Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

Kukai's World

帰国早々、近所を歩いていて目に入ったポスター。
「この夏、マンダラのパワーを浴びる」と、書かれていたのは、東京国立博物館で開催中の
「空海と密教美術展」

という訳で「マンダラパワー」を浴びに上野へ行ってきました

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朝10時前に到着したのですが、既にこの行列。

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とは言え、どんどん進むので、さほど待ち時間無しで入館できました。

ところで、「曼荼羅(マンダラ)」とは、サンスクリットの"mandala"の音訳の仏教言葉で、
「集まったもの」「聖なる空間」などの意味で、本来の意味は仏の本質。
そして仏教美術においては、規則正しく仏が並んだ絵を「曼荼羅」と呼ぶのだそう。
その仏が規則正しく並んだ絵とは複雑なお経の内容を絵にした、まさに「見るお経」

その曼荼羅にはいくつか種類があり、「胎蔵界曼荼羅」「金剛界曼荼羅」の2つの曼荼羅を
ワンセットにしたのが「両界曼荼羅」という代表的な曼荼羅。
「両界曼荼羅」を、お寺のお堂の壁にかけて大事な儀式を取り行うのだそう。

そういえば、フランスでよく見る教会のステンドガラスは聖書を絵にした「見る聖書」。
文字の読めない人も含め、あらゆる人にわかりやすく教えを広めるには「絵で伝える」というのは
世界の東西の関係なく、重要な手段だったのだと知りました。

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展示されたいたものは、平安時代のものなどが多く、とても古いので色が飛んでしまって
良く見えない感じのものも。

上の写真、左下の曼荼羅は、「両界曼荼羅」で「血曼荼羅」と言われるもの。
この朱色には、平清盛が自分の「頭の血」を絵具に混ぜて描かせたと伝えられるものです。
平家の曼荼羅に込める気持ちも並大抵じゃないという感じです


そして「密教」とはインドにルーツを持つ仏教の流派の一つで、
文字のままに「秘密に説かれた深遠な教え」という意味。
これを中国に渡って学び、日本に持ち帰ったのが弘法大師・空海

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奥深く、とーても難解な密教の教えは、曼荼羅のような絵画などを用いないと理解できない、
ということが背景にあって密教における「仏教芸術」が充実したことを知る充実の美術品の数々。

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阿弥陀如来と両脇侍像(平安時代・仁和4年 京都・仁和寺蔵)

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それにしても、私自身は全然仏教のことを知らないことを思い知りました
実家は曹洞宗だったかな?いやいや臨済宗?思い出せない
こんな仏具も初めてじっくり見ました。

国宝「密教法具」(唐時代・9世紀 京都東寺蔵)

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そして隣りで夫が「これ、欲しい」と言いだしました
「買えるもんじゃないから!!ここでしっかり見といて!」と。


そんな中で、若いマドモアゼル達が仏像に関してアレコレ熱く語っているのが聞こえてきて、
すごいな~と感心。
仏像ブームなの

国宝「諸尊仏がん」(唐時代・8世紀 和歌山・金剛峯寺蔵)
一本の木から削り出されたものだそう。

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私は、この方が一番気に入りました
「如意輪観音菩薩坐像」(平安時代 9世紀 京都醍醐寺蔵)

写真ではいまいちですが、ちょっと斜めから見ると穏やかさに溢れた表情を感じられ、
また眉間から鼻筋のラインが特に美しい

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展示の最後は、京都・教王護国寺(東寺)講堂にある空海の思想に基づいて五仏、五大明王、
五菩薩など21体で密教の宇宙観を立体的曼荼羅として表現したもの。
このうち8体が今回展示されていました。

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これからの仏像の間を周って、手の届きそうな距離感で眺めると、なんだか本当に見えないパワー
自分に降りかかってくるような不思議な感じが

あまりの人の多さで空海の書いた書物などはじっくり見ることができなかったのですが、
やはり空海の書く文字はとても綺麗でした

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単純なので、こういうのを見るを書道を再開したくなり、早速お土産コーナーで筆を物色。

それにしても先日の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」以上の人、人、人
空海の言葉が気になり、こんな本を買ってみました。
深いっ

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既に買い物終了の夫を発見。
なんだか珍しく仏様のように穏やかな顔。マンダラパワーを浴びたお陰?!

違う!何かを大事そうに抱えている
こんなものを人混みの中、あっという間に買っていました・・・。

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五鈷杵 (ごこしょ) 金剛杵と呼ばれるもので、人間の心の中の煩悩を打ち砕き本来の仏性を
引き出すための法具。
密教では五の数にちなんだものが多く、五鈷は五智に通ずると言われてます。

煩悩を打ち砕くのはいいけど、怒りっぽい彼に仏性が芽生えるとは信じがたい
ご利益があることを祈る・・・。

そしてお昼前に博物館を出ると、強い日差しの中、かなりの行列になっていました。

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という訳で、見る場合は朝早めに行くことをオススメします(9時半開場)。


最後に今日のパリ写真ですが、
いつも温かいコメントをくださるMさんが入院中と伺ったので、お見舞いがわりに。

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こちらはパリの自宅近くにあるお花屋さんで以前アレンジをしてもらったもの。
お店の名前失念中・・・なので、パリに戻ったら再確認しようと思うのですが、メトロCardinal Lemoine:駅
近くのお店で天井の高い、飾り過ぎない雰囲気のお花屋さんです

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Mさんが早く元気になることを祈って!
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<INFO>
東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9
*「空海と密教美術展」は、9月25日まで
http://kukai2011.jp/
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KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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