ギエムとEONNAGATA~シュヴァリエ・デオン~
寒いパリから帰国しました。
いつもの「パリ土産」や美味しかったビストロ&レストラン、ショッピングなどなど書きそびれたものは
追々書かせていただくとして、まずは"EONNAGATA"を観に「五反田ゆうぽうと」へ行ってきました
こちらは、フランスが生んだ天才バレエダンサーSylvie Guillem(シルヴィ・ギエム)、
カナダ出身の演出家、Robert Lepage(ロベール・ルパージュ)、
イギリスの振付家&ダンサー、Russell Maliphant(ラッセル・マリファント)によるコラボ作品。
更にちょっと注目は、衣裳が故アレキサンダー・マックィーン
このバレエは、Chevalier d’Eon(シュヴァリエ・デオン:エオンの騎士)と呼ばれる、
18世紀にフランスに実在した本名シャルル・ド・ボーモンをモデルに作られたもの。
シャルル・ド・ボーモンとは、ルイ15世の寵愛を受け、外交官、女装スパイとして活躍した人で、
王の密命を受けて女装して宮廷の舞踏会や外交会に現れ、
その美貌ゆえ、「男」なのか「女」なのか常に話題となっていた人物
「ベルサイユのばら」のオスカルのモデルとも言われています
タイトルの「エオンナガタ EONNAGATA」は、歌舞伎で男性が女性を演じる「女形」と
彼の名前「エオン」を掛けて、Eon(エオン)+Onnagata(女形)の造語。
そんな彼の一生をシルヴィ・ギエム、ロベール・ルパージュ、ラッセル・マリファントの3人で一人の人物
として演じる休憩無しの1時間半のバレエでした。
ユニークだったのは、お芝居のようにまず台詞があるのです
出演の3人がそれぞれフランス語と英語で情感たっぷりに話す台詞が流れ、オペラのようにステージ脇に
日本語字幕が出ました。手紙の朗読もありました。
その後、バレエ・パフォーマンスへと繋がるのでとてもわかりやすいのです。
ざっくりなストーリーをパンフレットの写真と一緒に:
1728年、トネールの街にとても美しい男の子が生まれました。
名前は、シャルル=ジュヌヴィエーヴ=ルイーズ・オーギュスト=アンドレ=ティモテ。
3つの男性名と女性名からなるこの名前は、彼に複雑な人生を運命づける・・・。
髭も体毛も生えておらず、青年は若く美しく華奢な少女のよう
たちまち好奇の目を向けられる存在となり、国王ルイ15世に注目されます。
王は、青年を自らの密偵としてロシアに派遣
女帝との和平を回復するために青年は女装し、女帝の朗読係となる。
次に男性として軍事条約を締結するためにロンドンへ送られる。
が、ある日彼は落馬
イギリス人医師たちが彼を診察し、やがて人々は「その美しい貴公子は実は姫君なのだ」と噂をするように。
ルイ15世の死後、厄介な噂をもみ消すためにルイ16世は、イギリスから退去し、女性となるように命じる。
宮廷の貴婦人らしく振る舞うように上品な衣装を与え、ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットのように
話すことを教えますが・・・。
ほどなく宮廷は、宮廷思想家ヴォルテールの言葉を受け、「彼女」を両性動物呼ばわりします。
屈辱を受けた「彼女」は失意の元、イギリスへ戻ります。
でもその結果、命拾いすることに。
なぜなら時は、フランス革命。ギロチンの下に沢山の貴族の頭が転がり落ちたのだから。
国外追放された「彼女」は、女剣士として自らを見せものにしたりして生きながらえますが、
とうとう無一文になり、施しを乞う姿に。
最後には、さびれた部屋の真ん中で冷え切ってひとり淋しく死んでゆきました。
晩年までドレス姿のままで騎士(シュヴァリエ)として剣の勝負に挑み、83歳で生涯を閉じました。
死後の遺体解剖の結果、完璧な形をした睾丸が見つかったということです。
<FIN>
マックィーンの衣装はとてもシンプルでしたが、扇子や屏風が使われていたりで、歌舞伎から連想される
「和」の雰囲気も感じるとても面白い演出でした。
舞踏家のギエムとマリファントが台詞を語る一方、演出家ルパージュ自らも踊る。
一人の人物を3人で演じたことで、シュヴァリエ・エオンの内面と外面の両方にある男性らしさ、女性っぽさ
の複雑な感じが伝わりやすいパフォーマンスだったように思います。
それにしても、ギエムは相変わらずカッコいい
今回"HOPE JAPAN TOUR"というチャリティ・ガラ公演で来日したということですが、先日フィガロHPに
掲載されていたギエムの言葉が印象的です。
「芸術はとても大切なもの。
太古の昔から、人々は歌い踊って表現してきました。
平穏な時代でも、悲劇が訪れた後であっても、芸術の存在は大きいと思います。
何かを変えるきっかけになったり、人々をひとつにまとめる力があると思う。
アーティストがどんな思いで公演に臨むか、人がどう受け止めるかで、意味合いは違ってきますが、
表現する側と受け止める側の両方に必然がある。
私は、アートは人生を変えることができるものだと思っています。」
ところで、この「エオンの騎士」をベースに、日本ではアニメもできていたんですね~
冲方 丁の原作により、小説、漫画、アニメなどで展開されていたとは!
いつもの「パリ土産」や美味しかったビストロ&レストラン、ショッピングなどなど書きそびれたものは
追々書かせていただくとして、まずは"EONNAGATA"を観に「五反田ゆうぽうと」へ行ってきました
こちらは、フランスが生んだ天才バレエダンサーSylvie Guillem(シルヴィ・ギエム)、
カナダ出身の演出家、Robert Lepage(ロベール・ルパージュ)、
イギリスの振付家&ダンサー、Russell Maliphant(ラッセル・マリファント)によるコラボ作品。
更にちょっと注目は、衣裳が故アレキサンダー・マックィーン
このバレエは、Chevalier d’Eon(シュヴァリエ・デオン:エオンの騎士)と呼ばれる、
18世紀にフランスに実在した本名シャルル・ド・ボーモンをモデルに作られたもの。
シャルル・ド・ボーモンとは、ルイ15世の寵愛を受け、外交官、女装スパイとして活躍した人で、
王の密命を受けて女装して宮廷の舞踏会や外交会に現れ、
その美貌ゆえ、「男」なのか「女」なのか常に話題となっていた人物
「ベルサイユのばら」のオスカルのモデルとも言われています
タイトルの「エオンナガタ EONNAGATA」は、歌舞伎で男性が女性を演じる「女形」と
彼の名前「エオン」を掛けて、Eon(エオン)+Onnagata(女形)の造語。
そんな彼の一生をシルヴィ・ギエム、ロベール・ルパージュ、ラッセル・マリファントの3人で一人の人物
として演じる休憩無しの1時間半のバレエでした。
ユニークだったのは、お芝居のようにまず台詞があるのです
出演の3人がそれぞれフランス語と英語で情感たっぷりに話す台詞が流れ、オペラのようにステージ脇に
日本語字幕が出ました。手紙の朗読もありました。
その後、バレエ・パフォーマンスへと繋がるのでとてもわかりやすいのです。
ざっくりなストーリーをパンフレットの写真と一緒に:
1728年、トネールの街にとても美しい男の子が生まれました。
名前は、シャルル=ジュヌヴィエーヴ=ルイーズ・オーギュスト=アンドレ=ティモテ。
3つの男性名と女性名からなるこの名前は、彼に複雑な人生を運命づける・・・。
髭も体毛も生えておらず、青年は若く美しく華奢な少女のよう
たちまち好奇の目を向けられる存在となり、国王ルイ15世に注目されます。
王は、青年を自らの密偵としてロシアに派遣
女帝との和平を回復するために青年は女装し、女帝の朗読係となる。
次に男性として軍事条約を締結するためにロンドンへ送られる。
が、ある日彼は落馬
イギリス人医師たちが彼を診察し、やがて人々は「その美しい貴公子は実は姫君なのだ」と噂をするように。
ルイ15世の死後、厄介な噂をもみ消すためにルイ16世は、イギリスから退去し、女性となるように命じる。
宮廷の貴婦人らしく振る舞うように上品な衣装を与え、ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットのように
話すことを教えますが・・・。
ほどなく宮廷は、宮廷思想家ヴォルテールの言葉を受け、「彼女」を両性動物呼ばわりします。
屈辱を受けた「彼女」は失意の元、イギリスへ戻ります。
でもその結果、命拾いすることに。
なぜなら時は、フランス革命。ギロチンの下に沢山の貴族の頭が転がり落ちたのだから。
国外追放された「彼女」は、女剣士として自らを見せものにしたりして生きながらえますが、
とうとう無一文になり、施しを乞う姿に。
最後には、さびれた部屋の真ん中で冷え切ってひとり淋しく死んでゆきました。
晩年までドレス姿のままで騎士(シュヴァリエ)として剣の勝負に挑み、83歳で生涯を閉じました。
死後の遺体解剖の結果、完璧な形をした睾丸が見つかったということです。
<FIN>
マックィーンの衣装はとてもシンプルでしたが、扇子や屏風が使われていたりで、歌舞伎から連想される
「和」の雰囲気も感じるとても面白い演出でした。
舞踏家のギエムとマリファントが台詞を語る一方、演出家ルパージュ自らも踊る。
一人の人物を3人で演じたことで、シュヴァリエ・エオンの内面と外面の両方にある男性らしさ、女性っぽさ
の複雑な感じが伝わりやすいパフォーマンスだったように思います。
それにしても、ギエムは相変わらずカッコいい
今回"HOPE JAPAN TOUR"というチャリティ・ガラ公演で来日したということですが、先日フィガロHPに
掲載されていたギエムの言葉が印象的です。
「芸術はとても大切なもの。
太古の昔から、人々は歌い踊って表現してきました。
平穏な時代でも、悲劇が訪れた後であっても、芸術の存在は大きいと思います。
何かを変えるきっかけになったり、人々をひとつにまとめる力があると思う。
アーティストがどんな思いで公演に臨むか、人がどう受け止めるかで、意味合いは違ってきますが、
表現する側と受け止める側の両方に必然がある。
私は、アートは人生を変えることができるものだと思っています。」
ところで、この「エオンの騎士」をベースに、日本ではアニメもできていたんですね~
冲方 丁の原作により、小説、漫画、アニメなどで展開されていたとは!
ARCHIVE
MONTHLY
BRAND SPECIAL
Ranking