オーガニックな子育て

なぜママンはオーガニックコットンをベベに選ぶの?

出産前に、パリで子ども服や赤ちゃんの肌に直接触れるもののチョイスとして、オーガニックコットンが結構多くてびっくりしました。
やはり、肌の弱い赤ちゃんにはやさしいオーガニックコットンを選ぶママンが多いのだな、と改めて感じました。おくるみ、ボディ(ロンパース)、スタイ、バスタオル、などなど……。

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おしゃれな子ども服ブランドでも全製品とは言わずとも、オーガニックコットンのTシャツを一部扱っていたりします。私が気に入っているパリのファミリーセレクトショップ、Smallable のオンラインストアをチェックしても、「organic cotton」とキーワードを入れてサーチするだけで様々な製品が出てきます。オーガニックコットンTも、すごくプリントが可愛かったり、環境保全のメッセージ性が強かったりと、パンチがあるものもあってすごく楽しいので、ついつい手が伸びてしまいます。今では、ファストファッションでもオーガニックコットンを利用したシリーズを展開していて(H&Mのコンシャス・エクスクルーシブ, ZARAのジョイン ライフなど) 、ものすごくリーズナブルにオーガニックコットンが手に入るようになりました。

オーガニックコットンと一口に言っても、ふわっふわの手触りのコットンから、普通の服と全く見分けのつかないものまで、スタイルも値段もいろいろ。
今回は、私自身がどんな基準で選んでいるかを少し書いてみたいと思います。

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日本のオーガニックコットンの老舗。プリスティンの代表取締役社長の奥森秀子さんは、こんな風に話してくださいました。

「3年間以上、農薬や化学肥料を使わない土壌で栽培した農作物のことをオーガニック(有機栽培)と呼んでいます。世界中で安価なコットンが生産されていますが、その綿花には大量の化学薬剤が使われ、環境汚染の元になっていて、さらに栽培には発展途上国の子供たちの労働力が搾取され、過酷な作業による深刻な健康被害にさいなまれているのです」(Spring Stepから一部抜粋)

プリスティンは、綿花の製造から、糸の製造、織りまでを厳しく監督して、本来の「綿」であることに本質を見出した製品作りを行われています。それだけのことはあって、プリスティンのベビー服は、本当にふわっふわ。実はトイレトレーニングのために洗うオムツも使っているのですが、全然不快感がないみたいで、トレーニングになってません(笑)

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さらに、スウェーデンのエッジの効いたキッズオーガニックブランド、Mini Rodiniのページでは、サスティナブルスクールというページを設け、誰でもオーガニックコットンについて、またこのブランドのポリシーを知ることができるようになっています。

「毎年約2000万トンの綿が生産されていて、1kgの綿には8000-22550リットルの水を必要とします。工業的に高度な技術を持つ米国で生産される場合は8,000リットル、灌漑システムが整っていないインドで生産される場合は22,500リットル使用します。また農薬の管理が行き届いていないので、綿農業は農業生産の他のどの分野よりも多くの農薬を使用しています。これは地球に影響を与え、水路、土壌や空気、また周辺の生態系に影響を与ええています。そしてまた、農薬を管理する人々にも実は深刻な問題を与えています。現在急激な農薬中毒に悩まされている綿花生産者は1〜3%存在し、毎年少なくとも100万人が入院を要しているのです。
だからこそ、私たちはすべての製品でオーガニックコットンのみを使用することにしました。オーガニックコットンは、遺伝子組換え種子を使用せず、農薬を使用することを禁止し、71%少ない水と62%少ないエネルギーで綿を育てています」(Mini Rodiniのオフィシャルサイトから一部抜粋)

環境に与えるインパクトとして考えると、オーガニックコットンの方がよりサスティナブルだとわかります。ただしMini Rodini のサスティナブルスクールのサイトでは、「商業的にサスティナブルだとか、オーガニックと謳っていても、どこまで守っているのか不透明」ということで、オーガニックコットンラベルへの信用性を伝えていました。

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私はMini Rodiniのクリエィティブディレクター、カサンドラのイラストのテイストもさることながら、このガッツのある姿勢も大好きです。真摯にオーガニックに取り組むブランドが「みんなオーガニックと謳っているけれど、どこまでオーガニックなの?」と疑問視してしまう気持ちもよくわかる。

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いち早くキッズやべべにもエフォートレス感のあるコレクションを始めたBobo Choseでも、W.I.M.A.M.P. (worldwide inventive minds against monsters of pollution) というオリジナルなプログラムを打ち出していて、環境を守るためには、子供達の自由でクリエイティブな発想を大人に教える必要性がある。というポリシーのもの、ドネーションを行ったり、子供のイラストを洋服のプリントに使ったりもしているエシカルな活動をしています。

他にもKidscaseIMPS&ELFSGray Label、インテリアであればNo74NobodinozLIEWOODなど……おしゃれなエシカルべべブランドを挙げるときりがないのですが、じゃあ、「オーガニックコットン」がママンたちにセレクトされているのは、このサスティナブルな理由からなのか、というと、多分それは違うような気がします。

子どもたちが産まれたときからのお気に入りが、オーガニックコットンで織って国産の有機栽培のフルーツでボタニカルダイで染めているマエムキッズ&ベビーの“美味しいおくるみ”。その小西さんに先日お話を伺いました。

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「綿花はもともと油分を持っています。栽培方法から糸にしていくまでの間で、できる限り綿の油分を守りながら作られた糸なのか、ということがそもそも大切なんです。オーガニックコットンで子供を包んだり、身に纏ったりすることで、その糸の油が子どもたちの肌を守るんです。だから、漂白したり、従来の染料で染めたりしてしまうと、そのオーガニックコットンならではの綿の油分そのものが損なわれてしまうのです」

つまり、オーガニックコットンが子どもたちの肌を守るという効果がきちんとあるのです。その綿がオーガニックであることに加え、さらに化学的な処理がされていないことが重要です。

ファストファッション(もちろん、ファストファッションだけではないのですが)がすぐに着られなくなるような洋服の製造販売をすることも問題視されてきている今、企業のサスティナビリティー活動の一環としてのオーガニックコットンを選ぶという選択肢。

そのためには、綿本来の価値と効能を十分に生かして作られているからオーガニックコットンを選ぶという選択肢。

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選ぶ理由がはっきりしていれば、私自身はどちらもいいと思います。

ベビー服の寿命の短さを考えると、サスティナビリティーを考えて作られていることも大事。それに、目先のことだけ考えた商品に振り回されない大人になってほしい……という想いを込めて、オーガニックコットンを着せる選び方もあるし、単にカッコイイからという選び方だってあると思う。きっとアレルギーを持っている子、肌が弱い子のママンは、肌触りがよくて、保湿までしてくれるから選ぶのだと思います。

日本でも他にも生成り色ベースのやさしいオーガニックコットンブランドは他にもありますし、これからどんどん増えていくでしょう。そして、白より白く見えるオーガニックコットンとはわからないブランドも増えていくと思います。めちゃくちゃかっこいいオーガニックコットンのキッズブランドももっと出てくるはず。

オーガニックコットンのものだけを買うわけにはいきません。でも購入することがオーガニック綿の製造者を支え、無農薬の綿農場を増やすことにつながるので、環境をへの配慮をするアクションにもつながっていくと思います。
そんな中で大事だなぁ、と常々思うことは、環境チョイスにしても肌への優しさチョイスにしても、作り手がなんとなく「イメージ」だけを見せる表面的なオーガニックじゃなくて、きちんとオーガニックを作っていて、環境なり人の肌なりに効果を与える事実があるかどうかだと思います。購入する私達は作り手を信用して「もの」を買うのですから。
謳い文句に騙されない製品の見分け方は、自分で学んでいかなくてはならないのですが!

次回は子どもたちがパリで体験した、6カ月の赤ちゃんから参加できる体のエクササイズを通して行う感性教育、Neurobics kidsのことを書いてみたいと思います。

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