パリの観光名所がオリンピックの会場に。
5月13日の夜8時ちょうど、帰宅中に携帯で音楽を聴きながらシャンドマルス公園のエッフェル塔の真横を横切っていたら、突然イヤフォンからけたたましいサイレン音が鳴り響いて心臓が止まるほど驚いた。
「何事?まさかテロ!?」
半年前にそこで人が亡くなる襲撃事件が起こったばかりだし、おまけに着ぐるみの偽ミッキーマウスが手ぶらでぶらぶらこっちに向かって近づいてきたため、被り物を取ったらもしかして・・と、一瞬で悪い想像が頭を巡る。
慌てて携帯に目を落としたら、画面には地域住民やその地域で仕事をしている人はオリンピック期間中の移動に必要なQRコードを申請するように伝えるメッセージが。そして、サイレン音はオリンピックの警備区域内にいる人々の携帯電話に送られたセキュリティに関する警告のテストだったということが、帰宅してテレビを見てようやく理解できた。
テストするなら予告してよ〜(怒)
突然のサイレン音は不安と恐怖を煽る。
いつの間にかオリンピックの準備が急ピッチで進んでおり、気がつけばシャンドマルス公園、コンコルド広場、シャイヨー宮、アンヴァリッドなどパリの観光名所に観覧席が次々と設置されています。
それにしても、周囲のフランス人でオリンピックに関心を示している人がひとりもいない・・。新しく会場を建設するのではなく、既にある名所を会場にするというアイデアはエコロジーで良いけれど、パリは山手線内と同じくらいの小さな街。治安の悪化と交通渋滞と騒音への否定的な意見や、開会式が始まる前にパリを脱出するべきだとか通勤の妨げだという批判ばかり耳に入ってきて、はっきり言ってパリ市民は盛り上がっていない。
先日、自宅から車で40分程のパリ郊外で仕事があり戻ってくるのに1時間半もかかってしまった。工事といくつかの橋が通行止めになっているうえに、コンコルド駅が閉鎖されていて会場周辺は既に大渋滞が始まっているのです。
ひねくれ者のパリジャンのことだから、始まってみたら案外歓喜に沸くのかもしれないと思っていたら、パリ市から「地域住民はオリンピック期間中は外出を避けて、できるだけ家にいましょう」と連絡がきた。QRコードでスムーズに移動できるわけがないのは、パリ市は百も承知なのね。
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