大物アーティストが集合！エリゼ宮のジャズコンサート

前回のエリゼ宮見学の記事を読んで下さった方に一般市民がエリゼ宮に入れるのか質問をいただいたのですが、年に何度か市民が大統領官邸を訪れることができる機会があります。その代表的なのが９月第３週末のヨーロッパ文化遺産の日やフェット・ド・ラ・ミュージックで、エリゼ宮のHPから登録できます。今年はフェット・ド・ラ・ミュージックにも行き、一生忘れられない思い出になりました。

この一年間は移転先のエステティックサロンを開くための準備を進めながら、昼は仕事、夜は趣味の料理を基礎から学ぼうとオテリエの学校（ホテル専門学校）に通ってフランス料理を勉強していたので時間に追われる毎日でした。特に5月と6月は仕事が忙しい時期で、加えて全く予定通りに進まない工事、フランス料理の国家資格を取るための試験勉強、その他諸々の問題が重なって結構キツく、脱力感と疲労感にぐったりとしていた料理の最終試験の翌々日がフェット・ド・ラ・ミュージックの6月21日でした。

普段から音楽をそんなに聴かないし、数年前のエルトン・ジョンがゲストだったときに演奏はせずにスピーチだけでがっかりしたのを思い出して、キャンセルして家でごろごろしようと思っていたら、このメンバーのコンサートを聴かないと後悔すると言われて渋々重い腰を上げました。

その夜はジャズコンサート。出演者はニューオリンズのジャズミュージアムに所属するミュージシャン達、シンガーソングライターのジョン・バティステとグレゴリー・ポーター、トランペッターのイブラハム・マーロフト。グレゴリー・ポーターとイブラハム・マーロフトはTVなどで何度か聴いたことがある程度で、失礼ながらジョン・バティステの名前は初めて聞きました。でも冒頭のマクロン大統領の紹介で、皆んなグラミー賞を受賞しているものすごいアーティストだということが分かりました。

エリゼ宮は当然ながら非常に厳格な警備が敷かれているにもかかわらず、黒い犬を伴いサングラスをかけた黒服の男達がステージ周りをウロウロしていてちょっと異様な雰囲気を感じていたけれど、道理でアメリカの大物アーティスト達はSPを雇ってるわけです。

前半はフランス人の女性シンガーがエディット・ピアフを歌い、その後にジャズの演奏が始まりました。その途端に「え？」と驚き、あっという間に「うわ〜凄い！！」と引き込まれて、鬱屈した気持ちが一瞬で吹っ飛びました。気が付けば食い入るようにステージを見て、夢中でジャズの旋律を聴いていました。時たまパリでジャズクラブやジャスの生演奏があるバーに聴きに行くことがあるけれど、大変失礼ながら違う次元。グラミー賞すごい！本場ニューオリンズのミュージシャン達とイブラハム・マーロフトの圧倒的な演奏力と、飛び抜けた天才ふたりのパワフルな歌声、パフォーマンス力に大興奮。

そしてもうひとつ目が釘づけになったもの。それはグレゴリー・ポーターが履いていたキラキラピカピカと七色に光る靴。靴を見ればその人がわかると言うけれど、輝く才能と素晴らしい声を持っている人は美しい靴が相応しい。

ジョン・バティステやイブラハム・マーロフトが観客席まで降りてきて熱唱し、大統領夫妻も再び登場してクライマックス。すごい熱気です。

こんなにも大きな感動を人に与えてくれたアーティスト達に心から感謝。音楽の素晴らしさを知った、今年のエリゼ宮のフェット・ド・ラ・ミュージック。ストレスが溜まるだの疲れただのと文句を言っている器の小さな自分が恥ずかしくなりました。ジョン・バティステ、グレゴリー・ポーター、イブラハム・マーロフトの3人の大ファンになったのは言うまでもありません。ニューオリンズのジャズクラブにもいつか行ってみたくなりました。