Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

"PHEDRE"と"PSYCHE" ~パリ・オペラ座バレエ~

昨日のブログの続きを。

今シーズンのパリ・オペラ座バレエは、"PHEDRE""PSYCHE"というギリシャ神話のお話でスタート

最初はPhedre (フェードル)
このバレエ、パリ・オペラ座での初演は1950年6月14日で、今回が66回目。

音楽・・・Georges Auric
振付・・・Serge Lifar
舞台、衣裳・・・Jean Cocteau

驚いたのは、舞台・衣裳がジャン・コクトーなのです衣装はカラフルです。

主なキャストは、こちら。

フェードル・・Marie-Agnes Gillot
テセ王・・・・・Nicolas Le Riche
エノーヌ・・・・Alice Renavand
イポリート・・・Karl Paquette
アリシー・・・・Myriam Ould-Braham

簡単に言うと、義理の息子に恋をして身を滅ぼす母の悲劇。

では、「あらすじ」をプログラムの写真(稽古場面ですが)を交えながら。

アテナイの王テゼーは、長く不在。
一方、王妃フェードル(後妻!)は義理の息子イポリートへの恋心に悩んでいた
その苦しい胸の内を乳母のエノーヌに打ち明ける。
ところが、王子イポリートは父王に反逆して滅ぼされた一族の生き残りで捕虜のアリシーを
密かに愛していた

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そこに父王テゼーが亡くなったという知らせが届く
義理の息子イポリートへの愛に障害がなくなって、内心ホッとする王妃フェードル。

父の死を知った王子イポリートはアリシーに求愛
アリシーもイポリートを好きだったことを知り、二人は両思いに。

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王子イポリートと捕虜のアリシーがそんなことになってるとは知らない王妃フェードル。
次の王位継承の相談をイポリートとしている間に、我を忘れて思わず自分の気持ちを告白
びっくりしたのは継母に告白されちゃった義理の息子イポリート・・・
動揺するイポリートの態度を拒絶だと感じた王妃フェードルは、いたたまれない気持ちになり、自殺を図る。

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そこに王テゼが帰還

乳母のエノーヌのアドバイスで、王妃フェードルは王テゼに嘘をつく。
「王子イポリートの方から私を誘惑したのです!」と。

そんな茶番に呆れるイポリートだったが、弁解はせずに国外追放を受け入れる。
怒りの収まらぬ王テゼは、海神ネプチューンに息子イポリートに天罰が下るように祈る。

王妃フェードルは良心の呵責から王テゼにイポリートの追放取り消しを願い出るものの、
テゼからイポリートとアリシーの関係を知らされ、逆に激しい嫉妬の炎がファイヤー

なんとかなだめようとする乳母エノーヌの言葉も全く耳に入らず、逆にエノーヌを罵倒。
エノーヌは、その激しい罵倒に傷つき投身自殺

イポリートが一切弁解しなかったのは、後妻が息子に恋するというスキャンダルで父王テゼの恥を
明るみにしたくなかったから。

結局、イポリートは国外追放の後に海の魔物に殺されてしまう
王妃フェードルは、自分の罪を告白して毒を飲んで自殺する。<FIN>

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本当に悲劇
誰も幸せにならない話で、観終わった後しばらくは沈黙してしまいました・・・。

王妃フェードルにマリ=アニエス・ジロは、ハマり役なのでは!
義理の息子を愛してしまう苦悩と、嫉妬の炎を長い手脚からこれでもか!な感じで発散
逆に、どこまでも真摯な王子イポリートをカール・パケットが好演

そして個人的には、ここ1年くらいでとても気になっているのが、乳母エノーヌ役をやったアリス。

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彼女は、まだ「スジェ」というクラスのダンサーなのですが、繊細さが一際目立つ存在。
髪の毛も真っ黒なので、ちょっとエキゾチックな感じもして個性もあります
(カーテンコールでの写真では前列一番左の紫の衣装で銀のカツラをかぶってます)


さて、2本目の"PSYCHE"(プシュケ)は、なんと今回が初演第一回を観れたなんて感激ひとしお
しかも、ギリシャ神話の中でも私の好きなお話の一つ。という訳で、見る前から期待大。
幕もこんな感じに。

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音楽・・・Cesar Franck
振付・・・Alexei Ratmansky
装置・・・Karen Kilimnik
衣裳・・・Andeline Andre
照明・・・Madjid Hakimi

主なキャストは、こちら。

Psyche・・・ Aurelie Dupont
Eros・・・・・ Stephane Bullion
Venus・・・・Amandine Albisson


では簡単に「あらすじ」を。
(プログラムにほとんど写真もないので、出演してるダンサーを載せながら)

或る国の王様にはに3人美人姉妹のお姫様がいました。中でも末っ子のプシュケは、美貌NO.1
巷では、「美の女神をもしのぐ美しさ」なんて噂が流れるほど。

プライドの高い美の女神アフロディテには人間の小娘に負けるなんて噂でも絶対許せない
「どっかの怪物と恋仲にしておしましいっ」と、息子のエロスに命令する。

(↓プシュケ役のオーレリ・デュポン。ホントにキレイ!)
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このエロス、恋愛の神様で背中に矢を背負ってます。
(アモル、クピトとも言うけど馴染み深いのは、キューピットの呼び名。)
(彼の金の矢に射抜かれると恋に落ち、鉛の矢で射抜かれると大嫌いになるという矢を持ってます

ところが、このエロスはプシュケを見た途端、その美しさに動揺
お陰で恋の矢で自分の手を傷つけて、プシュケに恋してしまう・・・。

その後、なかなかプシュケのお婿さんは見つからない。それもそのはず!
エロスは、プシュケの父である王に彼女を怪物の妻に捧げるように神託を与え、
彼自身がその怪物になりすますのです


(エロス役のステファン・ビュィヨン↓)
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プシュケとは毎晩闇の中で会い、絶対に自分の顔を見ないように約束させる。
そしてエロスはプシュケをとても大切にして、幸せで贅沢な生活を与えます。
プシュケも幸せ

そこに、久しぶりに会ったらすっかり贅沢な生活を送り、相変わらず美人で幸せそうなプシュケに
嫉妬したのがプシュケの姉二人

「なんだかんだ言ってもアンタの彼は怪物!嘘だと思うなら自分で確認したら。」
「食べられる前に殺した方がいいよ。」
と、ランプとナイフを渡す。

姉達にそそのかされて約束を破って暗闇の中、エロスの顔を見てしまったプシュケ。
ランプのオイルがエロスの体に落ちて、エロスは目を覚ます。
約束を破ったことに怒り、エロスはプシュケの元を去ってしまう

(女神アフロディテは、アマンディーヌ。↓某女性雑誌にも登場。彼女もまだスジェ。)
opera (2)

後悔したプシュケは女神アフロディテにエロスと一緒になることを許して貰おうと直談判。
自分のプライドを傷つけて、更に息子まで奪いに来た娘をアフロディテが簡単に許すわけもなく、
彼女に過酷な試練を与える

プシュケは、なんとかその試練をやり遂げる。
というか、見てられなくなったエロスが手助けするのですが・・・。

二人は最高神のゼウスに仲介に入ってもらい、女神アフロディテの許しを得る。
めでたく二人は結ばれハッピーエンド <FIN>

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やっぱり美人は得だなぁ・・・なんて感想を最初に感じつつ、プシュケ役のオーレリ・デュポンの
可憐さに溜息

この人が持っている上品さ、エレガントなオーラは、持って生まれたものなんだろうけれど
これじゃ、エロスが恋に落ちるのは仕方ない。

そしてエロス役のステファンは、先シーズンに引き続き、私が鑑賞に来る公演のほとんどに出演
大好きなマチュー・ガニオもエロス役にキャスティングされていたのに、またマチューは見逃す結果に

それにしても本当にギリシャ神話の世界から出てきたような美しい二人を見ているようなバレエでした!


ところで、ルーブル美術館にフランソワ・ジェラールが描いた「アモールとプシュケ」という絵があります。
個人的に大好きな絵です。

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プシュケには「蝶」の意味もあるので、絵の中にも蝶が舞ってます。
そして、まだ彼女にはアモール(エロス)が見えてない設定なので、ちょっと真顔な顔でこっちを
見てるんですね~。
エロスに大事に愛されてる感じがイイですなぁ

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

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