CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

エッフェル塔の見えるテラスで、バースデーパーティー。

フランスでは5月1日は大切な人にスズランを贈る日でした。贈られた人には幸運が訪れると言い伝えられ、誕生日や記念日を全く気にしないパートナーもスズランを贈ってくれる。フランス人にとってスズランを贈ることはかなり大事なことらしい。

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早速その日の夜、エッフェル塔の中にある高級レストラン Le Jules Verne(ル・ジュール・ヴェルヌ)で食事をする機会に恵まれて幸運を噛み締めたその翌日、滞在許可証の更新のためシテ島の警視庁に行ったときのこと。

10年に一回とはいえ、長時間並ばないといけない滞在許可証の更新は結構気が重い。最近は予めオンラインで予約を取るシステムになっているけれど、予想通り入り口付近は想像通り長蛇の列ができていた。並んでたら予約時間には絶対に間に合わない。

「ダメ元で外に立ってる警察の人に頼んでみようか・・」フランス人は人によっては臨機応変に対応してくれるから、微かな期待を抱いて頼んでみると、「それなら列に並ばず直接受付へ行きなさい」と即中に入れてくれた。あら、ラッキー!案内された更新手続きの部屋でも、有能そうなマダムによって書類の確認と指紋を取る作業がテキパキ進む。到着してから書き込めばいいと思って記入せずに書類を持って行ったので、むしろこちらの方がマダムを待たせてしまい申し訳なかったほど。そして、3時の予約で2時半に行って20分後にはレセピセ(仮の滞在許可証)を貰って警察署を後にするという、何事も時間がかかる&トラブルが発生するフランスで拍子抜けするほどスピーディーに完了してしまった。

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またその翌日、WhatsAppのグループメッセージが送られてきた。

「木曜日の夜、我が家で私達の可愛いお姫さまAの誕生日を祝いましょう。夜7時以降 〇〇〇〇(住所)に集合!」

Aは近所のワイン屋で働く女の子で、WhatsAppのグループを作ってメッセージを送ってきたのは、ときどきその店で会って挨拶を交わすR夫妻だった。その店はカウンターがありワインをグラスで飲むこともできるし、お客も近所の人が多いので、買うついでにワインを飲みながら店の人やお客達とたわいのない話をしているうちに親しくなる。そういえば、先週店に行ったときにAが「来週の木曜日は私の誕生日なの!モン・シェリ(彼氏)が何かオーガナイズすると思うから、あなたも来てね」と言ってたけれど、R夫妻宅ですることにしたのね。

木曜日の夜、R夫妻のアパルトマンに到着したら、そこは海外の王族や貴族の豪奢なアパルトマンやオテル・パティキュリエールと呼ばれるお屋敷が並ぶ一等地。住所から予想していたけれど、想像以上にすごい。しかも建物全部が彼らの自宅になっているらしく、お手伝いさんに案内されて4階から細い螺旋階段を登ったら・・・目に飛び込んできたのはパリが一望できる広々としたテラス!目の前には巨大なエッフェル塔。きっとパリでエッフェル塔がいちばん近くに見えるテラスじゃないかな。

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夢心地になってテーブルに視線を落としたらを見たら、ミニトマト、ポテトチップス、ぶどうがボールにドンと入って無造作に置かれていた。そこにRがアペリティフ用に私達が持参した日本のおかきと、紙皿とペーパーナプキンをバサっと追加。すごいアバウト(笑)日本のおかきはフランス人にアペリティフのおつまみとして人気なのだ。テラスに設置されたコンロでは、R夫が炭をおこして玉ねぎを焼いてた。後からメルゲーズ(ソーセージ)も焼くと言う。気軽に自宅に人を呼んで楽しむ、いかにもフランス人らしいシンプルなおもてなしスタイル。

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9時を過ぎた頃から、ワイン屋のオーナーやお客達、Aの家族がワインやシャンパンを片手にぞろぞろと集まり始めた。ところが5時に仕事が終わっているはずの主役のAがなかなか来ない。日が暮れ始めた頃になって、ようやくAが自分のバースデーケーキが入った大きな箱を抱えながら登場。持っているドレスがどれも破れているかキツくて入らず、破れた箇所を手縫いしていたら遅れたらしい。太ったとは言ってたけれど、どんだけ?!(苦笑)

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R夫は骨折していて足にギプスをハメて松葉杖をついているのに、器用に時々椅子に座って休みながら網の上にメルゲーズを並べて、その間にバゲットを半分にカットして、玉ねぎと美味しそうに焼けた熱々のメルゲーズを挟んで50人分のサンドウィッチを手際良く作っていく。フランス人の男性ってこういうとき感心するほどよく動く。

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夜も更けて・・・絶品のサンドウィッチを食べてシャンパンを飲んで、お喋りしたり踊ったり皆んな好き好きに春の宵を楽しんでいる。

シャイヨー宮からブローニュの森まで見渡せる、エッフェル塔のレストランで食べた高価な食材を使った料理も素晴らしかったけれど、シャンパンフラッシュが煌めくエッフェル塔を眺めながらメルゲーズサンドウィッチにかぶりつくのもすごい贅沢!

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今月はなんだか良いことが続いている。どうかこの先もスズランの幸せ効果が持続しますように・・・!

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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