って来た我々を見たクレールはパッと笑顔になって大喜び。「ピエールや息子が自分の誕生日なのにいつものように両親と食事をするだけだって言うから、絶対何かあると思ってたのよ!」とサプライズを予想して朝からワクワクしていたそうです♪

IMG_0845.jpg

フランスに住むようになって驚いたことのひとつに、大人になっても誕生日パーティーを開くということがある。私は歳を取ることにあまり喜びを感じなくなった年齢なのでひっそりと自分の誕生日を迎えたいタイプだけれど、私の知っている限りそういうフランス人は少数派だと思う。何歳になっても嬉々として誕生日の本人が友人を招待し、料理や会場(大抵は自宅やレストラン)を準備してパーティーを主催する。そして本人主催のパーティーと同じくらい多いのが、家族や友人がこっそり計画するサプライズパーティー。先日も1年後に50歳になるパートナーのサプライズパーティーをそろそろ計画しようと彼の妹から提案されて、気の早さにびっくりしてしまった。そのくらいフランス人は誕生日には気合いが入っている。

そんな誕生日好きなフランス人だけど、50歳とか60歳とか人生の節目以外は、一体何歳の誕生日パーティーなのか分からないことがすごく多い。特にアラフォーより上になってくると招待状にも年齢が書かれていないし本人も言わないし、何故か招待された側も誰も訊かない。おまけにケーキのロウソクの数も適当で年齢と一致しないので、一体何歳の誕生日なのか最後まで分からない。何歳なのか知らないままお祝いしたりハッピバースデーを歌わなくてはならないのは、私としてはかなりモヤモヤするのだけど、パーティーをしたい気持ちとは裏腹に年齢に関しては案外デリケートのようだ(^_^;)

風邪の治りかけで朝から体調がそんなに良くなかったので、90歳を超えているピエールのご両親やクレールのお母さんが帰るタイミングで皆んなより一足先にベットに行こうと思っていたのに、いつまで経ってもご両親もお母さんも元気一杯でお喋りに高じていて全然帰る気配がない。子供の頃からパーティーで鍛えられているフランス人は、お年寄りになっても若者と同様に夜に強い(笑)食事はサロンでのアペリティフをちょっと豪華にしたようなアペロディナトワールで(大量にご馳走作っていたらサプライズじゃなくなるもんね。)飲み物はシャンパンとワイン、食事は生ハムの盛り合わせやキッシュとサラダなど簡単なものだったのに延々と喋り続けていた。おまけに家業がワイナリーなので90歳でも皆んなお酒にめちゃくちゃ強く、夜中の1時を過ぎてようやくお年寄り達は自分の車を運転して帰って行きました・・。

IMG_0864.jpg

翌朝は、皆んなでお父さんとお兄さんが営むワイナリーのブドウ畑へ散歩に出掛けました。夏が猛暑だったのでブドウの収穫時期も早かったそうで、ブドウが摘み取られた後に残った葉が赤く色付き始めていました。

ふと、ブドウ畑の遠く向こうの方から自転車でこちらに向かって疾走してくる人が目に入った。ピエールが「親父だよ」と言うのでよーく目を凝らして見ると本当に90歳のお父さんが自転車を漕いでいた。膝を痛めている友人が歩くのに使っているノルディックウォーキング用のポールが家に置き忘れていたと、お父さんが自転車で持って私達を追いかけて来たのでした。そしてポールを渡すと、畑仕事があるからとUターンしてあっという間に遠ざかり小さくなっていくお父さん。私よりもずっと元気!

IMG_0860.jpg

IMG_0855.jpg

散歩から戻ったら、オーブンに入れておいた鶏が焼きあがっていました。ランチはフランス人の休日の王道メニュー、鶏の丸焼きとじゃが芋のピュレ。

IMG_0869.jpg

日本で鶏の丸焼きというとクリスマスのイメージでご馳走感を出すためにどーんとそのまま出すけれど、フランスではオーブンに入れるだけの簡単料理なので特別感はなく、焼き上がった鶏は予めキッチンで切り分けてからテーブルへ出します。鶏肉とじゃが芋の組み合わせは、シンプルで美味しい組み合わせ。それもその筈です。近所のお兄さんの家で飼っている鶏と畑のじゃが芋だから超新鮮&品質安心の自家製(!)鶏は昨日お兄さんが持ってきたときは羽根が付いてたけれど、いつの間にかむしってありました。

IMG_0888.jpg

毎日家族とお喋りして、畑の野菜や飼育している家畜で料理をして自家製のワインを飲む。こんなシンプルな生活が一番贅沢なんだろうな。ご両親や親戚も皆んな愛情深く温かくて、心が浄化されて長引いていた体調不良もすっかり回復しました。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

ARCHIVE

MONTHLY

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories