
邸宅美術館☆Frick Collection
アッパー・イースト・サイドに佇む邸宅美術館“Frick Collection”(フリック・コレクション)。
このブログでは繰り返していますが、美術品だけでなく建物、空間も楽しめる「邸宅美術館」が好き!
という訳で今回もお屋敷拝見気分で楽しみにしていたスポットのひとつ。
入口は東70番ストリート沿いです。
“Frick Collection”(フリック・コレクション)は、ピッツバーグの鉄鋼業で財を成した実業家Henry Clay Frick(ヘンリー・クレイ・フリック 1849-1919)が晩年5年間を過ごした邸宅に彼の人生後半約40年間にコレクションした芸術品が展示されています。
お庭が綺麗。
彼の遺言によると、ヘンリー・フリックは彼と妻の死後、この邸宅を美術館として利用されることを邸宅建設中から考えていたそう。
そのため立派な邸宅であると同時に、それぞれの作品が鑑賞しやすく展示されている印象です。
ただ残念ながら館内の撮影は禁止で、唯一撮影可能なのがガーデンコート。
自然光の降り注ぐ素敵な中庭です。
というわけで以下の作品画像はオフィシャルサイトより。
さて、そのコレクションは、ベリーニ、ハンス・ホルバイン、ヴァン・ダイク、ベラスケス、アングル、ゴヤ、ドガ、ターナー、ホイッスラーなどなどヨーロッパの有名画家たちの作品がいろいろ。
そしてここでも個人的に一番の注目だったのは、ヨハネス・フェルメール作品。
こちらの美術館には、「婦人と召使い」「士官と笑う娘」「中断された音楽の稽古」の3点を所蔵しています。

現存する作品がおよそ35点と言われるフェルメールですが、今回ニューヨークで8点、パリ・ルーヴル所蔵、日本などでの展覧会での鑑賞を含めると、私がまだ目にしていないのはあと数点、あの有名作品「真珠の首飾り」@マウリッツハイス美術館がまだ。
「中断された音楽の稽古」を観ながら、いつかアムス行きます!と誓う。

あっ、ジェロームじゃ〜ん!
な感覚ですっかり私の中では、そのタイトルだけで反応してしまうようになったのは、先日のメット(メトロポリタン美術館)でレオナルド・ダ・ヴィンチの未完作「 荒野の聖ヒエロニムス(聖ジェローム)」を鑑賞したため。
同じ聖人をエル・グレコ(El Greco)が描くとこんな感じなのか、と。
宗教画は同じテーマ、モデルを画家によって比較できるのが面白い。
エル・グレコ(El Greco)と言えば、今月16日からパリのGrand Palais(グラン・パレ)で「グレコ展」が始まります!
これは是非観たいと思っている展覧会です。
詳しくはこちらを→ https://www.grandpalais.fr/fr/evenement/greco
フリック・コレクションに戻りまして、ウィリアム・ターナー 「ディエップの港」。
好きな画家の作品は遠目にもすぐ視界に飛び込んできます。
これもそんな一枚だったジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル(Jean-Auguste-Dominique Ingres)の「ドーソンヴィル伯爵夫人」。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-1041.html)
彼の描く女性の肌質には毎度うっとり。
肖像画を依頼するなら…と妄想したら私は間違いなくアングルにお願いしたい!
(修正しまくりで。。)
こうして邸宅美術館を鑑賞すると同時にぼんやり思うのが邸宅の主について。
どんな生い立ちで、どんなビジネスで成功し、その美術品の鑑識眼は?などにも興味が及ぶところです。
ヘンリー・フリックは、貧しいペンシルヴァニアの農家の生まれ。
父親の事業の失敗もあり大学1年で中退するものの、商才があり、いくつかの仕事の後に親戚や友人と1871年に製鉄業が盛んなピッツバーグで製鉄に不可欠なコークスの生産会社を興し大成功。
30歳にしてコークス王と呼ばれミリオネア、まさにアメリカンドリーム。
苦労もあり波乱万丈、となると労働者に優しいのかと思ったら逆。
冷酷な経営者で組織労働者、労働組合とは対立、その結果ストライキを誘発。
労働組合を弾圧し、暴力的な争議として知られる1892年のHomestead strike(ホームステッド争議)を指揮した経営者だったと知りました。
膨大なコレクションの背景には実業家としての色々があった…展示された作品群に心惹かれた一方で何かちょっと現実的なことを感じさせられた感。。
最後に美しい邸宅の庭園をもう一度眺めて美術館を後にしました。
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おまけのパリ。
久しく訪れてないけど、パリ8区のニッシム・ド・カモンドも素敵な邸宅美術館。
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